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最相葉月の「なんでやねん日記」
最終更新日 2004.04.17

2004年4月17日(土)――その63
数字のトリック

昨日、第30回生命倫理専門調査会が行われました。

クローン法付則に定められた施行3年以内(本年6月)を期限とする、「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」最終報告書のまとめに向けての審議です。

調査会は、総合科学技術会議議員6名、専門委員15名の計21名で構成されていますが、昨日の出席者は議員が薬師寺会長を含む4名、専門委員が7名の計11名でした。見るからに、閑散とした雰囲気です。

第1回会合から議論に参加している総合科学技術会議議員(以下、議員)はひとりもいないことをまず知っていてください。これまでの積み重ねを承知していない新しい議員は、発言しても議論をかき回すだけ。承知していてもまったく発言しない議員は、たんなる数合わせ要員とみてもいいでしょう。ですから、実質的に報告書の議論を行うのは、司会役の薬師寺会長を除けば、15名の専門委員です。

15名の専門委員のうち、薬師寺会長就任以前から1年以上会合に出席していない専門委員が1名、今年1月の薬師寺会長就任以後、最終報告書作成に向けて行われた4度の調査会に一度も出席していない専門委員が3名います(この3名はそれ以前の出席率も悪い)。つまり、15名の専門委員のうち4名は議論にまったく参加しておらず、実質的には残りの11名が議事進行の中心になっていることになります。

しかし、月2回の調査会のスケジュール調整が難航しているらしく、11名のうち今年に入って皆勤の専門委員は4名だけ。いずれも、ヒト胚研究に慎重な委員です。それ以外の専門委員は出たり出なかったり。ちなみに昨日は、科学系の専門委員は生物学者の勝木元也委員ひとりだけでした。

単純化はあまり好きではないですが、わかりやすくするためにあえて書きます。議論を行っている11名の専門委員のうち、明らかに慎重意見をもつのは5名、明らかに推進意見をもつのは3名、発言するけれども何度聞いてもどちらの意見なのか判然としない委員が1名、発言がほとんどないのでどちらの意見なのか判然としない委員が2名です。私は初回よりこの調査会を傍聴してきましたので、この数字には自信があります。

さて、人間の受精卵や女性の卵子、中絶された胎児など「ヒト胚」を用いた研究の今後の方針がこうした調査会によって決められます。クローン法付則に定められた期限まで、調査会会合は残すところ3回です。今のところ、最終報告書のたたき台となる素案はなく、中間報告書の枠組みを引き継ぐのか否かも明確ではありません。薬師寺会長は井村前会長の路線を引き継ぐといっていますが、パブリックコメントや説明会での反響、また慎重派といわれる委員からの反対意見の重さを考えると、中間報告書の根底からの見直しが必要となるはずです。それをあと3回で行わねばなりません。

何度も書いてきたように、生命倫理専門調査会は科学技術戦略を推進する国の総合科学技術会議の下部機関ですから、ヒト胚の研究利用、人クローン胚研究を推し進めようとする大きな力が背景にあります。

6月に出される予定の最終報告書は、21名が審議を行ったという体裁がとられます。中間報告書で行われたように、多数派、少数派といった色分けがなされれば(ないことを願いますが)、慎重意見をもつ5名は21分の5ですから、少数派とみなされます。おわかりいただけるでしょうか。これが、数字のトリックです。

2004.04.17 最相葉月(プロフィール)



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