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最相葉月の「なんでやねん日記」
最終更新日 2004.06.08

2004年6月8日(火)――その68
誤報

速報性を要求される通信社のニュースに誤報はつきものです。予定稿が間違えて送信されることもしばしば。予定稿ではないですが、2年前の拙著の裁判(コラム欄参照)においても、共同通信の誤報が日経新聞ほかネットニュースに配信され、大迷惑をこうむったことがありました。

それはさておき、今日16時2分に配信された時事通信の速報はひどいです。

<ヒトの受精卵(胚=はい)やクローン胚を研究目的でつくってよいかどうか審議している政府の総合科学技術会議の生命倫理専門調査会は8日、受精卵については生殖補助医療(不妊治療)の研究に限って認める最終方針を固めた。クローン胚は賛否が対立しており、引き続き議論する。 (時事通信)>

いったい今日の審議会の何を聞いてこうなるのでしょうか?
生殖補助医療に限って認める最終方針を固めた、なんて嘘です。
「認める」なんて判断を調査会は一切していません。
それに、賛否が対立しているのは、クローン胚以前です。

こうやって、報道が既成事実をつくっていくのですな。

実は、前回の生命倫理専門調査会で、生殖補助医療ではすでに研究目的で受精卵をつくっている事例が議論になり、日本産科婦人科学会が作成した資料では不十分だとして棚上げとなっている大事な争点なのです。産婦人科医の藤本委員は、「平成14年に登録方法を改めてからは、IRB(機関内倫理委員会)の審査を経なければ、受精卵の研究利用はできないことになっている」と発言しましたが、勝木元也委員曰く、「受精卵がこれまで、どのようなインフォームドコンセントのもとに行われ、研究に使われてきたのか調査する必要がある。インフォームドコンセントそのものにすでに問題が起こっているが」と指摘し、それは「厚生労働省や文部科学省の部会が検討するものとして、ここでは議論してこなかったという経緯がある」(島薗委員)「私たちが論じるなら生殖補助医療の実態も把握していなければならないが、それができなかった。今後、調査し再検討すべきと書くべき」(石井委員)「産科婦人科学会を責めるわけではなく、国としてのルールがなかったということ」と確認。(正確な文言は後日公開される議事録で確認してください)

つまり、(生殖医学研究)を目的として受精卵を作ることはすでに生殖補助医療の現場では行われているけれども、その実態を調査会は正確に把握しておらず、その既成事実をもって、研究目的に受精卵を作ってもよいとは調査会では判断はできないというのが、今日の議論の流れなのです。

ようやく、核心に近づいてきたと期待していたところで、上のような情報を全国にくまなく流してしまった時事通信の意図はなんなのでしょうか……。

2004.06.08 最相葉月(プロフィール)



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