最相葉月です。
「アイラブ 黄禹錫」http://cafe.daum.net/ilovehwsは2005.12.25、サイトから直接に卵子を募集することは中止したと発表、これまでに提供を申し出た希望者に対してその旨連絡をしました。
以後の卵子提供については、以下の卵子寄贈財団宛に連絡をしてください、としています。
http://www.ovadonation.or.kr/
最相葉月です。
2005年5月米サイエンス誌に発表された黄論文について2005.12.23ソウル大学の調査委員会は、これが虚偽であったことを発表しました。引き続き、人クローン胚からES細胞を世界で初めて樹立したとする2004年2月のサイエンス誌論文、また、世界で初めて犬のクローンに成功したとする2005年8月の英ネイチャー誌論文についても調査するとしました。すでに両論文とも各誌再検証することを発表しています。
ソウル大学12.23発表全文(午前11時大学本部 4階会議室)
http://www.snu.ac.kr/
中央日報2005.12.23全文の翻訳掲載
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=70980&servcode=400§code=400
一問一答
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=70982&servcode=400§code=400
ソウル大学記者会見・韓国MBC放送(動画)
http://imnews.imbc.com/imtv/1326332_1710.html
最相葉月です。
韓国ソウル国立大学の黄禹錫教授を支援するファンサイト「アイラブ黄禹錫」にメール取材をしました。
http://cafe.daum.net/ilovehws
代表者より回答をもらいましたので、内容を公開いたします。
1.このサイトを設立した理由、時期
●2004年6月8日
2.サイトの運営者はどのような人たちですか。政治家ならば具体名。大学病院関係者なら大学名(ソウル大学関係者もいるのか?)
●男子グループ、女子グループ、健康人グループ、難治病グループ、総勢10名の運営者がいます。
(最相注:運営者名、ソウル大学関係者の有無については再質問するが、回答不可との返事)
3.提供した卵子は、必ず「黄教授」の研究に使用されるのか。それとも、黄教授以外のES細胞研究に使用される可能性もありますか。
● カフェで申請する方たちは黄先生の研究だけに使用されるのを望んでいます。
(最相注:黄教授以外の研究に使用される可能性もあるのかという再質問するが、回答不可との返事)
4.卵子提供を行う時期はいつですか。その意思確認はどこで行われますか。
●2005年12月から始まります。意思の確認は病院で行われます。
5.卵子を提供するにあたって、何か薬(卵子を普通に採取するのでは月に1個程度なので、普通は排卵誘発剤を使って複数個採取します)を飲みますか?
●方法は先生が決めます。
6.その薬には副作用があると聞きましたが、それはどのようなものですか? もし何か問題が提供者の体に生じた場合、大学病院は責任をとるのでしょうか?
●医師と提供者が話し合って決めます。
7.卵子採取はどこで行うのですか? どこの産婦人科病院ですか?
●韓陽大学付属病院産婦人科で行われます。
(最相注:サイトに登録すれば電話番号を聞かれる。その後、具体的な産婦人科病院から直接連絡がある)
8.途中で提供する気持ちがなくなった場合、卵子提供をとりやめることはできますか?
●いつでも考えが変わったら中止できます。
9.動物を使用する研究もまだ基礎段階で、いきなり人間の卵子を使用することには国際的な批判があるようですが、それに対してお考えをお聞かせ下さい。
●卵子と精子が出会う受精卵からES細胞を作る研究ではありません。卵子から核を取り出して体細胞核移植を行うクローン胚からES細胞をとる方法です。卵子から核を排出するとそれは命ではなくなります。結局人間を治療するには人間の卵子を使うのが当然です。
(最相注:質問の主旨をずらした回答ですが、再質問をすると忙しくて答えられないとの回答)
10.ある科学研究のために、「女性の身体だけ」が使用され、男性はあくまでも恩恵を受けるだけ(もちろん女性もですが)ですが、それに対してお考えをお聞かせ下さい。韓国の方はそこに抵抗は感じないですか。そのような文化的背景があるのでしょうか。
●女性は生命を生み生産する畑と同じです。聖なるものです。男性たちはこういう女性の役割を尊敬しなければなりません。
11.現在日本では、ボランティアの卵子提供は倫理的・制度的なハードルが高いため、新たに卵子を採取しなくても、すでに培養したES細胞から卵子を作る研究が進んでいます(京都大学などで)。そうなると、女性から卵子を提供してもらうことは必
要なくなりますが、そのような研究成果を待つことも一つの選択肢ではないでしょうか。これに対してお考えをお聞かせ下さい。
●韓国でもその研究はあります。この研究が成功すれば人間の卵子は必要なくなるでしょう。
以上(取材日2005年12月12日)
この3日後の15日夜、黄禹錫教授の論文ねつ造問題が発覚。今後もウォッチングしていきます。
ちなみに、疑惑報道後にサイト表紙に掲げられたメッセージは以下のとおり。
・バスの広告コピー
「黄先生、あなたは大韓民国の希望です」
・花の中のコピー
「だれがなんていっても、黄先生に対する私たちの愛は変わりません」
・下のスナップ写真は、ソウル大学獣医大の建物で卵子寄贈者1000人が集まって行われた記念式典。下の写真右の眼鏡をかけた女性は国会議員
| ■
韓国ソウル大学の黄禹錫教授が卵子入手方法の倫理性について謝罪 |
CNN/APは韓国ソウル大学の黄禹錫教授が倫理基準を知らずに女性研究者の卵子提供を受けていたこと、卵子提供者に謝礼を支払っていたことを謝罪したことを伝えた。同教授は世界初の細胞バンク「世界幹細胞ハブ」所長ほかの役職を辞任する。
詳しくは
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200511240008.html
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200511240007.html
サポーターの堂囿です。
総合科学技術会議生命倫理専門調査会の最終報告書をうけて設置された、「特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会 人クローン胚研究利用作業部会」が、健康で若いボランティア女性からの卵子の無償採取を検討するようです。
「ボランティア卵子の容認検討へ=研究用ヒトクローン胚作成で−文科省」『時事通信』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050829-00000134-jij-soci
「自発的卵子提供の是非検討 研究用クローン胚作り」『共同通信』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050830-00000000-kyodo-soci
作業部会の議事録などは以下のページから
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu1/index.htm#gijiroku
ちなみに、最終報告書における卵子提供に関する文章は以下のとおり。
ア 未受精卵等の入手の制限及び提供女性の保護
人クローン胚の作成・利用では、必ず未受精卵を使用するが、現在の核移植技術では、ヒト受精胚の場合に比べてより多くの未受精卵が必要である。このため、人クローン胚の作成・利用のための未受精卵の採取や入手は、その影響がヒト受精胚の場合より大きいものと考えられ、人間の道具化・手段化の懸念をもたらさないよう特に留意する必要があり、より厳しく制限されるべきである。
いわゆる無償ボランティアからの未受精卵の採取については、これを認めた場合、提供する女性の肉体的侵襲や精神的負担が伴うだけでなく、人間の道具化・手段化といった懸念も強まることから、原則、認めるべきではない。
未受精卵の入手は、手術等により摘出された卵巣や卵巣切片からの採取が考えられる。また、生殖補助医療目的で採取された未受精卵で同目的には利用されなかったものや非受精卵の利用とともに、技術の進捗状況にもよるが、卵子保存の目的で作成された凍結未受精卵の不要化に伴う利用等も可能な場合がある。しかし、受精胚の場合と同様に提供する女性には肉体的・精神的負担が生ずることが考えられるため、個々の研究において必要最小限に制限されるべきであり、その点を十分に考慮した枠組みの整備が必要である。
さらに、自由意志によるインフォームドコンセントの徹底、不必要な侵襲の防止等、その女性の保護を図る枠組みについても、これらを踏まえてヒト受精胚の場合よりも厳格な枠組みを整備する必要がある。
LNET主宰の最相葉月です。
本題とは少し離れますが、緊急の呼びかけをさせてください。
私が数年前、拙著『青いバラ』で取材させていただいた、駒場バラ園(東京都目黒区駒場。井の頭線駒場東大前駅近く)が今年12月に大幅縮小されることになりました。
バラ園を経営する入沢正義95歳・嘉代89歳のご夫婦がご高齢のため、作業が困難となったことが主な理由です。
それに伴い、貴重なバラが散逸してしまうことを危惧する駒場バラ園友の会の方々が夫妻も通える距離にある駒場野公園の拡張用地にこれらのバラを移植しようと計画されました。
しかし、目黒区は駒場バラ園の歴史や功績を認識しておらず、実現に困難が生じています。
そこで、友の会が署名と応援メッセージを集めるため、ブログを立ち上げました。
ご関心のある方、バラ好きの方、近隣の方は署名、応援メッセージをいただけませんでしょうか。あるいは、バラ好きのご友人の方へ、以下のブログの存在をお知らせいただけませんでしょうか。
駒場バラ園は明治44年創業で、現存する日本最古のバラ園です。
明治・大正時代には華族や軍人、大山巌元帥が捨松夫人とよく遊びに来たというエピソードもうかがいました。
入沢正義さんは二代目(!)、現役の栽培家として今日まで70年バラを育ててこられました。
正義さんも嘉代さんも土の上で働かれていたからでしょうか、取材のときは年齢からは想像できないほどお元気でしたが、そうでなくとも栽培のむずかしいバラ、今回のご決断はやむをえないことだと思われます。
友の会の方々が、引き続きバラの保存につとめられるそうです。
デパートなどでよく販売されている切り花、ハイブリッドティなど現代バラの起源は中国のコウシンバラや日本のノイバラなどの原種にあります。
それが大航海時代にヨーロッパに持ち帰られて育種改良され、明治になって日本に逆輸入されました。
以下の駒場バラ園のHPからカタログをダウンロードしていただければわかりますが、駒場バラ園では、四季咲き大輪の系統をつくったラ・フランスはじめ明治時代に逆輸入された17〜19世紀のバラをはじめ300種、3万本が栽培されています。
したがって、これらのバラはいわば、育種栽培史の生き証人ともいえます。
今回の縮小は入沢さんご夫妻の私的事情によるものですが、
公的な価値があると考えるのはそのためです。
今年11月には堀上が始まりますので、それまでに目黒区の許可が下りなければバラは散逸してしまいます。
みなさまのご協力をお願いいたします。
新・駒場バラ園をつくる会(署名、応援メッセージはこちら)
http://blog.livedoor.jp/miyokorose/
駒場バラ園のプロフィール
http://www2.plala.or.jp/mirisawa/
サイエンスの論文が公開されました。登録すれば無料で読むことができます。
Nuclear Reprogramming of Somatic Cells After Fusion with Human Embryonic Stem Cells
Science VOL309 26 August 2005
http://www.sciencemag.org/
最相
LNET主宰の最相葉月です。
ハーバード大学Howard Hughes Medical InstituteのKevin Egganらの研究グループがES細胞と体細胞を融合してES細胞様細胞を初期化することに成功したとするニュースの続報です。
すでにメディアに配布されているサイエンス誌2005.8.26号の論文を精読した日経バイオテクの報道2005.8.25によりますと、このES様細胞は4倍体であり、患者由来のクローン化ES細胞を作成するにはまだまだ基礎研究が臨床へは遠いとのことです。
新聞報道との温度差が大きいため、以下、日経バイオテクの概要をお伝えします。
人のES細胞に体細胞の核を移植して、患者と同じHLA(拒絶反応を決めるリンパ球表面抗原)をもつクローン化ES細胞を作ることができれば、ボランティアの女性からの卵子提供を行わない臨床化への大きなステップとなるため、この方面への研究への注目が高まっています。しかし、ES細胞は非常に小さく顕微鏡下で核を除去する作業が困難、さらに、ES細胞が分化した体細胞の核を初期化できるかどうかがわかっていませんでした。
今回の研究の注目点は、後者、つまり分化した体細胞が初期化することがわかったことでした。しかし、臨床への応用が遠い理由として、日経バイオテクは以下の3点を挙げています。
1.ES細胞様の能力を示した今回の細胞は4倍体。ES細胞側の染色体を除去するのは現段階では困難で、このまま患者に移植しても拒絶反応は避けられないこと
2.レトロウイルスを体細胞に感染させたあとに細胞融合しているため、がん化や抗原性のリスクがあること
3.融合細胞を選別するため、抗生物質に対する耐性遺伝子をES細胞と体細胞に導入して選別したため、リスクが高いこと
とはいえ、この研究によって分化した体細胞の核が初期化されて再び多能性を示す機構を解明する研究は加速するだろう、としています。
日経バイオテク2005.8.25
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20031618&newsid=SPC2005082334012&pg_nm=1&sai1=0&new1=1&news1=1
サポーターの堂囿です。追加です。
2005/8/23朝日新聞
http://www.asahi.com/science/news/TKY200508230222.html
サポーターの堂囿です。
ハーバード大学の研究者が、ES細胞と皮膚細胞を融合させることで作り出すのに成功したようです。
2005/8/23読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20050822i216.htm
2005/8/23毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20050823k0000m040152000c.html
ハーバード大学による発表
http://www.news.harvard.edu/gazette/daily/2005/08/22-stem.html
LNET主宰の最相葉月です。
農業生物資源研究所は2005年6月24日、異種移植をめざして拒絶反応が起きにくく遺伝子操作したクローン豚と人間に有用な物質を乳汁中に分泌するよう遺伝子操作したクローンヤギを、国内で初めて作り出すことに成功したと発表しました。
2005/6/25毎日新聞朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20050625k0000m040048000c.html
独立法人農業生物資源研究所
http://www.nias.affrc.go.jp/
プレスリリース
http://www.nias.affrc.go.jp/pressrelease/2005/20050624.html
サイト管理見習いのフジモトです
WiredNews がES細胞に関する記事をまた出しています。最先端医療はこのサイトの大きな柱のひとつではありますが、粘り強く取材していますね。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050523304.html
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050524307.html
サイト管理見習いのフジモトです
ワシントン共同→毎日新聞が、英国ニューカッスル大学がヒトクローン胚作成に成功したことを報じました。韓国ソウル大学が、病気の患者の皮膚細胞からクローン技術でES細胞を作ることに成功したことを「サイエンス」で発表したのと相前後しての発表でした。詳しくは
毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20050520k0000e040059000c.html
個人的感想ですが、“チームは「採取後すぐに使える未受精卵の確保が成功の鍵だ」とした”って発言が「活き作り」とか「躍り喰い」を想起させて、コワイ。
韓国ソウル大学の記事は、同じく毎日新聞で
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20050520k0000m040149000c.html
| ■
必読! 「わたしが体外受精をやめた理由」最終回 |
LNET主宰の最相葉月です。
昨年10月から隔週で連載していただいていた蓬田蘭さんの「わたしが体外受精をやめた理由」がいよいよ最終回を迎えました。
前回で「はやまるな、蓬田〜」「え、もしかして?!」なんて失礼な予想をしていた読者を見事裏切ってくれましたね。最相もびっくり、そして、ほろりの最終回。ぜひとも皆様にも読んでいただきたいです。
この連載は読んでいなかったという読者の皆様もおられると思いますが、初回から最終回まですべてクリックひとつでお読みいただけるようにこのまま保存しておきます。
格好よすぎるぞ、蓬田!
なお、この話はすべて実話です。
「わたしが体外受精をやめた理由」
https://lnet.unou.net/sapo/yomo/yomo000.html
LNET主宰の最相葉月です。
2005年4月30日(土)〜5月13日(金)
都営新宿線、大江戸線森下駅徒歩5分の劇場ベニサン・ピットにて、クローン人間を題材とする二人芝居が上演されています。
『クラウド・ナイン』『トップ・ガールズ』『Far Away』などで知られる戯作家キャリル・チャーチルの最新作『A Number』です。
時代状況をビビッドに取り込む刺激的なテーマを毎回新しい演出で披露し多くのファンを魅了してきましたが、今回はクローン技術の人間への利用という最先端技術が人にもたらす影響、人間の存在理由とは何か、親子とは何か、私とは何か、といった根源的なテーマに迫る問題作です。
日本初演の演出は、イギリス出身のサーシャ・ウェアーズ。ロンドンのドンマー・ウェアハウスでtpt芸術監督デヴィッド・ルヴォーやサム・メンデスなどのアシスタントを務め、話題作『グアンタナモ』を演出、昨年ロンドン、ニューヨークで大反響を巻き起こした若手の実力派です。
日本スタッフは女性が中心。美術は礒沼陽子、照明は西川園代、音響は長野朋美ほか。
出演は、小林勝也 手塚とおる
http://www.tpt.co.jp/
| ■
全米科学アカデミー、ES細胞研究にガイドライン |
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全米科学アカデミーはES細胞研究ガイドラインを発表しました。
Guidelines for Human Embryonic Stem Cell Research
http://books.nap.edu/catalog/11278.html
全米科学アカデミー/リリース
http://www4.nationalacademies.org/news.nsf/isbn/0309096537?OpenDocument
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HotWiredNews が脊髄損傷ラットの歩行能力回復実験について報じています。脊髄損傷ラットに胚性幹細胞(ES細胞)を注入。再び歩けるようになったというもので、ムービーも出回っているようです。詳しくは
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050421303.html
おまけで、同じく HotWiredNews から「ヒトDNAデータベース構築計画に批判の声」
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050421301.html
日中韓などアジア・太平洋地域七カ国・地域のES細胞の研究者が合同で「アジア太平洋ヒトES細胞ネットワーク」を、今秋にも発足させることを中辻憲夫・京都大再生医科学研究所長、韓国ソウル大の文信容教授らが第10回国際ヒトゲノム会議で発表した。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2005042000159&genre=G1&area=K00
京都新聞2005年4月20日
http://agw.genome.ad.jp/HGM2005/
国際ヒトゲノム会議
朝日新聞
http://www.asahi.com/life/update/0425/002.html?t
最相葉月
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HotWiredNews によれば
馬の屈腱炎、靭帯損傷、骨折治療にその馬から採集した脂肪組織から採取した幹細胞を利用しているという。詳しくは
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050415301.html
続いて BBC - asahi.com から。
イタリアの研究所とフランスのベンチャー企業が、レースで優勝経験がある馬のクローンを誕生させたと報じている。フランスのベンチャー企業は30頭の馬の細胞を保存しているという。
詳しくは
http://www.asahi.com/science/news/TKY200504150275.html?t
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米国の低所得者層を対象に行われる予定だった「殺虫剤が人体に及ぼす影響を調べる計画」を中止 |
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AP - HotwiredNews によれば、
米国の低所得者層を対象に行われる予定だった「殺虫剤が人体に及ぼす影響を調べる計画」が中止になったそうです。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050412204.html
このサイトのメインストリームからは外れますが、いづれ卵の採取もこれに近い道を辿るのではないかという危惧を感じたので、あえてここに紹介します。
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イモリの脚や尾のようにヒトの細胞を幹細胞に戻す研究 |
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WiredNews はイモリの脚や尾のようにヒトの細胞を幹細胞に戻す研究を報じている。イモリのしっぽ再生メカニズムが人間でも再現できれば、胚を破壊しなくても幹細胞が得られるようになり、胚性幹細胞の研究で取りざたされている倫理問題も乗り越えられるのではないかというわけだ。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050411301.html
サイト管理見習いのフジモトです
また、WiredNews です。
ロシアで医療施設やビューティーサロンが幹細胞を使って、しわ取りから、パーキンソン病、インポテンツ等々の治療をしているとの由。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050317302.html
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ボストン郊外の小さな非営利の研究所では、過去4年間にわたってひそかにごく少数の女性から |
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WiredNews が幹細胞研究への卵子提供に関してちょっとした記事を載せています。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050315301.html
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毎日インタラクティブによれば、ヒトクローン技術の全面禁止に向けた法制化を求める宣言が賛成多数で採択された模様です。この宣言は医療目的のES細胞研究も含まれたものとなっています。
詳しくは
毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20050309k0000e030056000c.html
国連第6委員会(現時点2005.03.09ではまだこの件に関する発表は行われていません)
http://www.un.org/law/cod/sixth/
LNET主宰、最相です。
日本産科婦人科学会が1983年に開始した体外受精によって生まれた人の追跡調査を実施することを決定しました。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20050220k0000m040071000c.html
LNET主宰、最相です。
2005/2/19毎日新聞報道によりますと、クローン技術の条約制定を討議していた国連総会第6委員会は、医療目的を含むクローン技術の人への利用を禁止する政治宣言を採択しました。(71カ国賛成、35カ国反対、43カ国棄権の賛成多数)
クローン技術等の胚利用技術を全面的に禁止しようとする米ブッシュ政権と中南米諸国、医療目的に限り認めるとする欧州、中国、日本が激しく対立したため、拘束力のない政治宣言になりました。今春の総会で正式に採択されます。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20050219k0000e030031000c.html
サイト管理見習いのフジモトです
米国上院で、医療保険の保険料算定や企業における配置・解雇などに遺伝子情報を使ってはいけないという法案が可決された模様です。
詳しくは asahi.com をご覧ください。
http://www.asahi.com/international/update/0218/008.html
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クローン羊ドリーを誕生させた英ロスリン研究所のイアン・ウィルムット博士がヒトクローン胚作りの認可 |
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あの「ドリー」生みの親、イアン・ウィルムット博士がヒトクローン胚作りの認可を受けたようです。
詳しくは asahi.com
http://www.asahi.com/science/update/0209/001.html
日本のクローン牛「加賀」と「能登」の生みの親はどうしているのでしょうか? いま、GOOGLEしてみたけど、ほとんど記録が残ってないみたいですね、加賀と能登。ちゃんと残しておくべきだと思うんですが...
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%80%80%E5%8A%A0%E8%B3%80%E3%80%80%E8%83%BD%E7%99%BB%E3%80%80%E7%95%9C%E7%94%A3%E7%B7%8F%E5%90%88%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=
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ヒトのES細胞)は、培養基に汚染されている?! |
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HotWired によれば「カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームによると、培養基として使用しているヒト以外の動物の細胞表面に存在するシアル酸のせいで、ヒトES細胞が十分に利用できなくなる恐れがある」そうです。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050126306.html
アメリカの報道って「この研究は××の助成を受けて行われたもの」とか、「調査をした××社は××の出資を何%受けている」とか書くところは優れていると思います。
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毎日インタラクティブによれば、名古屋市立大大学院医学研究科の鈴森薫教授が着床前診断申請をおこなったそうです。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20050115k0000m040154000c.html
最相葉月です。
京都大学大学院医学研究科の高橋淳講師らは、カニクイザルのES細胞をパーキンソン病症状を見せるカニクイザルに移植したところ、手足の震えが改善されるなどの効果を示したことを米科学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・メディスン2005年115号に発表しました。
J. Clin. Invest. 115:102-109 (2005)
http://www.jci.org/cgi/content/full/115/1/102
(無料で全文読めます)
サイト管理見習いのフジモトです
2004年12月29日の京都新聞によれば
京都大医学研究科がマウスの精巣から多能性幹細胞を作成することに成功したそうです。
ただし、精子ではなく、精巣です。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2004122900008&genre=G1&area=K00
日本語バイオポータルサイト Jabion が公開されています。
国立情報学研究所等が開発したもので,バイオサイエンスに関する最新の研究情報をわかりやすく解説したものです。
(サポーター:丹生谷)
http://www.bioportal.jp/openhouse/index.html
情報サポーターの渡辺由佳里です。
フジモトさんからの情報の続報です。
NIHのカリフォルニア州版であるthe California Institute for Regenerative Medicineが設置されることになりますが、その場所やどのような研究に対して助成金が提供されるのかど具体的なものは、まだわかっていません。
マサチューセッツ州のアドバンスド・セル・テクノロジー(ACT)社は、助成金を申請するためにすでにカリフォルニアに研究所を設置することを決めています。
MSNBCは、州の規模でありながら一年に3億ドル、という助成金を求めて研究者やバイオテック会社が流入する状況を、「21世紀のゴールドラッシュ」と呼んでいます。
キリスト教原理主義の倫理観により連邦政府のES細胞の研究に反対するブッシュ大統領の再選で、国レベルでは今後少なくとも4年は研究助成金は禁じられるとみられています。そのため、カリフォルニア州のように、独自の政策で、研究を進める州が増える可能性がありますが、国と地方の政策がまったく異なると、倫理面などでのチェック&バランスは正しく機能するのかどうか、多くの問題を抱えています。
MSNBC
http://www.msnbc.msn.com/id/6445035/
| ■
カリフォルニア州がES細胞研究への資金援助を可決 |
サイト管理見習いのフジモトです
Wired News によればカリフォルニア州では今後10年間、
1年につき3億ドルの資金援助をES細胞研究に対して
行うことを決定したようです。
詳しくは
http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20041108104.html
サイト管理見習いのフジモトです
asahi.com が京都大学・医の倫理委員会が「ヒト胚性幹細胞(ES細胞)から網膜の一部の細胞をつくり、移植するための基礎研究を承認」と報じました。
詳しくは
http://www.asahi.com/science/update/1030/002.html
情報サポーターの渡辺由佳里です。
ボストンのWBRラジオ局の「コネクション」で、ES細胞に関するディスカッションを聞くことができます。(英語です)
http://www.theconnection.org/shows/2004/10/20041018_a_main.asp
ゲストは、ハーバード大学とChildren's Hospitalの幹細胞研究者のGeorge Daley氏、ボストン大学の生命倫理学教授George Annas氏、国立科学アカデミーの人ES細胞研究ガイドライン委員会のco-chair、Jonathan Moreno氏です。
ホストのDick Gordon氏によるゲストへの簡潔かつ明確な質問で、アメリカでのES細胞の現況がよく理解できます。また、一般の人々による電話での質問とそれに対するゲストの回答も聞くことができます。
サイト管理見習いのフジモトです
wired news によれば「米アドバンスト・セル・テクノロジー(ACT)社、ウェイク・フォレスト大学医学部、シカゴ大学の科学者が胚性幹細胞(ES細胞)から網膜細胞を形成させることに初めて成功した」そうです。
詳しくは
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040927306.html
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第三者の精子/卵子を使って人工受精で生まれた子どもの会結成 |
サイト管理見習いのフジモトです
asahi.com によれば「非配偶者間人工授精(AID)の子どもたちが近く、日本で初めて、「子どもの会」を結成する」そうです。
詳しくは
http://www.asahi.com/science/update/0921/001.html
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東京大学医学系研究科に「生命・医療倫理人材養成ユニット」 |
サイト管理見習いのフジモトです
asahi.com によれば、10月頭から「病院での研究の是非を審査する倫理委員会や、医療現場で倫理上の問題が起きたとき活躍できる人材を養成する「生命・医療倫理人材養成ユニット」が、東京大学医学系研究科に設置される」そうです。
asahi.com の記事
http://www.asahi.com/science/update/0919/002.html
生命・医療倫理人材養成ユニット
http://square.umin.ac.jp/CBEL/index.html
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母が代理母で、生まれた遺伝的なつながりのないふたごの親権が娘とその夫に |
情報サポーターの岸本和世です。
3年前イギリスで、27歳の不妊女性の母親が提供された胚で双子を産みました。もともとは、提供される卵子を不妊女性の夫の精子で体外授精し、44歳の母親がその胚で代理母になるように計画されたのですが、卵子が提供がなかったので、提供された胚が用いられました。
裁判所は、そのようにして生まれた子どもたちに対する親権を、27歳女性とその夫に認めたのです。
http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/print_report.cfm?DR_ID=25720&dr_cat=2
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「ヒト胚の取り扱いに関する考え方」中間報告書パブリックコメントへの回答 |
LNET主宰の最相葉月です。
生命倫理専門調査会は、「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」中間報告書に対するパブリックコメントへの回答を2004/9/6に公開しました。実施は2003/12/26~2004/2/29でした。なお、すでに決定した最終報告書に対するパブリック・コメント募集は行われていません。
http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/life/kekka.pdf
情報サポーターの渡辺由佳里です。
宗教学者の島薗進先生が最新版のコラム(第三章 第2回「『治療を超えて』(Beyond Therapy)の意義 」に書かれているように、アメリカの大統領諮問生命倫理委員会はほぼ3年にわたって非常に深い討論を行い、それを「『治療を超えて』(Beyond Therapy)の意義 」というレポートにまとめています。
ところが、8月31日のボストングローブ紙によりますと、この委員会は、政策にも、大統領の視野を広げることにも、ほとんど影響力を持たなかったようなのです。大統領諮問委員会は、大統領が意志決定をするために、専門家の幅広い意見を求めるためのものです。けれども、保守派で、ブッシュ大統領に近い人物として知られている諮問委員の委員長のDr. Leon Kassでさえ、この委員会の努力が政策にはつながらないだろうことを認めているのです。Dr. Leon Kassは、「9月11日(同時テロ)以降、生命倫理はレーダー画面上さほど重要なものではなくなってしまったが、それは誰のせいでもない」と、大統領のアジェンダがテロ対策と外交で占められ、生命倫理に費やすエネルギーも時間もほとんどないことを説明しています。グローブ紙の調査では、委員会は合計10の文書を大統領に送っていますが、それらに対する大統領からの返事はまったくありませんでした。
この記事によりますと、ブッシュ大統領は、生命倫理委員会の報告を待たずしてすでにクローニングや幹細胞研究に対する自分の意志(「倫理的に間違っている」)を決定しており、自分自身が設置を命じたにも関わらず、最初から委員会の意見を参考にするつもりはなかったようです。
http://www.boston.com/news/globe/health_science/articles/2004/08/31/president_bushs_bioethics_panel_has_little_influence/
(ボストングローブ紙)
LNET主宰の最相葉月です。
「なんでやねん日記」8/31付に書いたように、LNETは現在リニューアルに向けた作業を行っております。情報掲示板やサポーターの方によるコラムは通常どおり更新しますが、「疑問と質問」「アンケート」「資料庫」などは順次整理をしていきますのでご了承ください。
見習いフジモトです
――『政治と生命科学』誌が今月、オンライン版を公開した調査報告(PDFファイル)によると、体外受精を行なう病院では余分に作った胚をただ廃棄しているわけではないことが明らかになった。
そうです。詳しくは Wired News の
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040830304.html
をご覧ください。
情報サポーターの岸本和世です。
中国での出来事ですが、今年1月に麻薬密輸で捕まった女性が妊娠していることを知った警察当局が、麻酔で彼女を眠らせた上で(ということは、強制的に?)中絶手術をしたのです。
中国では、麻薬の密輸に対する最高刑は死刑ですが、18歳以下か妊娠している女性には、刑が減じられるとなっています。
ここ数日中に判決が出されるそうですが、10月からは妊娠中の人に対する取調べが4時間を越えることや閉鎖された部屋に閉じ込めることが禁止されるのです。
警察がなぜ中絶を強制したのか、その理由は不明ですが、もし死刑を可能にする目的であったとすると、わたしたちはこの出来事から「死刑制度」そのものが持つ問題性を、"二つのいのち”という点から考えさせられます。
http://news.yahoo.com/news?tmpl=story&cid=1530&u=/afp/20040825/wl_asia_afp/china_crime_rights_040825083708&printer=1
LNET主宰の最相葉月です。
2004/8/25共同通信によりますと、厚生労働省が生殖医療機関における受精卵作成の研究を調査する研究班を設置したとのことです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040825-00000044-kyodo-soci
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イギリス、人クローン胚からES細胞を作る研究を認める |
LNET主宰の最相葉月です。
ロイター通信および各報道によりますと、イギリス政府は2004/8/11に国立ニューキャッスル大学が申請していた人のクローン胚からES細胞を作る研究を承認したと発表しました。イギリス政府は2001年に世界で初めて人のクローン胚を作成する研究を容認していましたが、人の受精及び胚研究に関する調査を行うHFEA庁が慎重な審査を行い許可を与えたのはこれが初めてのことです。
ニューキャッスル大学の研究チームの一人、Miodrag Stojkovic博士は、「欧州で認可が与えられたのはこれが初めてのことです。多くの病気、多くの患者にメリットとなるでしょう」「しかし、実際にこの方法による幹細胞治療が行われるには最低5年以上はかかります」と述べています。
ロイター2004/8/11
http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=scienceNews&storyID=5939194&pageNumber=0
Miodrag Stojkovic博士のいるHuman Genetics Inst.
http://www.ncl.ac.uk/ihg/staff/profile/stojkovic
LNET主宰の最相です。
生命倫理専門調査会が決定した「ヒト胚の取扱いの関する基本的考え方最終報告書」の意見具申が行われた第38回総合科学技術会議の議事が公開されましたのでお知らせします。細田官房長官は「非常にすばらしい報告書」と評価しています。
第38回総合科学技術会議議事録
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/giji/giji-si38.htm
情報サポーターの岸本和世です。
マウスでの研究結果ですが、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)放出ホルモンのレベルが低いメスは、子どもを守る活動が活発だ(オスが子どもに近づくことに対して威嚇的になる)という結果が出ています。授乳をしているメスは、このホルモンが低くので、恐怖や不安などが低いという観察がなされています。しかし、このホルモンのレベルが高いと、産後のウツになり易く、子どもを保護する活動が鈍くなり、時には子どもに対して暴力的になる場合もあるというのです。
このACTH放出ホルモンとメスの保護活動の関係についての研究結果は、ヒトの場合にも当てはまるようです。
ただし、ウツにはさまざまな環境要因が関わるので、単にこのホルモンの高低だけによらないのです。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/3870735.stm
サポーターの堂囿です。
山陰中央新報2004/7/28
「ヒトクローン胚研究/ルール作りに議論を尽くせ」
http://www.sanin-chuo.co.jp/ronsetu/2004/07/28.html
LNET主宰の最相です。
去る7月30日(金)都内某所にて、LNET10万アクセス記念座談会が開催されました。
LNETサポーターたちによってこのたびの総合科学技術会議生命倫理専門調査会「ヒト胚の取り扱いに関する基本的考え方」最終報告書に関して議論が行われ、「余っているから利用していいか」「インフォームドコンセントというマジックワード」「おきざりにされた生殖補助医療」「中絶胎児の研究利用」など、多岐にわたる問題提起ができたのではないかと考えております。
議事は今週中に公開させていただく予定です。ご期待ください。
サポーターの堂囿です。
8月1日付の毎日新聞に、米本昌平氏(科学技術文明研究所所長)が、「生殖技術臨調設置の時」という論説記事を書かれています。以下、要約です。
生命倫理専門調査会最終報告書、着床前診断、中国における中絶胎児をもちいた脊髄損傷治療からもうかがえるように、「われわれは改めて、人の発生についてどう考えるのか、態度の決定を迫られている。」
たしかに日本は人の発生について議論してこなかった。しかしこれは議論の遅れを意味しない。西欧ではキリスト教の影響下、生命科学の発達した前世紀後半、中絶の自由化という政治的要請のなかでこの問題を激しく議論した。しかし日本もまた、脳死問題を軸に「人の終わり」について議論してきたのである。
現状において「人の発生」を論じる必要があるのは、クローン羊ドリーやES細胞に見られる「哺乳類の発生工学での急展開」である。そしてこうした状況の中、欧州諸国は生殖技術法や生命倫理法という枠組みの中で、「包括的なテクノロジー・アセスメントの作業と、報告書作り」に支えられたブレのない政策を立案している。「社会的判断が必要な科学技術に関して、その全体像について共通認識を形作り、議論を後戻りさせず、選択肢が自ずと絞り込まれてくるような状況に近づくためにも」報告書の作成には力を入れるべきである。
かつて私(米本)は脳死臨調において、「ポスト脳死臨調として、毎年課題を決めて包括的な報告書を作成する組織をもつべき」と主張したが、いまだにそれは実現されない。生命倫理専門調査会の最終報告書本文は15ページに過ぎず、クローン規制法で用いられた「特定胚」という「モノ化を強く漂わせる」表現も問題視されていない。いまこそ、包括的な報告書を積み上げ、テクノロジー・アセスメントを行う国の組織を、国会の責任のもと設置するときなのである。
情報サポーターの岸本和世です。
8月2日号のニューズウイーク誌(米国版)は、「卵子凍結保存」についての記事を載せています。
凍結保存そのものは非常に困難というものではないのですが、卵子は水分を多く含んでいるために、凍結あるいは解凍の段階での問題などまだまだデータ不足の状態で、超えなければならない課題は多くあるということです。
にもかかわらず、米国では30代のシングル女性の間に希望者が増えているとのことです。費用は13,000ドルプラス年間保存代500ドル。ある女性は、自らの30歳の誕生祝として自分の卵子を凍結したと書かれています。
学会は、近くガイドラインを作成する予定ですが、この技術を「子供をつくることを先送りするため」に用いることは(当面のこととして)認めない方針です。
なお、こうした技術についての倫理的な問題を含め、わたしの「部屋」で取り上げて参りますので、のぞいて見てください。
http://www.msnbc.msn.com/id/5505094/site/newsweek/
サポーターの堂囿です。
熊本日日新聞2004/7/22
「生殖補助医療 包括的に規制する法整備を」
http://www.kumanichi.co.jp/iken/iken20040722.html#20040722_0000004888
毎日新聞2004/7/24
「ヒト胚・ヒトクローン胚:未受精卵と体細胞、提供の枠組み示さず」
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/07/24/20040724ddm016040086000c.html
LNET主宰の最相葉月です。
朝日新聞2004/7/20朝刊一面
「中絶胎児一般ゴミで廃棄 横浜の医院 手足は切断」
http://www.asahi.com/national/update/0720/003.html
「中絶胎児 実態調査へ 厚労省が方針」2004/7/20オンラインニュース
http://www.asahi.com/national/update/0720/024.html
毎日新聞2004/7/20朝刊社説
「中絶胎児利用 公正な組織で徹底議論を」
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/
サポーターの堂囿です。
東京新聞 社説「ヒト胚研究 指針で規制できるのか」
2004/7/20
http://www.tokyo-np.co.jp/sha/
日本経済新聞 社説「生命倫理は場を変えて議論し直せ」
2004/7/19
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20040718MS3M1800N18072004.html
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英国で、がヒト遺伝研究・技術について意見を求める |
情報サポーターの岸本和世です。
イギリスe-BBC紙によると、人間発生・遺伝委員会(Human Genetics Commission)は、今後3ヶ月にわたって、遺伝的欠損を調べる胚スクリーニングやデザイナー・ベビーの可否について、広く意見を求め、政府に答申することにしています。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/3899405.stm
このHGCは、それまでのいろいろな識者の意見や資料を公開して、一般の判断のために提供しています。イギリスは、こうした情報公開については、世界で最も進んでいる国であると思います。下記のウエブ・サイトをご覧ください。
http://www.hgc.gov.uk/
LNET主宰の最相葉月です。
毎日新聞社説「ヒト胚研究 法制化に向けて新たな検討を」
2004/7/15
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/
サポーターの堂囿です。昨日の調査会についての全国紙報道です。
毎日新聞 2004/7/14
ヒト胚:難病研究か、生命倫理か 研究目的容認
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20040714k0000m040151000c.html
青野由利「「研究付き」体外受精」毎日新聞 2004/7/14
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/hassinbako/news/20040714k0000m070132000c.html
読売新聞 2004/7/13
ヒト胚研究を限定容認、生命倫理調査会が最終報告書
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040713i113.htm
読売新聞 2004/7/13
ヒト胚作製に反対の委員、意見書発表…法的規制が必要
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040713i114.htm
産経新聞 2004/7/14
クローン胚利用、新指針で 解禁の報告書を正式決定
http://www.sankei.co.jp/news/040714/sha005.htm
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総合科学技術会議生命倫理専門調査会「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」最終報告書決定 「手続き上の過ちを犯した」と薬師寺会長 |
LNET主宰の最相葉月です。
2004/7/13に開催された総合科学技術会議生命倫理専門調査会は、「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」最終報告書をまとめました。これにより、生殖補助医療研究のためにヒトの受精卵を作成し利用すること、人クローン胚については、臨床応用を含まない難病等に関する医療のための基礎的な研究に限って容認することを決めました。
制度的枠組みについては、ヒト胚全体を包括する法制度を提案する意見もありましたが、ヒト受精胚については当面は国のガイドラインを文部科学省と厚生労働省が整備し、その遵守状況等を見守りつつ新たな法制度に向けて今後も引き続き検討していく可能性を残すこと。また、人クローン胚については、クローン技術規制法に基づく特定胚指針を改正し、国のガイドラインで補完することによって必要な枠組みを整備することとなりました。
科学的検証は動物の研究や体性幹細胞研究の成果なども含めた広範な知見に基づいて、総合科学技術会議を中心として検証を行うための体制を整備し、研究の中止勧告も行う場合があることを示しました。
なお、最終報告書決定後に、位田委員が挙手し、「@井村前会長時代に無記名のアンケート調査によって多数派、少数派などと中間報告書で記載されたこと A薬師寺会長が人クローン胚研究容認の強行採決を行った際、採決を知らされていた委員と知らされていない委員がいたこと B最終報告書に提示されている参考資料に研究成果の現状とする論文が多数紹介されているが、これはここでは議論しなかったことであり、こうした資料はもっと前に提出され検討を行うべきであったこと」を挙げ、「非民主的な手続きによってこの最終報告書が決定されたのは残念である。この報告書は非民主的な報告書だという疑念を表明しておきたい」と発言しました。これに対して、薬師寺会長は終了後、記者団に対して「手続き上の問題は私の責任。申し訳ないし、過ちを犯したと思っている」「ただし、過ちを認めたわけではなく、自分ではそういうつもりはない。結果的にアンフェアだといわれたことは重く受け止めたいが、ぼくは一生懸命だった」と回答しました。
調査会終了後、最終報告書に異を唱えた、位田、石井、島薗、勝木、(鷲田)の5名の委員が記者会見を行い、連名で「共同意見書」を発表しました。骨子は以下のとおり。
@研究目的でのヒト受精胚作成は原則として禁止されるべきであること。生殖補助医療の研究目的では容認される例外はあるが、その実情については調査会では認識されておらず、認める条件や根拠、法的制度的検討も議論されていない。今後早急に取り扱いの是非について改めて決定すべきである。
A再生医療に有効といわれる科学的根拠は一般社会に理解できるかたちで説明されなかった。したがって、倫理的議論が深まり、十分な科学的根拠が提示されるまでは認めるべきでない。
Bヒト胚研究は学会などの専門家集団や各省庁にゆだねるのではなく、国として一貫した審査機能をもつ機関が必要である。
C内閣府に、生命倫理に関して独立した検討組織を設けるべく早急に措置がとられるべきである。
(以上、一部概要)
朝日新聞2004/7/14
http://www.asahi.com/science/update/0713/004.html
NHK2004/7/13 動画(期限あり)
http://www3.nhk.or.jp/news/2004/07/14/k20040713000174.html#
生命倫理専門調査会配布資料
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/haihu38/haihu-si38.html
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ヒト胚の作成・研究は法規制せず日本産科婦人科学会に丸投げか |
LNET主宰の最相葉月です。
2004/7/13付け毎日新聞と時事通信によりますと、2004/7/13に開催される総合科学技術会議生命倫理専門調査会で検討される最終報告書案全文が12日に明らかになったようです。
それによると、最終報告書案では「強制力を有する法制度として整備するのは、倫理観や生命観の押し付け的な側面があって、極めて難しい」と判断し、強制力のない指針で十分としています。しかも、実際の審査は日本産科婦人科学会にゆだねるもので、国は、日本産科婦人科学会に属さない研究者や日本産科婦人科学会が判断できない案件のみ対応すべきとし、事実上、学会丸投げとなっています。
毎日新聞2004/7/13朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20040713k0000m040133000c.html
なお、この最終報告書案(最終)は「なんでやねん日記」7/9付で言及した7/7付案となんら変わりはないもので、調査会において合意が得られているものではありません。
LNET主宰の最相葉月です。
2004/7/8フランスAFP通信によりますと、フランス議会はクローン人間づくりを「人類に対する罪 "crime against the human species"」として禁止する「生命倫理法」を採択しました。また、日本では総合科学技術会議生命倫理専門調査会が先日強行採決した人クローン胚作成についても禁止しました。しかし有用性は検討するとし、新たな法律のもとで設置される政府機関(biomedical agency)が倫理問題や医科学的有効性を調査するとされました。
また、体外受精目的で作成した余剰胚の使用禁止措置は5年間延長され、倫理的医学的成果を見極めた上で容認されるだろうと報じられています。
2004/7/8 AFP
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&cid=1539&ncid=1539&e=4&u=/afp/20040709/sc_afp/france_bioethics_cloning_040709035607
*この報道は、容認と報ずるもの(共同2004/7/10、共同を受けた毎日新聞)禁止と報ずるもの(朝日2004/7/11、AFP電を受け)と情報が入り乱れているようです。共同通信は誤報とみられます。
共同通信
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/news/20040711k0000m030098000c.html
朝日新聞
http://www.asahi.com/science/update/0711/001.html
(クローン人間作りには禁固30年と罰金750万ユーロ(約10億円)、治療目的での人クローン胚作りには禁固7年と10万ユーロ(1340万円)を科したとあります)
情報サポーターの岸本和世です。
少し前の『朝日』(7月2日)の記事「妊娠初期の男児死産の比率、女児の10倍に」ですが、新聞の記事としてだけ切抜きをしておきましたが、最近翻訳され、あちこちで書評に取り上げられているブライアン・サイクス著『アダムの呪い』(ソニー・マガジンズ)を読んでいて、わたしは素人ながら、サイクスの記述の“正確な予言”に、ある種の恐怖感をおぼえています。
*なお、わたしはサイクスの本の原書(本文305頁)を買ったので、さらに翻訳書を買うのが癪で、あと10頁残っているのですが…、間違いなくお勧め書です。
死産の胎児のうち、男児の占める割合が、妊娠初期の12〜15週では女児の10倍を超え、妊娠全期間でも2倍以上に達していることが、日体大の正木健雄・名誉教授(体育学)ら4大学の研究グループの調査で分かった。死産に男児が多いのは従来、知られていたが、妊娠初期の極端な偏りが判明したのは初めて。2日、北海道旭川市で開かれる日本臨床環境医学会で発表される。
http://www.asahi.com/science/update/0702/004.html
情報サポーターの岸本和世です。
7月7日のボストン・グローブ紙によると、出産後の母体には、胎児が残した、幹細胞と同じように傷ついた臓器を修復する働きをする細胞が、血液細胞の形でとどまっていることが明らかにされたとのことです。
この細胞が幹細胞なのか、またそれがどのように用いることができるのかについて、まだまだ研究の必要があるとのことですが、クローン胚づくり容認論議に関連して、注目すべきニュースでしょう。
Many a pregnant woman has moments when her fetus seems like a little parasite, all take, take, take. But new research suggests that a fetus may also be giving back a lifelong gift: cells that appear to act like stem cells, migrating to diseased organs in the mother and trying to fix them.
http://www.boston.com/news/nation/articles/2004/07/07/fetuses_give_mothers_a_gift_of_cells_study_says/
サポーターの堂囿です。以下のような社説を見つけました。
愛媛新聞社 2004/6/25
「クローン胚研究容認 強行採決は筋が違っている」
http://www.ehime-np.co.jp/shasetsu/shtsu20040625.html
LNET主宰の最相葉月です。
岸本さん、渡辺さん、引き続き情報ありがとうございます。
卵子、受精卵、胎児と続々と人体の研究利用の道が開かれようとしています。
中絶・死亡胎児の組織については厚生労働省の専門委員会が審議を行っていますが、本日の会合で指針案が示されました。
毎日新聞2004/7/1
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20040702k0000m040077000c.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20040702k0000m040145000c.html
厚生労働省厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会
http://www.mhlw.go.jp/shingi/kousei.html#kagaku-hito
慶応義塾大学岡野栄之研究室の公式HP
岡野教授はこの専門委員会の委員で、2001年12月、人の胎児由来の神経幹細胞を脊髄損傷モデルのマーモセットに移植して機能回復を世界で初めて確認した。
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/physiol/okano/
産業技術総合研究所ティッシュエンジニアリングセンター
人の中絶胎児由来神経幹細胞の大量培養技術の開発している。
http://unit.aist.go.jp/rice/terc/index_jf.htm
LNETサポーター玉井真理子さんのHPでこの問題を詳しく解説されています。(HPの下段参照)
http://square.umin.ac.jp/~mtamai/
先日もお伝えしましたが、神戸市の財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センター臨床試験運営部長、兼、京都大学医学部付属病院探索医療センター探索医療検証部の福島雅典教授が以下のような意見書を提出されています。中絶を行う女性から、その掻爬した胎児を利用することのインフォームドコンセントを得る倫理的課題ほか、重要な問題点を指摘されていますので再掲載します。
http://www.mi-net.org/rights/others/fukushima.html
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テキサス州の医師会が基礎研究目的の人クローン胚作成支持を発表 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
テキサス州のテキサス医師会は、成人の幹細胞だけでなく、ES細胞の研究と研究目的の人クローン胚作成支持の決議をし、会報で支持を表明しました。この医師会は会員が3万9千人で医師会としては全米でもっとも大規模なものです。
最相さんが6月24日の情報掲示板に書かれたように、これらは今年11月に大統領選挙を迎えるブッシュ大統領とケリー候補の争点ともなっています。強固に反対の立場を取るブッシュ大統領のお膝元の医師会の支持表明は、政治的に非常に重要な意味を持ちます。
(シアトルポスト紙、ネット版)
http://seattlepi.nwsource.com/national/apscience_story.asp?category=1501&slug=Doctors%20Stem%20Cell&searchdiff=1&searchpagefrom=1
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アメリカでは、今のところ大手の新聞の社説で日本の生命倫理専門調査会の採決について書いているものは見あたりません。ヘッドラインニュースなどの記事はありますが、いずれも簡略化されたもので、強行採決などの問題点を書いたものはありません。
社説が見あたらない理由については詳しい情報が届いていない可能性も考えられますが、研究推進を支持するアメリカの一般市民のムードを反映しているのかもしれません。レーガン元大統領の死去以来、ブッシュ大統領に研究の推進を訴えて無視されてきたナンシー・レーガン元大統領夫人への同情が集まっています。
ABCNEWS/Beliefnetが、6月20〜24日に成人1,022 人のサンプルに対して行った電話調査では、回答者の約6割がES細胞の研究利用と政府の助成金交付を支持しています。
(ABC ニュース、ネット版)
http://www.abcnews.go.com/sections/politics/DailyNews/poll010626.html
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続報10:基礎研究目的の人クローン胚作成を強行採決 |
LNET主宰の最相葉月です。
社説の続報です。
河北新報2004/6/27
「ヒトクローン胚 多数決での容認に懸念」
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2004/06/20040628s01.htm
中国新聞2004/6/25
「ヒトクローン胚研究 さらに議論深めたい」
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh04062501.html
情報サポーターの岸本和世です。
我らが主宰・最相葉月さんの力作『青いバラ』の文庫化はご存知でしょうが、本日(7月1日)付の『北海道新聞』第1面は、映像入りで「不可能と言われた“青いバラ”が開花−サントリーは30日、花びらに含まれる色素がほぼ100%青色のバラの開発に世界で初めて成功したと発表した・・・」という記事を載せています。
この発表がどのような意味を持っているかは、最相さんの本をご覧ください。
情報サポータの岸本和世です。
ベルリンで開かれている欧州人間生殖発生学会で、コーネル大学の研究チームが、68個のマウスの卵を通常のIVFとクローンの手法で受精させたところ、子宮に着床する時期に当たる胚盤胞までに至るものがほとんどなく、また遺伝的に異常成長が見られたという報告がなされ、ヒト胚クローンはすべきでないと言っています。
また、この学会の総幹事は「現在の実験(結果)から見て、これはとても危険。ヒト胚クローンは禁止すべきだというのが、絶対的な総意である」とのコメントを出しています。
Dr Andre van Steirteghem, executive director of the European Society of Human Embryology and Reproduction, told BBC News Online: "There is absolutely general agreement that reproductive cloning should be banned.
"It's clear from all the available experiments that it's much too dangerous."
http://newsvote.bbc.co.uk/mpapps/pagetools/print/news.bbc.co.uk/1/hi/health/3854039.stm
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続報9:基礎研究目的の人クローン胚作成を強行採決 |
LNET主宰の最相葉月です。
薬師寺会長が、事前に今回の採決の情報を一部の委員に伝えていたことを公式に認めました。
毎日新聞2004/7/1
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20040701k0000m040123000c.html
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続報8:基礎研究目的の人クローン胚作成を強行採決 |
LNET主宰の最相葉月です。堂囿さん、引き続き感謝です。
先日、リンクをご紹介した東京新聞2004/6/26朝刊ですが、実際の紙面では別枠に生命倫理専門調査会の薬師寺会長のコメントが掲載されていました。以下、採決についての発言の一部をご紹介します。
「<前略>突然、強行採決したかのように言われるが、私の考えはこれまで言葉で伝えてきたはず。推進派の委員の反対を懸念するほど慎重な内容になっている。本当は反対派委員の1、2人が賛成してくれると踏んだのだが、票読みとは違っていた。採決を次回に回したらその間にいろんな声が外部からも出て、まとまらなかっただろう」
票読みを行ったということは、事前に根回しをしていたととれる発言です。事実、先日の会長案の提出と採決を知らされていた委員と知らされていない委員がいたことが判明しました。民主主義の手続きの問題としても、公平さと透明性を欠くことは否定できません。
サポーターの堂囿です。探せばあるものですね。
南日本新聞2004/6/26
【クローン胚】問題多い「研究容認」
http://373news.com/2000syasetu/2004/sya040626.htm
(2本目の社説です。)
Japan Times 2004/6/28
EDITORIAL"Get a consensus on cloning research"
http://www.japantimes.co.jp/cgi-bin/getarticle.pl5?ed20040628a1.htm
Japan Timesの方は、私の気になった箇所を訳出しておきます。
こうした[多数決という]方法によってなされた決定は、広汎な市民の支持と信頼とを得ることはできないだろう。そしてこうした支持と信頼は、ヒト胚のクローニングといった非常に異論の多い議題にかんする研究には欠かすことができない。この決定は、たとえ正当化されうるとしても、社会に広く受けいれられることがなければ、影響力をもつことはほとんどないだろう。この議題は、合意を形成するためにもさらに論議されるべきである。
奇妙なのは、今までのところ、政府の専門委員会だけに、意見の対立するそうした議題を決定する権利が付与されているということである。これは、政府と関係のある専門家チームだけではなく、より広汎なグループによって決められるべき深刻な事柄である。
日本はいま研究にまい進しているときではない。悪夢のようなシナリオ――すなわちクローン人間の誕生――にたいして十分に注意することの方が重要である。このためには、胎児へと成長するのを可能にするような仕方でヒト胚が使われないことを確実にするべく、防護となる規制が確立されなければならない。ヒト胚研究には制限が設けられるべきであり、こうした研究は日本産科婦人科学会への登録によってのみ是認されるべきなのである。
クローニングの研究が現実のものとなるのは時間の問題だ。いまのところ日本がとりうる最善の選択肢は、長い期間に及ぶパースペクティブからゆっくりと確実に進むことである。最初のステップとして、国民の合意を得るべく、国会において――政府委員会内ではなく――包括的な議論がなされるべきである。
情報サポーターの岸本和世です。
30日付の英国インディペンデント紙によると、ベルギーの婦人科医師のチームが、ある種の子宮ガンにかかった32歳の女性の、治療を受ける前に摘出し凍結保存した卵巣を、治療後に再移植した結果、生理も再開した上で通常の形で妊娠し、この10月には出産が予定されていることを、現在ベルリンで開かれている国際生殖会議で発表し、世界初の成功として注目を集めているとのことです。
この成果は、理論的には、卵巣を同様の手順で保存・再移植すれば、女性の年齢には関係なく子どもを産むことができることになるので、ある医療倫理学者などは「この技術は、高年になるまで子どもを持つことを遅らせたいという人や更年期を迎えた人に用いられてはならないものだ」と言っています。
http://news.independent.co.uk/low_res/story.jsp?story=536637&host=3&dir=59
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続報6:基礎研究目的の人クローン胚作成を強行採決 |
LNET主宰の最相葉月です。
2004/6/29付時事通信によると、茂木敏充科学技術担当相は29日午前の記者会見で、生命倫理専門調査会が人クローン胚の作成と利用を条件付きで容認する方針を強行採決で決めたことについて「薬師寺泰蔵会長の提案は、解禁を求める意見と反対意見の両方を熟慮した上での調整案としてよく整理された案だったのではないか。会長の努力を評価したい」と述べたと伝えました。
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続報5:基礎研究目的の人クローン胚作成を強行採決 |
LNET主宰の最相葉月です。
もう一本。
信濃毎日新聞2004/6/28
社説「クローン研究 引き続き議論が必要だ」
http://www.shinmai.co.jp/news/2004/06/28/006.htm
堂囿さんの情報を続報4とさせていただきました。
サポーターの堂囿です。以下のような社説もありました。
熊本日日新聞2004/6/28
社説「ヒトクローン胚 研究解禁はまだ早くないか」
http://www.kumanichi.co.jp/iken/iken20040628.html
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続報3:基礎研究目的の人クローン胚作成を強行採決 |
LNET主宰の最相葉月です。
引き続き、続報をお知らせします。
毎日新聞2004/6/30
発信箱「胚でも胎児でもなく」論説委員・青野由利
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20040630k0000m070145000c.html
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続報2:基礎研究目的の人クローン胚作成を強行採決 |
LNET主宰の最相葉月です。
2004/6/26付け東京新聞特報欄にてこのたびの人クローン胚作成容認についての記事が掲載されました。私もコメントしていますので、以下にリンク先をお知らせします。
東京新聞2004/6/26朝刊
「クローン胚づくり容認 なぜ強行採決」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040626/mng_____tokuho__000.shtml
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続報:基礎研究目的の人クローン胚作成を強行採決 |
LNET主宰の最相葉月です。
2004/6/23の生命倫理専門調査会の採決について、各新聞が社説で自社の見解を打ち出しました。
朝日新聞2004/6/25
「クローン胚 研究は認めていいが」
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
毎日新聞2004/6/25
「人クローン胚 報告急がず枠組みの整備を」
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20040625k0000m070144000c.html
産経新聞2004/6/25
「人クローン胚 暴走防ぐ歯止めが前提だ」
http://www.sankei.co.jp/news/editoria.htm
日本経済新聞2004/6/25
「クローン胚 急がば回れ」
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20040624MS3M2400U24062004.html
神戸新聞2004/6/25
「クローン胚研究 自制と引き返す勇気をもて」
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu04/0625ja26620.html
北海道新聞2004/6/25
「人クローン胚 生命倫理の議論が浅い」
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20040625&j=0032&k=200406253913
読売新聞2004/6/25
「クローン胚 慎重さ忘れずに研究を進めたい」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040625ig91.htm
東京新聞2004/6/25
「人クローン胚 厳しい歯止めが不可欠」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040625/col_____sha_____003.shtml
西日本新聞2004/6/24
「人クローン胚 暴走許さぬ枠組みを」
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/syasetu.html
LNET主宰の最相葉月です。
受精卵や卵子など、ヒト胚の研究利用を審議している総合科学技術会議生命倫理専門調査会は、2004/6/23、難病治療に限定した基礎研究を目的に人のクローン胚を作成することを容認する方向で7月には最終報告書をまとめることを決定しました。
これは、2001年施行された「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」付則第2条にある、3年以内に「ヒト胚の生命の萌芽としての取り扱いに関する総合科学技術会議等の検討の結果をふまえ、この法律の施行の状況、クローン技術等を取り巻く状況の変化等を勘案し、この法律の規定に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」を受けて行われた審議で、今回の採決は、難病治療の基礎研究に限り、人クローン胚作成を厳しい条件付きで容認する方向で最終報告書をまとめるとした薬師寺会長案(23日の調査会審議中に提出されたもので、事前に委員による承諾は得られていない)を挙手による採決で決定したものです。
ユネスコメンバー、準メンバー196カ国を対象にした調査では、クローン人間を禁止(法律で禁止29、ガイドラインで禁止5)している国は34カ国。難病治療を目的とする人クローン胚作成は、法律で容認している国は5(イギリス、韓国、ベルギー、フィンランド、オランダ)ガイドラインで認めている国は3(中国、インド、シンガポール)、ドイツやイタリアなど14カ国が法律で禁止しています。アメリカではクリントン時代に作られた既存のES細胞を使う研究以外は政府の助成金を交付しない形で禁止していますが、民間の研究機関や企業には規制は及ばず、研究は進められています。胚の研究利用は、大統領選挙を控える二人の候補の争点ともなっています。
朝日新聞オンラインニュース04/6/23
http://www.asahi.com/science/update/0623/003.html
毎日新聞オンラインニュース04/6/23
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20040624k0000m040094000c.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20040624k0000m040174000c.html
読売新聞オンラインニュース04/6/23
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040623it14.htm
産経新聞オンラインニュース04/6/23
http://www.sankei.co.jp/news/040623/sha120.htm
情報サポーターの岸本和世です。
6月17日付の情報のタイトルを『いつまで子どもを生めるかの期間を知る』としていますが、正確には『…産めるか…』でした。
20日付のニューヨーク・タイムズ紙は、かなり長文(A4で約7頁)の『新しい胎児診断は、親に苦渋に満ちた選択を迫る』と題する記事を載せています。
今日行われている胎児診断は、450種類以上の項目について行うことができますが、そのような診断は事実を明らかにする以上に、親にとってはもちろん、社会全体にさまざまな苦しい選択を迫るものになっていることを、実例に基づいてかなり詳細に述べています。
今日のように、この分野でも技術が急速に“展開”する中での倫理的な決断の困難さはより深刻さを増していることを考えさせる記事の内容です。
なお日本語でも、カレン・ローゼンバーグほか著『女性と出生前検査−安心という名の幻想』(メディカルトリビューンブックス、1996年)、佐藤孝道著『出生前診断』(ゆうひかく選書、1999年)や坂井律子著『ルポルタージュ・出生前診断』(NHK出版、1999年)などがあり、このLNETの「サポーターの宝箱」にも玉井真理子さんがその「お部屋」で取り上げておられますので、参考にしてください。
http://www.nytimes.com/2004/06/20/health/20PREN.html?pagewanted=print&position=
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中絶した胎児の細胞を研究に利用することへの問題点 |
LNET主宰の最相葉月です。
既報のとおり、2004.6.17、厚生労働省の専門委員会は、脊髄損傷やパーキンソン病などの患者への移植医療に向けて中絶した胎児の幹細胞を臨床研究利用することを厳しい条件付きで認めました。条件は、
@人工妊娠中絶を誘発せぬよう、中絶手術と細胞提供の手続きを完全に分離すること
A胎児の細胞提供に関する説明は、産婦人科医、幹細胞研究者以外の助産師、看護師など第三者が行うこと
B提供施設の選定には、施設と厚労省の二重審査体制にする
などですが、これに対して、神戸市にある財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センター臨床試験運営部長、兼、京都大学医学部付属病院探索医療センター探索医療検証部の福島雅典教授が以下のような意見書を提出されました。中絶を行う女性から、その掻爬した胎児を利用することのインフォームドコンセントを得る倫理的課題ほか、重要な問題点を指摘されています。
http://www.mi-net.org/rights/others/fukushima.html
情報サポーターの岸本和世です。
イギリスのテレグラフ紙の記事です。今日の科学の世界で、異なる領域の研究者が共同することで新しい知識や発見が生み出される実例のようなものです。あるがん研究者が、コンピューター科学者と共同で行った研究です。
結果から述べると、女性の子宮のサイズを超音波スキャンで調べ、複雑なコンピューター・プログラムにかけることで、その女性がその時点でどれだけの(卵子になる可能性のある)卵胞を持っているかを測定することができる、というのです。
こういう研究が何をもたらすのかについては、ここに挙げられていることを言えば、@閉経期にあることに気づかずに、避妊ピルを用いている人について、Aいつまで現在の職を持っていて、子どもを持つ時期をできるだけ先延ばししたいと考えている人について、B子宮ガンなどで手術を要する人の、子どもを持つ可能性を知ることについて、C若い人でも、子どもを持てるかどうかの可能性を確認するために、などが挙げられると言います。
http://news.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2004/06/17/nov17.xml&sSheet=/news/2004/06/17/ixnewstop.html
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『生殖(力):生物学が“無言の同伴者”であるとき』 |
情報サポーターの岸本和世です。
『生殖(力): 生物学が“無言な同伴者”であるとき』という題の記事が、6月15日号のニューヨーク・タイムズの科学欄に載っています。
その記事はこう始めています。「哺乳動物がつがうのは、おおよそメスがもっとも受胎し易い時である。それが、つまり、要点だ。それは人間にも当てはまるのか? 多分。」
ただしこれは、ポルノ記事のことではなく、最近専門雑誌に発表された学術研究報告ですが、研究者は「この点が最近までほとんど認知されなかったことは注目に値する」と述べています。
なるほど、人間もやはり“生き物(動物)”なのだ、と納得するのですが、同時に人間の性行為についても考えさせられます。これ以上の内容については添付のURLでお読みください。
When mammals mate, it is often at times the female is most likely to become pregnant. That, after all, is the point. Is that true of humans? Maybe.
http://www.nytimes.com/2004/06/15/health/15fert.html?pagewanted=print&position=
サポーターの堂囿です。
イギリスのヒト受精胚および胚研究許可庁(HFEA)が、冷凍精子、卵子、胚を保護するための新しいガイドラインを作りました。その内実は以下のようなものです。
・効果的なアラームおよび監視システムは保存容器にフィットしている。
・アラームシステムは、かりに労働時間外に問題が生じたとしても、スタッフの注意を喚起するプロセスを含む。スタッフ宅への自動ダイヤルや、病院の火災報知機との連動などがそうである。
・公式の応急処置方は、冷凍庫の事故を処理するもので代用する。これには、サンプルを移すための適切な予備容器も含まれる。
・スタッフ待機システムは、これらの応急処置を実施しうる人が常にいるという点で適切である。
HFEAの最高責任者であるアンジェラ・マクナブ氏の言葉。
「われわれはクリニックに保存してある試料materialを守るためにできるかぎりの努力をしているということを確実なものにしなければならない。とりわけがん患者にとって、この試料はきわめて貴重である。というのもこれは、彼らが子どもをもつ唯一のチャンスでありうるからだ。患者の安全はHFEAにおいて最優先課題であり、われわれはこの点を改善するために、継続的にクリニックと協力しているのである。」
http://www.hfea.gov.uk/PressOffice/Archive/1086684868
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レーガン元大統領の死がヒトES細胞の研究に与える影響 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
アルツハイマー病を長く患っていたレーガン元大統領が死去しました。
共和党のレーガン元大統領は、ヒトES細胞の研究に激しく反対している中絶反対派(プロライフ)の立場を支持してきましたが、妻のナンシー・レーガンは、夫の罹患以来、難病の治療法開発のためのヒトES細胞研究の強い支持者になりました。しかし、この件に関するレーガン元大統領本人の立場は(本人が意志の表明をすることができなかったため)不明です。
ニューヨークタイムズ紙のSafire氏のコラムは、レーガン元大統領の死去がもたらすセンチメンタルな感情が、ヒトES細胞研究に関する法律の成立に影響を与える可能性を示唆しています。
レーガン元大統領に関する記事(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20040607k0000m040097000c.html
ニューヨークタイムズ紙、WILLIAM SAFIRE氏のコラム
http://query.nytimes.com/mem/tnt.html?tntget=2004/06/07/opinion/07SAFI.html&tntemail0
レーガン元大統領を讃えるプロライフ派のサイト
http://www.lifenews.com/
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韓国人クローン胚研究を批判したネイチャー誌の記事 |
LNET主宰の最相葉月です。
英科学誌Nature429,1-112,6 May 2004に、今年2月に発表されたソウル国立大学Hwang博士とMoon博士らの「韓国の人クローン胚からES細胞樹立」研究に対する批判記事「Crunch time for Korea's cloners」が掲載されました。卵子の採取をめぐる諸手続きの問題や倫理的問題、治療的クローン技術の展望についてですが、これを要約したものが第32回生命倫理専門調査会で参考資料として配布されましたので以下にリンクをお知らせします。
総合科学技術会議第32回生命倫理専門調査会 配布資料より
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/haihu32/sankosiryo2.pdf
原文はこちらで(要登録)
http://www.nature.com/nature/
これに関連し、2月、3月に韓国の女性団体や環境保護団体など市民ネットワークが表明した反対意見書をLNETニュースに掲載しました。
https://lnet.unou.net/news/newsmokuji.html
サポーターの堂囿です。
あのアンティノリ医師が、クローン・ベビーの試みについてインタビューされたさい、「少なくとも3例は成功した」と述べたようです。もちろんかなりあやしいのですが。
http://www.reuters.co.uk/newsPackageArticle.jhtml?type=worldNews&storyID=505186§ion=news
情報サポーターの岸本和世です。
昨日の新聞が一斉に報じた「マウス妊娠オスいらず」(『朝日新聞』)は、世界的なニュースで、添付したURLにはそれがぞろぞろ並んでいます。『朝日』では一面に載っているだけですが、『北海道新聞』では<解説>がありました。その解説は、わたしたちのような素人にもわかる形で注意を促していますので、必要な箇所を引用します。
「クローンが核を取り除いた卵子に体細胞を移植する比較的単純な技術(注・といってもわたしたちが簡単にできるわけではないでしょう)なのに対し、単為発生では、特定の遺伝子を操作したマウスを作った上で、その卵子を利用する手順が必要だった。・・・単為生殖では、元となる卵子を作った母親の遺伝情報を受け継ぐが、卵子ができる際に遺伝子の組み換えが起こるので多様性を持つ。元の個体と同一の遺伝的性質を持つクローンとは異なり、どんな性質の子が生まれるかも予測できない」
“かぐや”と命名されたマウスは、457個の(二つの卵子からの操作による)胚から生まれた2匹のうちの一匹(もう一匹はどうなった?)です。このように、わたしたちには計り知れないほどの試行錯誤の末の”成功例”だったのですが、それだけに「男性諸君、ご用心を。これは精子も、雄の染色体も、雄自体も要らないということだ」(『ネイチャー』誌)という“朗報?”には程遠いものであることを覚えておきましょう。
と同時に、科学が広げる“いのちの将来像”について、ただ単にそれを忌避するのではなく、しっかりとその展開について、わたしたちみんなが『自己責任』を自覚しながら受けとめる必要があるように思っています。
http://news.google.com/news?ie=utf8&oe=utf8&persist=1&num=30&hl=en&client=google&newsclusterurl=http://npr.streamsage.com/google/programlist/feature.php%3Fwfid%3D1846255
LNET主宰の最相葉月です。
9日にお伝えしていました、受精卵診断に関するアンケートの回答欄の件ですが、当方で調査いたしましたところ、データ管理中の誤削除が原因と判明いたしました。これまで回答をしていただきました12名の協力者の皆様、また、回答を準備すべく用意してくださっていた皆様へ心よりお詫び申し上げます。以後、できる限りこのようなことがないよう注意いたします。なお、今回のアンケートは中止とさせていただきました。
スタッフ日記に詳細説明がございます。
https://lnet.unou.net/sunbbs4/index.html
LNET主宰の最相葉月です。
受精卵診断に関するアンケートの回答欄が、不具合により0件と表示されております。ただいま、原因調査中ですのでしばらくお待ちください。
これまで回答していただいた方に心よりお詫び申しあげます。
情報サポーターの岸本和世です。
『妊娠中の女性よ喜んでください。チョコレートは赤ちゃんのためになります』というロイター通信からのニュースです。
フィンランドのヘルシンキ大学の研究者が、300人に妊婦中にチョコレートをどれだけ食べたかとストレスの程度を記録してもらった結果を発表しました。
チョコレートを食べた母親から生まれて6ヵ月後の嬰児が笑ったりする積極的な反応がより大きいし、新しい環境に対する恐怖感が、食べないように我慢していた母親から生まれた子どもより小さいというのです。
もちろん、ほかの要因も考えなければならないので、この結果だけですべてを結論付けることはできないのですが、チョコレートがもつ積極的な気分をもたらす成分が、胎内で母親から胎児に伝えられていると言えると、研究者が言っています。
“バレンタインデーにチョコレートを”は業者の思惑ですが、これからは“妊婦にチョコレートを!”ということになるのでしょうか。
情報サポーターの岸本和世です。
ダラス・ニューズ紙によると(ハツカネズミでの研究ですが)研究者が妊娠の終わりごろに胎児の肺−この臓器が胎児の体で最後に形成される−で造られ、分泌されるSP-A (surfactant protein A) という感染を防ぐ物質が、陣痛を始める働きをすることを突き止めたそうです。
研究者たちは以前から胎児が出産に何らかの役割を果たしているだろうと考えていましたが、それが何であるのか分かっていませんでした。ですから、この発見は「胎児が自分の命運を制御していることを証明している」ということになるそうです。
研究者は、このSP-A だけの働きとは考えてはいませんが、この物質の果たす役割を重視しています。早産が起こる上での重要な要因と考えられるからです。
詳しくは、下記のURLをご覧ください。こういう研究成果を通して、いのちの営みの奥深い神秘を感じないではいられません。
http://www.dallasnews.com/sharedcontent/dws/news/healthscience/stories/032304dnmetlabor.3ac1f.html
LNET主宰の最相葉月です。
サポーターの岸本さんより貴重な情報をいただきましたので補足いたします。
アメリカの再生医療ビジネスの現状を描いたノンフィクション、スティーブン・S・ホール『不死を売る人びと』(松浦俊輔・阪急コミュニケーションズ 3800円)には、クリントン以来の米国の生命倫理諮問委員会の審議過程とその政策のゆがみが克明に描かれています。LNET図書室に書評を掲載いたしましたので、ご参考になさってください。
ちなみに、日本の状況は岸本さんのご指摘なさる「科学偏重・思想欠如」というより「科学・思想ともに欠如」ではないでしょうか。
情報サポーターの岸本和世です。
米国政府が、政府の資金を得てヒトES細胞の研究をする場合には、供される受精胚のみを用いることになっていることの波紋については、渡辺由佳里さんや最相葉月さんの情報などでご存知と思います。もちろん、この決定の前提として大統領生命倫理諮問委員会からの答申があることも・・・。
この諮問委員会があまりにも政治的過ぎるということを訴えている当事者である前委員会メンバーの文章と、それを裏付ける米国医師会ニュースを貼り付けました。
内容がすこし専門的ですので詳しくは報告しませんが、今のブッシュ政権の(生命)科学政策があまりにも特定の哲学的・宗教的なかたよりを持っていることを思わずにいられません。ひるがえって、日本の状況はどうでしょうか。どう見ても、科学偏重・思想欠如の政策決定が横行しているように思っています。
http://content.nejm.org/cgi/reprint/NEJMp048072v1.pdf
http://www.ama-assn.org/amednews/2004/03/22/prsd0322.htm
LNET主宰の最相葉月です。
現在発売中の『文藝春秋』4月特別号に生命倫理専門調査会中間報告書批判記事を書きました。タイトルは「クローン胚製造は命の商業化だ」となっていますが、中身は報告書批判です。
27回の審議プロセス、国民説明会で審議にも参加しなかった人物が参加したという不可解、提供者へのインフォームドコンセントの不十分さ、国際協調の必要性、生命倫理審議システムの問題点などを指摘しています。委員の出席・発言回数表も掲載しました。
情報サポーターの岸本和世です。
乳がんの手術を受けるために化学療法が必要になった30歳の女性から摘出し、6年間冷凍保存してあった卵巣の一部を、その女性の身体(前腕でも腹部でもいいが、この場合は後者)に移植して薬品で処置したら、20個の卵をつくり出した。それをIVF受精させたところ、4分割の胚にまで成長したので、子宮に移植したけれども、妊娠にいたらなかったという報道です。
治療した医師によると、このことは@化学療法を必要とする手術を受ける人も、妊娠の可能性を残す、A卵巣を長期間保存できる、というメリットがある、とのことです。もちろん、この技術を使うことができるまでには、長い研究がまだ必要だと言います。
http://www.betterhumans.com/Print/article.aspx?articleID=2004-03-08-4
http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/print_report.cfm?DR_ID=22582&dr_cat=2
情報サポーターの岸本和世です。
英国で ManNotIncluded と WomenNotIncluded (固有名詞ですが、訳すと「男性無関与」「女性無関与」とでもなりますか?変な名前!)という、インターネットで希望者に精子と卵子の紹介販売をしているクリニックで、New Life Center という授精クリニックを始めると報じています。こうした授精技術を実施するのには政府機関の精査が必要ですが、英国では既にレズビアンやゲイ・カップルに体外受精を行っていて、問題は生まれるであろう子どもに対する“父親像”(または、父親の役割をする人物)の必要性(これは、1990年に法で規定されています)にあるのですが、政府機関(HFEA)の委員長は、この規定はレズビアンやゲイ・カップルの差別につながるとして、見直しが必要であると言っています。
これに対して、プロ・ライフからは「生まれてくる子どもの福祉が忘れられている」という批判が出ています。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/3542645.stm
LNET主宰の最相葉月です。
2004/3/5、文部科学省科学技術学術審議会生命倫理・安全部会の特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会は、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターが申請していた人のES細胞を使用する研究計画3件を承認しました。以下がその内容です。
1.ヒトES細胞を用いた神経細胞、感覚系細胞への分化誘導と再生医療への応用研究(使用責任者:笹井芳樹)
・ドーパミン神経細胞、腸管神経ニューロンなどの神経細胞、網膜色素上皮細胞など感覚系細胞への分化誘導方法の開発
・ヒトES細胞分化細胞の分離・純化法の検討など
2.ヒトES細胞を用いた脂肪細胞、中胚葉系幹細胞への分化誘導と再生医療への応用研究(使用責任者:西川伸一)
・ヒトES細胞から脂肪幹細胞など中胚葉系幹細胞、脂肪前駆細胞、脂肪細胞への分化誘導法の開発
・ヒトES細胞分化細胞の自己複製能、多分化能の評価
・ヒトES細胞分化細胞の発現遺伝子の解析など
3.ヒトES細胞の効果的な維持培養を可能にするシグナル因子の研究(使用責任者:丹羽仁史)
・ヒトES細胞の無血清・無フィーダー培養系の開発(ウシ胎児血清およびマウス繊維芽細胞を用いない培養系の開発)
・ヒトES細胞を未分化状態で効率良く増殖させる培養条件の検討など
文部科学省科学技術学術審議会生命倫理・安全部会議事録
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/index.htm
理化学研究所発生再生科学総合研究センター
http://www.cdb.riken.jp/jp/index.html
承認を受けた研究計画の内容
http://www.cdb.riken.jp/jp/0304orange/04/news031017_human_ES_cel.html
研究倫理委員会
http://www.cdb.riken.jp/jp/0304orange/04/0403_for11.html
注記:なお、文部科学省の審議において、理化学研究所内の倫理委員会で今回承認を受けた計画の使用責任者である西川伸一氏が研究計画の議決に加わったことは不適切であったと指摘されました。今後の申請では、研究計画の承認の可否に使用責任者が加わることのないよう、コメントが付されました。
サポーターの堂囿です。
日弁連が生命倫理専門調査会による中間報告書に対して意見書を公開しています。
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/04/2004_13.html
LNET主宰の最相葉月です。
渡辺由佳里さんよりいただいた情報の続きです。
2004/3/4日本経済新聞夕刊によりますと、ハーバード大学は3日、人のES細胞を新たに17種類作ることに成功し、研究者への無償提供を開始したとの発表がありました。これは政府の補助金ではなく、民間資金によるものです。
なお、未確認情報ですが、米科学誌サイエンスに韓国の「人クローン胚からES細胞」研究論文が掲載されたこととの関連を指摘する専門家の声もあるようです。
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ハーバード大学、米国最大規模のES細胞研究センター開設を計画 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
ハーバード大学が米国で最大規模のES細胞研究センター開設の計画を立てていることを、2月28日にボストン・グローブ紙がスクープしました。目標とされている基金は約100億円($100 million)で、これは大規模な研究に慣れているハーバード大学の基準から見ても大きな金額です。ことに、政府からの資金援助のない、プライベートな研究施設としてはほかに例をみない規模ということです。
米国ではヒトES細胞の研究を行うことは違法ではありませんが、ブッシュ大統領のイニシアチブで作られた規制では、2001年8月以降にヒトES細胞株を樹立した科学者には国からの研究資金が与えられないことになっています。先端科学の研究資金の大部分は国からの公的資金なので、この規制は米国でのヒトES細胞の研究に多大な影響を与えました。今回のハーバード大学のセンター開設は、その規制に対して増加しつつある科学者側からの挑戦の一端とも見られています。
(ボストン・グローブ紙−当日を過ぎると会費を払っているメンバー以外は記事を読めなくなります)
http://www.boston.com/dailyglobe2/060/metro/Stem_cell_center_eyed_at_Harvard+.shtml
(ニューヨークタイムズ紙)
http://www.nytimes.com/2004/03/01/science/01STEM.html
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韓国の人クローン胚からES細胞を樹立した研究者の回答 |
LNET主宰の最相葉月です。
韓国で人クローン胚からES細胞を樹立した研究を行ったWoo Suk Hwang教授に卵子提供に関する問い合わせをしたところ以下の回答が得られました。なお、最も重要な3番の問いには十分な回答が得られていません。結果的に国が認めたことをもってよしと判断するというのでしょう。(質問者は最相)
1.16人の卵子提供者の女性たちはどのように集めたのか?
回答)研究の趣旨に賛同して参加したいという、自発的な卵子提供者から提供してもらった。
2.彼女たちへのインフォームド・コンセント(説明と同意)の具体的中身は?
回答)この研究の目的、過程と具体的な技術現況をまず説明し、次に卵子提供過程で、ホルモン剤の投与、麻酔などの全過程および危険性などについて知らせ、また、この提供の過程では金銭的、社会的代価は支払うことはなく、その結果物を商業的に利用することはない旨を告げた。
3.韓国の「生命倫理及び安全に関する法律」では、国会審議案の段階では、研究のために新しく卵子を採取することは許されず、不妊治療で廃棄されることが決まった余剰胚に限るとされていました。それなのに、研究目的で卵子を採取できたのはなぜか?
回答)これは、政府と国会の判断であり、本研究ではあずかり知らない事項だ。
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韓国の研究グループ、クローン胚実験を中断すると発表 |
LNET主宰の最相葉月です。
既報のとおり、ソウル国立大学の文信容Woo Suk Hwangとミシガン州立大学のJose B.Cibelliらの研究グループは2004/2/12発売の米科学誌サイエンスで、人間のクローン胚からES細胞をつくりだすことに世界で初めて成功したと発表しましたが、2/19付け朝鮮日報によりますと、帰国後の会見で、「今回の成果には満足するが、倫理的問題を解決するため、当分の間、ヒトの卵子を使ったクローン実権は中断し、各界の意見を聞く」とし、「私たちが行っている実験の倫理性について、国際的な意見はもちろん、韓国市民と政府の判断を待つ必要がある」「政府が最終的にヒトクローン自体を禁止する場合、私たちの持つ技能を海外に移転する」と発表しました。
韓国では、2003年12月に「生命倫理と安全に関する法」が成立、クローン人間づくりは禁止されていましたが、治療目的の人間のクローン胚づくりについては現在国家生命倫理審議委員会が審議しており、そのなかで、現在進行している研究については一定の条件で認めていました。しかし、三菱化学生命科学研究所のぬで島次郎氏によると、「立法過程では市民団体と科学産業界、また官僚の利権争いなどもあり、なかなか法案審議に入れなかったところ、昨年末に突然国会を通過したので驚いた。サイエンス誌の発表が決まるまで様子見をしていたのではないか」とする見方もあります。なお、その立法予告案では、ヒト胚研究はあくまでも余剰胚に限り、新たに卵子を採取することは認めていませんでした。
朝鮮日報2004/2/25
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/02/19/20040219000002.html
参考資料
CLSS ETUDES 韓国における発生・生殖技術への対応 洪賢秀(科学技術文明研究所)
情報サポーターの岸本和世です。
2月19日付の英国テレグラフ紙によると、クローン羊のドリーを生み出したイアン・ウイルムット教授は、遺伝子操作が持つ遺伝的な病気の治療への潜在的益は大きく、「それを使わないのは、非道徳的だ」と述べ、将来医師たちはクローン技術と遺伝子操作技術を結び付けて、遺伝病をなくするようになる、と確信しています。
かれは、このような技術で生まれるベビーは大人の複製ではなく、IVF技術(治療)によって生まれる一卵性双生児であるとして、「クローン人間そのものを造ることには絶対に反対であるが、クローン・ベビーを生み出すことはある状況の下では望ましい、と考えている」と、NEW SCIENTIST誌に書いているとのことです。
最近、韓国で成功したと伝えられたクローン・ヒト胚をめぐって、肯定的・否定的と様々な反響が起きていますが、前に紹介したことのあるグレゴリー・ストックの『それでもヒトは人体を改変する』(早川書房)を、たくさんの<!>や<?>や<傍線>を付けながら読むなかで、ストックの議論の仕方に一種の感銘を受けています。それは、わたしたちが(倫理的な)論議をする際に、自分がいつもある偏りを持っているのに、それを無意識のうちに絶対化・正当化することが多いことを知らされたからです。英語のright と rights の混同のようなものとでも言えるかもしれません。その点で、これも前に紹介した Mary Warnock の「MAKING BABIES - Is there a right to have children?」(Oxford Univ.Press) の論議の展開の仕方に、学ぶところが大きいです。
http://news.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2004/02/19/nclone19.xml&sSheet=/news/2004/02/19/ixhome.html
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国内でつくられた人間のES細胞を使用する研究が初めて承認される |
LNET主宰の最相葉月です。
2004年2月13日、文部科学省の生命倫理・安全部会特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会は、昨年京都大学再生医科学研究所(樹立責任者:中辻憲夫所長)でつくられた人間のES細胞を使用して血管再生を目指す京都大学教授中尾一和氏の研究計画が、国の指針「ヒトES細胞の樹立および使用に関する指針」に適応しているとして承認しました。
人間のES細胞を使用する研究は、2002年4月26日に初めて中尾教授が文部科学大臣の承認を得て現在までに8件の使用計画がスタートしています。しかし、これらはいずれも海外から輸入された株で、国内でつくられた細胞を使用する研究が承認されたのは初めてのことです。
国内でつくられたES細胞は使用機関に対して無償で提供され、研究成果がでた場合の知的所有権は使用機関が確保できるため、海外の細胞を使用した場合に比較すると経済的にメリットがあると考えられています。
なお、この日、専門委委員会は海外で作られたES細胞をサルに移植してパーキンソン治療の効果を調べる田辺製薬と自治医科大の共同研究も承認しています。
田辺製薬のリリース
http://www.tanabe.co.jp/newsrelease/2004/20040213.pdf
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韓国と米国のグループが人間のクローン胚からES細胞をつくることに成功 |
LNET主宰の最相葉月です。
既報のとおり、ソウル国立大学の文信容Woo Suk Hwangとミシガン州立大学のJose B.Cibelliらの研究グループは2004/2/12発売の米科学誌サイエンスで、人間のクローン胚からES細胞をつくりだすことに世界で初めて成功したと発表しました。
受精卵が胚盤胞と呼ばれる時期に内部細胞塊から得られるES細胞は、培養することによって神経細胞や心筋細胞など人体のあらゆる組織や細胞になりうる万能細胞と呼ばれています。しかし、移植が必要な患者にとっては他者の細胞を用いれば拒絶反応が起きるため、患者自身の核を核を取り除いた卵子に移植したクローン胚からES細胞を得ることが望まれていました。これは、クローン人間をつくりだす生殖目的のクローン技術reproductive cloningとは異なり、治療目的のクローン技術therapeutic cloningと呼ばれています。
論文によれば、今回、文氏らは、研究の目的について説明を受けて同意・署名をした16人の健康な女性から卵子のもとになる卵母細胞242個の提供(無償)を受け、そのうち176個の卵母細胞から核をのぞき、そこへ卵母細胞の提供者と同じ女性の体細胞(ここでは、卵丘細胞)の核を移植してクローン胚をつくりました。176個の胚のうち30個が胚盤胞まで成長、そこから20個の内部細胞塊が得られ、このなかからES細胞が一株できました。研究グループはこの株が多分化能力をもつことをマウスへの移植で確認しています。マウスのクローン胚からES細胞を得ることには理化学研究所の若山照彦氏らが成功しましたが、人間では初めてのことです。
韓国では2003年12月に「生命倫理と安全に関する法」が成立、クローン人間づくりは禁止されていましたが、治療目的の人間のクローン胚づくりについては現在国家生命倫理審議委員会が審議しており、そのなかで、現在進行している研究については一定の条件で認めていました。
日本では現在、総合科学技術会議生命倫理専門調査会が議題として採り上げていますが、科学的・倫理的議論はいずれも不十分なまま、中間報告書では両論併記となっています。
なお、この研究については神経変性疾患などの移植医療に道を開くものとする声がある一方で、京都大学再生医科学研究所長の中辻憲夫氏は、「米国で、ヒトと同じ霊長類のサルの体細胞クローン胚で染色体異常が起きたという研究報告がある。今回の実験で成功率が低いのは染色体異常が原因なのかどうかも含めて、きちんと検証する必要がある」(2004.2.13産経朝)「治療への応用には社会的な理解が不可欠だ」(2004.2.12読売夕)と慎重なコメントを発表しています。
米国での報道をバランスよくまとめた記事
kaisernetworkより
http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/print_report.cfm?DR_ID=22183&dr_cat=2
なお、論文は以下のとおり。登録をすれば無料で読めます。
http://www.sciencemag.org/cgi/rapidpdf/1094515v1.pdf
韓国中央日報が国際エンバーゴ(期限付き報道規制)を破り報道をしたとして韓国研究陣が対応に追われているとする東亜日報の報道2004/2/12
http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2004021351488
Hotwired Japan
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20040213301.html
追記
中辻氏が上で言及しているサルのクローン胚で染色体異常がおきたとする論文は以下のものと思われます。
Simerly,C.et.al Molecular correlates of primate nuclear transfer failures.Science 300,297(2003)
文氏らの研究では、除核する(DNAと紡錘体を除く)ときに従来の吸引法ではなくゆっくり押し出す手法を用いています。文氏らはSimerlyの論文にも言及しつつ、吸引法では紡錘体が損傷を受けるため染色体の異常を引き起こしたのではないかと推測しています。
韓国の生命工学関連株価高騰 http://japanese.joins.com/html/2004/0213/20040213180414300.html
情報サポーターの渡辺由佳里です。
福岡県筑後市にある国立療養所筑後病院6病棟で筋ジストロフィーと闘いながら生活する患者さんたちが結成した「逢飛夢新聞社」のサイトで、出生前診断(受精卵診断)についての意見を読むことができます。
患者さんだけでなく、ご家族、筋ジストロフィー協会、医師の複雑な心境の一端を知ることができます。
出生前診断に反対する一方的な意見ではありません。ぜひお読みください。
(逢飛夢新聞社)
http://www.fsinet.or.jp/~atom/news80.html
受精卵診断に関するアンケートが回復いたしました。
LNET主宰の最相葉月です。
2/8より実施中の受精卵診断に関するアンケートですが、回答を選択する段階で選択肢がうまく表示されない状態になっています。大変ご迷惑をおかけいたしますが、現在調整中ですので、いましばらくお待ちください。
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12年間冷凍された受精胚を使った出産に成功?! |
サイト制作見習いのフジモトです
2/4ワイアード・ニュースは、体外受精後12年間冷凍保存された胚から39歳の女性が健康な双子を出産したことを報じています。場所はイスラエルのハダサ大学病院。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040205301.html
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受精卵由来の幹細胞の研究に対する別の角度からの懸念 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
カリフォルニア州に続き、ニュージャージー州も受精卵由来の幹細胞を難病の研究や治療法開発のために使用することを認める法律を可決しましたが、1月18日のニューヨーク・タイムズ紙は、この動向を多角度から検討しています。情報をお伝えするのが少々遅れたことを前もってお詫びします。
下院議員Fraguela氏は、「すべての議論を聞いたうえで、『人間愛』に私の票を投じることにした」と共和党を離党して民主党に加わってまで賛成票を投じた理由を述べていますが、生命倫理、医療倫理の専門家たちは、現実面での不安を語っています。
たとえば、ニュージャージー州の法律が支持された背後には「幹細胞や体細胞核移植(いわゆるクローニング)を研究に利用することで難病への治療法が速やかに開発される」という期待が含まれています。
これについて、ハーバード大学医学部 医療倫理部 準部長のDr. Walter M. Robinson氏は、「私は受精卵を使用することの倫理的な論点よりも、研究が商業化されることを心配している」と、企業や投資家が短期間に過剰な金銭的見返りを期待することにより、研究の評価方法が変わることへの不安を述べています。
また、コロンビア大学生命倫理センターのセンター長Dr. Ruth L. Fischbach氏は、研究者がこそこそ研究しなくても住む環境になることをを歓迎しつつも、「期待どおりの結果をまだ出せていない遺伝子療法のように、一般人はこの研究で速やかな結果が出ないことにしびれを切らすおそれがある」と、ふくらみすぎる期待に不安を示しています。
また、ニュージャージー州の法律はこれらの研究に多額の資金を提供するものではありません。成人の幹細胞を使っているコリエル研究所では、資金の60%が政府からの援助です。カリフォルニア州のように提供資金を増やさない限り、ニュージャージー州で受精卵を使った幹細胞の研究が著しく進むことはないだろうと見られています。
(ニューヨーク・タイムズ紙)
http://query.nytimes.com/mem/tnt.html?tntget=2004/01/18/nyregion/18NJ.html&tntemail0
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政府のバイオ関連予算・過去22年で最低の伸び率 |
LNET主宰の最相葉月です。
2004/2/2日経バイオテクニュースによりますと、交付金や競争的資金を除いた2004年度の日本のバイオテクノロジー関連予算は2625億円で、2003年より39億円増の1.5パーセント増の伸びにとどまったとのことです。これは、日経バイオテク誌が1982年度予算から政府のバイオ関連予算を集計して以来最低の伸び率で、「量から質へ」の転換とみています。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/news/detail.jsp?id=20023769
情報サポーターの岸本和世です。
インドの43歳の女性が、イギリスに住む自分の娘とその夫の体外受精胚の代理母となり、男女の“孫”を出産した、というニュースです。もちろん、このような代理出産は世界で初めてではなく、1987年に南アフリカで48歳で三つ子の孫を出産したのが最初の例です。
親子関係の法的な問題については、イギリスでは6週間後に親となろうとする人たちが請求することで、子どもに対する親権が与えられるそうです。
日本での議論としては、「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する要綱中間試案」についての意見が、8月31日付の「パブリックコメントのすすめ」に出ています。
代理懐胎・出産に関する議論の全体を把握していないので、ちょっとあやふやですが、この問題についてわたしが最も注意して行きたいと思うことは、法的なこと以上に、やはり「子どもを持つこと・育てること」についてです。上記のニュースでも倫理的に問われるべきこととして挙げられているのは、「将来、子どもが、産みの母と育ての(遺伝的には実の)親をどう受け取るか」という点です。
実の親が子どもを虐待したという事件が枚挙にいとまない昨今、「子どもを産み・育てる」ことの倫理を根底から考える必要があるのではないでしょうか(何だか、わたしのテーマの宣伝みたいになりましたが)。今回の芥川賞受賞作についての評論家の文章のキャプションは、『共通の閉塞感「燃焼系」と「自傷系」』『「痛み」求める子 一斉に出現』とあります(北海道新聞1月23日夕刊)。
http://news.telegraph.co.uk/core/Content/displayPrintable.jhtml?xml=/news/2004/01/30/nsurr30.xml&site=5
LNET主宰の最相葉月です。
2004/1/25付共同通信によりますと、厚生労働省は24日までに、生殖補助医療に関する法律案の今国会への政府提案による提出を断念したことを発表しました。
厚生労働省は、2003年4月に厚生科学審議会生殖補助医療部会がまとめた報告書について法案提出を目指して作業を行ってきましたが、自民党内に子供を産む権利を国が規制するのはおかしいなどの反対意見があり、提出困難と判断されました。
2004/1/25共同通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040125-00000018-kyodo-soci
厚生労働省厚生科学審議会生殖補助医療部会「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/04/s0428-5.html
情報サポーターの岸本和世です。
昨年の10月でしたか、英国で二人の女性が凍結受精卵を子宮に戻して出産することを希望したけれども、パートナーであった男性が同意しなかったために、裁判では要求が拒否されたというニュースを報告しました。
その内のひとりの女性は、卵巣を摘出する手術を受けていたため、受精卵を用いるしか道がなかったのです。今回この女性に対して、控訴院で子宮に戻す手術を承認するという決定がなされました。もうひとりは、既に断念していました。
男性の側が拒否していたのは、将来の経済的な(そして、多分、法的な)負担をしたくない、という理由であったようです。ヨーロッパ人権法(European human rights legislation)によると、胎児は生きる権利(a right to life)を与えられています。
ここで将来的に発生する倫理的な問題として考えなければならない点は、「生まれてくる子どもが既に生まれる前から遺伝的な父親から“生まれることを拒否されている”という事実」があることです。体外受精による人の場合は、“父親”が「拒否」しているわけではない(「知らない」でしょうが)ので、この場合とは違った状況です。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/3402929.stm
LNET主宰の最相葉月です。
総合科学技術会議生命倫理専門調査会がまとめた「ヒト胚の取扱い方に関する基本的考え方」中間報告書についてのシンポジウムが東京(2/8)と神戸(2/15)で行われます。
双方とも申し込みが必要です。
詳細は以下のとおり。
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/sympo/main.html
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胎盤を共有する二卵性双生児で性染色体異常。不妊治療の影響か。 |
LNET主宰の最相葉月です。
2004.1.15付読売新聞によれば、昨年関東・中部・九州の計4医療機関で胎盤を共有する二卵性双生児4組(男女8人)が誕生、血液のリンパ球検査を行った3組に男女の性染色体が混在する異常が見られたという報道がありました。現在障害はありませんが、将来不妊になる可能性が指摘されています。なお、1組は検査を行っていません。
胎児へ栄養を供給する胎盤を双生児が共有した場合、遺伝子が同じ一卵性は成長しますが、遺伝子の異なる二卵性の場合、一方は成長できないと考えられていました。今回も、1組の双子の体重差は1000グラム以上ありました。
4組のうち2組は通常の体外受精(複数の精子と卵子を培養し、受精したものを子宮に戻す)、1組は1つの精子を直接卵子にピペットで注入する顕微受精、1組は精子を子宮に注入する人工授精を利用していました。昨年米国でも1例、不妊治療によって誕生した二卵性双生児に同じ結果が報告されています。このため、不妊治療の影響を指摘する専門家の意見があります。
読売新聞オンラインニュース2004/1/15
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040115it01.htm
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040115ic01.htm
追加情報
2004/1/20の読売新聞朝刊で、追加情報が報じられました。
胚盤胞移植の影響ほか、排卵誘発剤、培養技術を示唆するものです。不妊治療が発展途上の技術であることがわかります。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040120i501.htm
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。情報サポーターの岸本和世です。
Lancet という医学雑誌に載った報告で、オーストラリアの研究者が流産を繰り返す原因となるたんぱく質を発見したそうです。このたんぱく質は、免疫系で重要な役割を果たし、胎盤で生産されるものです。このたんぱく質の集積は Macrophage inhibitory cytokine 1 (MIC1) と呼ばれ、妊娠期間中に増加します。研究者は、300人の女性のうち、流産した100人は200人の通常の出産をした女性に比べると、3分の1の量だったとして、これが流産を引き起こすのではないかと考えています。もし 低い MIC1 が原因だとすると、MIC1か類似した薬が流産の予防に役立つかもしれない、と考えています。
もちろん、この研究発表に対して、MIC1 の減少が流産の原因なのかその結果なのか、このたんぱく質の役割についてさらに研究が必要だ、という意見もあります。
詳しくは、添付した URL をお読みください。http://news.independent.co.uk/low_res/story.jsp?story=479413&host=3&dir=505
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慶応義塾大学、筋ジストロフィーの着床前診断を承認 |
LNET主宰の最相葉月です。
2003/12/31朝日新聞のネットニュースasahi.comによると、慶応大学医学部の倫理委員会(委員長・北島政樹医学部長)は、生まれてくる子供がデュシュエンヌ型筋ジストロフィになる可能性を判断する着床前診断を承認、2004年1月に日本産科婦人科学会に申請することになりました。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは男性に多く発症し、4〜5歳の頃から筋力が低下、10歳で寝たきりとなり介護が必要な遺伝性疾患です。性染色体のX染色体上にある筋肉の細胞の骨格をつくるジストロフィンというたんぱくの遺伝子の異常であることがわかっています。心臓や肺に障害が出て、呼吸補助装置の普及でかつてよりは伸びたものの、寿命は30歳ぐらいという難病です。
着床前診断は、8細胞期の受精卵の細胞を1個とり、遺伝子の異常の有無を検査する方法です。これを行えば、中絶という母親の負担がなくなるという考え方がある一方、何をもって重篤な疾患とするのか、ともすれば命の選別につながるのではないかという議論があります。
asahi.comによりますと、この夫婦は同じ病気の子供を出産、その後に再び妊娠したときは羊水検査で病気の可能性が高いとわかり中絶した経験があり、今回の着床前診断は強く希望されているとのことです(慶応大学チームの責任者は吉村泰典教授)。
日本産科婦人科学会は1998年に重篤な遺伝病に限り、学会審査を経て行う着床前診断を容認しています。過去には鹿児島大学や民間医院の申請がありましたが却下、現在は名古屋市立大学が申請したケースの審査を行っています。
asahi.com2003.12.31
http://www.asahi.com/science/update/1231/001.html
社団法人日本筋ジストロフィー協会
http://www.jmda.or.jp/index.html
日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/
玉井真理子さんのHP(着床前診断・受精卵診断のデータが豊富です)
http://square.umin.ac.jp/~mtamai/
LNET主宰の最相葉月です。
生命倫理学サポーターの玉井真理子さんがご自身のHPにおいて、「出生前診断・着床前診断」のコーナーを作成されました。今回、総合科学技術会議生命倫理専門調査会「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」中間報告書には着床前診断に関する記述を検討する際の参考となる資料が提供されています。
玉井真理子さんのホームページ
http://square.umin.ac.jp/~mtamai/
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総合科学技術会議生命倫理専門調査会「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」中間報告書がパブリックコメントにかかりました |
総合科学技術会議生命倫理専門調査会が2003/12/26夕刻、「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」の中間報告書をとりまとめ、パブリックコメントにかけました。みなさまのご意見が最終報告書作成への参考となります。
LNET読者のみなさまには特に関心のあるテーマだと思いますので、ぜひ以下URLをごらんください。
募集期限
平成16年2月29日(日)まで ※郵送の場合は同日必着
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/pubcom/main.html
情報サポーターの岸本和世です。
最近の科学技術の展開の速さにはとても追いつけないな、と感じる情報がどんどん出されます(他のことで忙しく、材料はたくさんあるのですが、提供していないままになっています)。もちろんしろうとのわたしには、それらの報告が「ガセネタ」であるのかどうかの判断はできないので、情報の提供にはより慎重でなければならないと思っていますが、以下のような研究発表はどうなのか判断がつかないとしても、お知らせする価値はあると思います。
受精胚由来の幹細胞(ES細胞)から、さまざまな臓器を作り出すことが可能になっていることの中で、受精胚の使用についての倫理的問題が論争されていますが、12月23日にはカリフォルニア州のスクリップス・リサーチ・インスティチュート(Scripps Research Institute) が、細胞を前駆細胞に戻すことができる小さな合成分子を確認した、という報告をしました。
リバーシン(reversine) と名付けられたこの合成物は、筋肉になるようにプログラムされている細胞を逆分化させ、そのように戻された前駆細胞はさまざまに異なったタイプの細胞になる可能性を持っているというのです。
これが事実とすれば、受精胚由来の幹細胞を使う必要がなくなるので、倫理的な問題は起こらないわけです。(12月24日付けの英国テレグラフ紙から)
It has identified a small synthetic molecule that can induce a cell to undergo dedifferentiation - to move backwards developmentally from its current state to form its own precursor cell.
http://news.telegraph.co.uk/core/Content/displayPrintable.jhtml?xml=/news/2003/12/24/wcells24.xml&site=5
This compound, named reversine, causes cells that are normally programmed to form muscles to undergo reverse differentiation - turn into precursor cells. These precursor cells have the potential to become different cell types in the body.
Reversine represents a useful tool for generating an unlimited supply of such precursors and avoids ethical issues associated with stem cells.
ついでに紹介しますと、12月31日付け早川書房発行の翻訳書『それでもヒトは人体を改変する−遺伝子工学の最前線から−』グレゴリー・ストック著(原題 Redesigning Humans Our Inevitable Genetic Future 2002年)は、お薦めです。上記の例でも明らかなように、このような生命科学の分野の客観的な可能性は底知れないものがあります。倫理的な論議がなされる一方で、この可能性を実際に使う人たちが出てくるのは不可避ではないでしょうか。
生命倫理は、この「不可避性」とどのように向かい合うかという課題を持つのであって、単純に「やっていいか、いけないか」という選択の問題ではないということを考えさせる、出版と同時に激しい論争になった本です。 (例えば、フランシス・フクヤマ著『人間の終わり バイオテクノロジーはなぜ危険か』がその対極にあります)
LNET主宰の最相葉月です。
総合科学技術会議生命倫理専門調査会が2003年末より2004年2月までの予定で「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」の中間報告書をパブリックコメントにかけるにあたり、LNETでも緊急アンケートを実施いたします。
なお、設置当初に選択肢に不具合があり修正いたしました。初日に回答していただいた女性1名の方の回答は選択肢と回答が符合しなくなったため、とりあえずいったん削除させていただきました。大変申し訳ございませんが、差し支えなければもう一度回答していただけますと幸いです。初日、混乱がありましたことを改めておわび申し上げます。
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人クローン個体産生禁止条約の国連における審議状況 |
LNET主宰の最相葉月です。
2001年12月、ドイツとフランスの提案によって始まった上記条約締結のためのアドホック委員会ですが、2003年11月6日に国連総会第六委員会において、意見が対立していたコスタリカ提出決議案とベルギー提出決議案のコンセンサスを得るため、OIC諸国(イスラム諸国会議機構)から議論を2年間延長する動議が出され、可決されました。コスタリカ案は、人クローン個体のみならず、治療用クローンもすべて禁止すべきとする案、ベルギー案は、人クローン個体は禁止するが、その他のクローニングには、禁止、モラトリアム、規制の中から加盟国が選択すべきとするものです。
しかし、12月9日に国連総会本会議において、この第六委員会の報告書に関する審議が行われたところ、2年間の延期を1年間とし、2004年の国連総会において再度審議を行うことを決定しました。
なお、日本は、ベルギー案の共同提案国となっています。
参考文献
外務省総合外交政策局国際科学協力室2003.12.12資料5
LNET主宰の最相葉月です。
2003年12月12日、総合科学技術会議第27回生命倫理専門調査会が行われ、「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」(案)を賛否両論併記でまとめる異例の中間報告で月末に開催の総合科学技術会議で報告、その後来年2月までパブリックコメントにかけられることが決定しました。
内容は、人間の受精胚の倫理的位置づけの考え方、人クローン胚作成を認めるかどうか、また、研究を目的に人為的に受精胚を作成することを認めるかどうかに言及するものです。12日の委員会も賛否両論発言があり、案は今後井村裕夫委員長の責任のもと修正され、月末の総合科学技術会議で報告された後にパブリックコメントにかけられます。
本案は難病治療医学目的にクローン胚や受精胚の作成を認めようとする推進派多数と、科学的にも社会的にも時期尚早である、人体の資源化につながるとする慎重派が激しく対立、基本的考え方の記述においても紛糾しました。研究のために受精胚を作成することは卵子や精子をどこから入手するのかなどまったく検討されておらず、中間報告書発表後もさらなる議論が予想されます。
なお、来年1月5日に総合科学技術議員を引退する井村委員長はそれに伴い、生命倫理専門調査会委員長も辞任するとの発表を行いました。
参考情報
毎日新聞2003年12月12日科学ニュース
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031213k0000m040132001c.html
毎日新聞2003年12月13日朝刊
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/Medical/art/031213M091_0303101E10DC.html
読売新聞2003年12月12日ヘッドラインニュース
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20031212it12.htm
情報サポーターの渡辺由佳里です。
イタリアの上院はこの木曜日に精子・卵子の提供と代理母を禁じ、生殖補助医療を結婚あるいは「安定している」という証拠のある異性愛者カップルのみに限る法案を可決しました。
62歳の女性を卵子提供により妊娠出産させた不妊治療医アンティノリ氏はイタリア人で、イタリア人の多くは何らかの形で生殖補助医療を制限する必要性を感じていたようです。けれども、この厳しい法律に対しては「中絶を禁じる道を作った」という批判が出ており、法の賛成派もそれを認めているようです。
(ニューヨークタイムズ/ロイター通信)
http://www.nytimes.com/2003/12/12/international/europe/12ITAL.html?tntemail0
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非配偶者間人工授精で生まれた人たちの聞き取り調査始まる |
LNET主宰の最相葉月です。
2003.11.24付毎日新聞一面で報道されたように、第三者の男性から提供された精子を使う非配偶者間人工授精(AID)で生まれた人々の父親捜しが始まりました。こうした動きが報道されたのは、国内で初めてのことです。
日本で初めてAIDによる子供が誕生したのは1949年8月、慶応義塾大学でのことでした。夫以外の男性の精液を妻の排卵時に子宮に注入する方法で、産婦人科の安藤画一教授、山口哲、高島達夫博士ら(当時)によって行われたのが最初です。
無精子症、精子死滅、精液欠乏症などの原因がある場合、血液型不適合、夫の遺伝因子を継がない方がいいと判断された場合に行われ、提供者は匿名、夫婦と病院長の間で誓約書が交わされます。文面には、子供は夫婦の子として育てること、将来病院に対して迷惑をかけないことなどを約束することが記されています。
提供者は慶応の医学生らで、匿名性を高めるために、複数の精液を混ぜて使用することのあったそうです。1990年代に夫婦間の顕微受精の技術が開発されたため、AIDは減少する傾向にありますが、現在すでに1万人以上といわれています。
なお、厚生労働省の生殖補助医療を検討する審議会では、出自を知る権利を認める方向にありますが、すでに生まれている1万人への措置はなんら行われていません。慶応大学の長沖暁子助教授らは、日本での当事者の聞き取り調査を行うためホームページを開設した。2003.12.14には、オーストラリアで父親捜しをする大学生を招いた講演会が都内で行われる予定。
http://www.hc.keio.ac.jp/aid/index.html
電話090-6946-0095
参考文献 飯塚理八『不妊の治療』(主婦の友社)
最相コメント:本書は昭和61年発行。著者は慶応で安藤教授のあとにAIDを推進した飯塚氏です。生まれてきた子供への配慮がまったくなされていない発言の数々、母親らの「背の高い人、鼻の高い人、趣味は音楽好きとか、無理からぬ話もありますが、ご主人には全然ないような理想像を述べておられるのですかという虫のいい注文もあります」という一文にも驚きます。
現在も、図書館などで読めるのではないでしょうか。
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京都大学再生医科学研究所ヒトES細胞分配規定を定める |
LNET主宰の最相葉月です。
2003.11.20付産経新聞ほか各紙報道によりますと、人間のES細胞の作成に国内で初めて成功した京都大学再生医科学研究所は、人間のES細胞を使用機関に分配する際の規定が11.19に行われた研究所内倫理委員会において了承されたと発表しました。
人間のES細胞の樹立と分配、使用については文部科学省の指針があり、第三者への譲渡禁止や違反した場合の事実の公表などが規定されています。このたび京大再生研が定めた規定には、再生研と使用機関の間で同意書を交わすほか、違反があった場合には、「使用機関に研究の中止を申請」「ヒトES細胞の返還請求」「違反事実を公表」「以後の使用停止」と、罰則を付加しました。つまり、人間のES細胞の使用については、文部科学省と作成・分配機関(京大再生研)の二重のチェック体制が整備されることになります。
分配したES細胞を使用する研究の成果については、使用機関の研究に一定の自由を認めるべく、京大再生研は分配した「ヒトES細胞以外の権利の共有等について何ら主張しない」としました。ただし、加工された「ヒトES細胞」と分化細胞にかかる所有権(知的財産権を含む)は、再生研と使用機関の共有を原則とし、持ち分は両者合意の上決定するとしています。
この日の倫理委員会では、再生研内から申請のあった「ヒトES細胞」を使用する研究3件が了承され、来年早々には分配が始まるとされています。産経新聞は、作成・分配機関と使用機関が同じ場合は、第三者がチェックする仕組みをつくるなど細部にわたるルールが必要ではないかと述べています。
「生命の萌芽」として慎重に取り扱うべきとされる「ヒトES細胞」の研究がいよいよ始まります。
今回承認された3件の研究は以下のとおりです。
・「ヒトES細胞を用いたヒト心血管分化機構に関する研究」(使用責任者:同研究所附属幹細胞医学研究センター幹細胞分化制御研究領域助教授の山下潤氏)
・「医学応用を目指したヒト胚性幹細胞(ES細胞)の安全かつ簡便な新規培養技術の開発研究」
・「ヒトES細胞に対する遺伝子導入法の開発と遺伝子改変技術の確立」(いずれも使用責任者:再生医科学研究所教授の中辻憲夫氏)
2003.11.20産経新聞朝刊
http://www.sankei.co.jp/news/morning/20iti001.htm
京都大学再生医科学研究所ヒトES細胞研究情報公開ページ
http://www.shigen.nig.ac.jp/escell/human/top.jsp;jsessionid=D00301EB0F41521FF29D0B5721976EF2
情報サポーターの堂囿です
少し古い情報ですが、日弁連が「人の誕生や受精卵・胚に関する先端医療・医科学研究のルール策定を求める決議」を採択しました。現状に対する問題提起として非常によくまとまっていますし、島薗さんが『世界』で書かれている批判とも通じるところがあると思います。
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/jinken/00/2003_2.html
情報サポーターの岸本和世です。
渡辺由佳里さんが、凍結保存精子による受精児のことで二つの情報を提供されましたが、それに関連して、興味のある記事を読みました。11月13日のロイター通信によると、「イスラエルで、死去した夫の精子を採取して子どもを産むことを、司法長官が承認した」と言うのです。
これは、法的な夫婦だけでなく、“内縁”関係や“長期にわたるパートナー”関係でも、認められるけれども、対象となる男性が生前そうすることを拒否しているなどの場合は認められない、というのです。このようなことが許されているのは、他の国にはないそうです。
精子採取は死後24時間から36時間以内に行い、冷凍するかすぐに授精に取り掛かる必要がありますので、医療関係者が女性の適法な意思を迅速に実行することができるように、法律の改定を図ったもようです。
これは、わたしの推測ですが、ユダヤ人は父系家族ですから、夫が死ぬと妻は夫の兄弟と結婚してでも子どもを産むことが期待されているので、夫に兄弟がない場合などを想定した法整備をしたのではないでしょうか。論拠は、旧約聖書申命記25章5節以下です。それについてイエスは、新約聖書マタイによる福音書22章23節以下などを見ると、結婚とか家族というものを絶対化するモーセの律法を、相対化する姿勢をとっています。
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生まれてきた子どもの立場に関する2つのニュース |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
生殖補助医療で生まれてきた子供の将来を左右する「認知」と「国籍」に関する2つのニュースです。
夫の死後、凍結保存していた精子を使って出産した男児を夫の子として認知するよう求めていた訴訟で、松山地裁は「夫は死後、体外受精が行われることに同意していたとは認められない」という理由で女性の請求を棄却しました。
(朝日新聞インターネット版)
http://www.asahi.com/national/update/1112/024.html
日本人夫妻が米国人女性に代理出産を依頼して米国で生まれた子どもについて、法務省は、当初夫妻の実子としての出生届を受理しなかったため子どもは米国籍だったのですが、後に日本国籍を認めることを決めました。
民法上の原則では、日本人の母から生まれた事実がなければ、その母の子として認められません。外国人の母と日本人男性との間の婚外子は、そのままでは母の国籍になります。子どもが日本国籍を得るには、母親の胎内にいる間に父が認知して自治体に届け出なければならないのですが、この夫婦の場合は実子として届けるつもりだったので、それをしていません。このままでは日本で米国人として暮らさなければならないことから、法務省は子どもの立場を考慮して急きょ、胎児認知による国籍を認めたとのことです。
「代理出産を明らかにせずに届けた場合でも、妻の出産年齢によっては出生届がスムーズに受理され、戸籍上、実子扱いになっている可能性もある」とのことですが、事実が明らかになったときは今後も同じような問題が発生することが予想されます。
http://www.asahi.com/health/medical/TKY200310230194.html
http://www.asahi.com/national/update/1111/006.html
LNET主宰の最相葉月です。
岩波書店月刊誌『世界』12月号にて、LNETサポーターの島薗進さんが、「先端生命科学の倫理をどう論じるか?」という記事を寄稿されています。詳しくは、なんでやねん日記2003.11.8をご覧ください。
情報サポーターに岸本です。
米国の15歳から40歳までの出産経験のない女性は、2002年6月の時点で44%に達し、また40歳から44歳までの女性は、1976年時点で、平均3.1人の子どもを持っていたのに対して、2002年には1.9人となっています。
その理由として、統計局の分析担当者は「平均出産年齢が年々高くなっている。出産年齢を遅らせることが、意識的か否かに関わらず、子どもを持たないことにつながっている」と言っており、このレポートを取り上げた新聞は、避妊手段を使う人たちが増加したことと、多数の女性が仕事についていて出産時期を遅らせており、子どもを産もうと決心した時には妊娠可能な年齢を超えていることを挙げています。
http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_index.cfm?DR_ID=20523
情報サポーターの岸本です。
下記のURLに、こんな記事がありました(渡辺さんの「部屋」の内容を読む前に見ていたものです)。
3児の母である38歳のダイアーン・テイラー(小学校の現任教師)が、21,000ドルの報酬で代理母を引き受け、男女の双子を産んで、引き渡したあと、500マイル離れたところにいるその子どもたちのもとに、毎週自分のお乳300オンスをビン詰めにして送っているという話です。
彼女は「産んだ子どもたちのことをさびしいとは思わないけれども、毎週の“この仕事”がなくなると寂しくなるだろう」と言い、夫と4人目の子どもを産む計画だと言います。
下記のURLの内、最初のにはクリックすると拡大できる映像が付いていますが、記事が無料期間を過ぎると読めなくなるので、プリントできる形のURLも添付しておきます。
http://www.nytimes.com/2003/10/19/magazine/19LIVES.html
http://www.nytimes.com/2003/10/19/magazine/19LIVES.html?pagewanted=print&position=
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テレビ「動き出した30万人遺伝子プロジェクト(仮題)」 |
LNET主宰・最相葉月です。テレビ番組のお知らせです。
10月20日(月)放送予定
NHK クローズアップ現代 19時30分から19時56分
「動き出した30万人遺伝子プロジェクト(仮題)」
30万人に及ぶ遺伝子を集めることで、新しい治療法や薬を開発しようという日本初のプロジェクトがスタートした。全国39の病院がネットワークを組み、ガンや糖尿病など40の病気の患者の遺伝子を集め、病気との関係を突き止めてゆく。
病気の遺伝子の解明は、「21世紀の医療」と期待が高まる一方で課題も多い。「究極の個人情報」と呼ばれる遺伝子の管理をどうするか、病気の原因が遺伝子レベルで解明されると「新たな差別」が生まれないか。イギリスではこうした問題が現実のものとなり、議論が起きている。
大規模な遺伝子研究は医療や社会に何をもたらそうとしているのか、日本とイギリスの取材から検証する。(NO.1817)
スタジオ出演: 後藤 健(NHK科学文化部記者)
このプロジェクトのホームページ
http://biobankjp.org/
なお、LNETサポーターでもある武藤香織さんは8月に設置されたこのプロジェクトの倫理的社会的法的問題ワーキンググループのメンバーです。ぜひ忌憚のないご意見をお待ちしております、とのことです。
http://biobankjp.org/plan/elsi.html
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凍結受精卵による子宮外妊娠の可能性が大、という情報 |
情報サポーターの岸本です。
ちょっと長い日程の会合に出ていたので、膨大なメールの処理でてんやわんやしていますので、簡単に書きます。
体外受精(IVF)による受胎で、凍結受精卵を用いた場合、3分の1にあたるものが子宮外妊娠の可能性を、新鮮な受精胚を使用した場合に比べると、17倍という高い割合で子宮外妊娠をする、
という報告が出されました。詳しくは、以下のURLでご覧ください。
http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_index.cfm?DR_ID=20382
情報サポーターの堂囿です
9月29日から10月3日にかけて、人クローン禁止条約に向けた話し合いが国連第6委員会のワーキング・グループで行われました。この委員会の前身である「人間の生殖目的のクローニングに反対する国際条約に関する特定問題検討委員会」Ad Hoc Committee on an International Convention against the Reproductive Cloning of Human Beingsでは、さしあたりコンセンサスが成立している生殖目的のクローニングreproductive cloningの禁止を条約として打ち出し、残りの問題、とりわけ治療目的のクローニングの是非については後で検討するべきだとするドイツ・フランスを中心とした段階的アプローチstep-by-step approachと、両者をまとめて禁止しようとするアメリカを中心とした包括的アプローチcomprehensive approachとの対立が深刻化し、議論の進展をさまたげてきました。
今回の再開は、そうした溝をどのように埋めていくのかという点で重要なものでしたが、ワーキング・グループのレポートを読むかぎり(添付書類を除けば、たったの2頁!)、これからも話し合いを続けていくという確認をしたのみで、結果としては何一つ進展しなかったようです。
なお国連の取り組みについては、以下の文献が参考になります。
菱山豊「国連クローン禁止条約を巡る動向について」『ジュリスト』No. 1225, 2002, 52-57頁.
和田幹彦「国連クローン人間禁止条約委員会での対立と条約成否の展望──委員会を通して見た生命倫理問題の広がりと21世紀の課題」同上, 58-65頁.
http://www.un.org/law/cloning/
LNET主宰の最相葉月です。
2003年10月15日朝日新聞夕刊によりますと、米上院は14日、個人の遺伝情報を判断材料に健康保険への加入審査や就職・解雇を行うことを禁ずる法案を95対0(棄権5)で可決しました。下院でも可決されれば立法化が目指されることになります。
法案は、保険会社が加入前に希望者の遺伝情報を調べることや、遺伝情報によって保険料の負担額に差を設けること、さらに、一般企業に対しては、社員の遺伝情報を調べることを原則として禁止しています。
これまで州レベルの規制はありましたが、連邦全体の規制はありませんでした。なお、保険業界はすでに消費者保護をする規制は存在するとして、法案に反対しています。
http://www.asahi.com/international/update/1015/005.html
情報サポーターの岸本和世です。
イギリスで、1991年8月に施行された受胎に関する法律以前に生まれた18歳以上の人たちが、出自を知ることができるように、精子や卵子を提供した人たちが自主的にDNAを明らかにする
ためのサービスが、明年1月から試験的に提供されることになりました。このサービスはあくまで提供者とその方法で生まれた人との双方の合意の上でなされるものです。
この法律以前に、約18,000人がこの方法で生まれているそうです。以前にも書きましたが、日本の状況はどうなるのでしょうか。
http://news.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2003/10/10/ndonor10.xml&sSheet=/news/2003/10/10/ixhome.html
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妊娠中の母親の食事内容が遺伝子をシャットダウン |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
肥満の母親ネズミの妊娠中の食事療法が、遺伝子そのものを変えることなしに胎児の遺伝子の機能を永久的に変えることができることが分かりました。デューク大学放射線腫瘍学教授Dr. Randy Jirtleが率いる研究グループが、「Molecular and Cellular Biology」の8月1日号で発表したものです。
肥満、糖尿病、がんになりやすいこの遺伝子は、ネズミの毛の色も決定します。実験に使ったネズミは、この遺伝子の近くにトリガー(発症の誘因)を持っており、普通なら茶色の毛が黄色です。この肥満で黄色い毛の妊娠中のネズミにビタミンやサプリメントを与えたところ、サプリメントが胎児のトリガーと相互作用し、遺伝子をシャットダウンし、その結果、毛が茶色の健康な子ネズミが生まれたのです。
妊娠中の母親の食事内容が子どもの特定の疾病への罹患しやすさに影響を与える、ということは、以前から科学者が考えていたことですが、その理由ははっきりしていませんでした。
長い記事なので、内容すべてをご紹介できませんが、遺伝子組み替えなどの先端医療ばかりが注目される現在、「食事を変える」という一見単純なアプローチが遺伝子を永久的に変える、という発見は注目すべきことだと思います。
詳しい内容は下記の記事でどうぞ。
ニューヨークタイムズ
http://www.nytimes.com/2003/10/07/science/07GENE.html?tntemail0
10月1日付の情報に関して、イギリスのIndependentという新聞に、「その女性たちに、その受精胚を使用させるべきだろうか」というアンケート欄があり、意見を書くことができるようになっていたので、以下のように投書しました(まずい英語ですが)。
「体外受精による胚と、性交による胚の違いはないと思う。子宮にある胚の場合、夫または前の夫は産むことを拒否する権利を持っているだろうか(ないと思う)。それなら、凍結保存された胚も同じではないか。どちらの胚の廃棄も一種の中絶にあたるだろう。裁判所の決定を支持することは、中絶を認めることであるというのが、論理的な結論である、云々」と。
I don't see any difference between an embryo-by-IVF and an embryo-by-intercourse. In case when an embryo is in the womb, does the husband or the ex-husband have rights to
refuse to be born? Then what about an embryo stored, as the embryo was 'made in cooperation' by the husband and the wife?
Destruction of either embryo seems to me an act of bortion. Those who said yes to the court decision are saying yes to abortion, aren't you? This is just a logical conclusion.
Although I am a person of pro-choice, I voted yes, accordingly.
情報サポーターの岸本和世です。
イギリスで、二人の女性が、以前のパートナーあるいは夫の精子で造り、凍結保存してあった受精卵の使用を、パートナーたちが使用を拒否したことを理由に、裁判で敗訴しました。
その一人は、保存以後に卵巣に前がん症状が見られて摘出していますので、かのじょ自身の子どもを産むには、保存してある受精卵を使用するしかないのです。日本での状況を確かめられないでいますが、イギリスでは使用しない受精卵は廃棄することが定められています。
それにしても、「受精卵」って何であるのか、その「所有権」はどこにあるのでしょうか?
http://news.independent.co.uk/low_res/story.jsp?story=448827&host=3&dir=60
LNET主宰最相葉月です。イベントのお知らせですが、一般の方への申し込み締め切りが明日9/30と迫っているため、とり急ぎこちらの掲示板でお知らせします。
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慶應義塾大学教養研究センター
極東証券寄附公開講座・平成15年度
「生命の魅惑と恐怖」
趣旨・目的
いま私たちはまぎれもない危機の時代に生きています。しかし、これと裏腹に私たちの日常は平和のうちに過ぎていくようにも思われます。深く進行する危機をどこかで意識しながらも、表向き平和な日々の生活に流されていくーそんな状況の中で、人間がなお未来を生きていくためには、私たちはあらためて「生きる」という人間・生物の基本的な営みについて考え直す必要があるのではないでしょうか。とりわけ21世紀を生きる若い学生諸君にとって、個人的にも社会的にもきわめて重要な問題を考えることは、自らの「生(いのち)」を作り上げていく営みの基盤となるはずです。
この講座の目的は、生命科学、生命倫理、生命システム論、生命主義から身体芸術にいたる多様な領域で「生きること」「生命」問題に関わる研究や表現活動を展開されている講師陣を迎えて、困難な思考状況を生きる若い受講者を刺激し、活性化することにあります。「生きること」「生命」にまつわる多彩な知の形に触れることで、受講者それぞれが自主的、独創的、領域横断的な「ものの観方」を獲得することができるならば、本講座の趣旨・目的は全うされたといえるでしょう。学生諸君の積極的な受講を期待しています。
10月7日(火)
【ガイダンス―生命をさまざまに考えることから始めてみよう】
10月14日(火) 武藤浩史(本塾法学部教授)
【生きろって言われても―シニカルでリズミカルな私達へ】
10月21日(火) 西村由貴(本塾保健管理センター助手)
【犯行前後の精神状態―正常か異常か?】
10月28日(火) 識名章善(本塾商学部教授)
【ナチズムと身体―優生学のユートピア?】
11月4日(火) 棚橋訓(東京都立大学助教授)
【性の魅惑、性の恐怖―現代日本文化をめぐって】
11月11日(火) 井田良(本塾法学部教授)
【生命の法的保護をめぐる諸問題】
11月18日(火) 小泉義之(立命館大学教授)
【二つの生権力―ホモ・サケルと怪物】
12月2日(火) 小松美彦(東京水産大学教授)
【バイオエシックスは死生をどう捉えてきたのか】
12月9日(火) 竹内勤(本塾医学部教授)
【新興・再興感染症の今日的意味】
12月16日(火) 室井尚(横浜国立大学教授)
【情報と生命―生き物として輝くために】
期間: 2003年10月7日(火)−12月16日(火)(毎週火曜日)
時間: 16:30〜18:00
定員: 120名(塾生70名、一般50名)
ただし、全日程を受講できる方に限ります。先着順に受け付け、定員になり次第締め切りとします。
参加費: 無料
申込方法:
◎一般
住所、氏名、電話番号を明記の上、往復葉書またはE-mailで
9月30日(火)までにお申し込みください。
<申し込み先>
〒223−8521 横浜市港北区日吉4−1−1
慶應義塾大学教養研究センター
e-mail lib-arts@hc.cc.keio.ac.jp
◎塾生
各地区の学生総合センター(SFCは事務室学生担当)窓口にて、10月3日(金)16:30までにお申し込みください。
お問い合わせ先: 慶應義塾大学教養研究センター
TEL 045−566−1151
LNET主宰の最相葉月です。
9/28(日)17:30〜
TBS報道特集で遺伝子疾患ハンチントン病とそこに向き合う家族についての特集が放送されます。詳しくは、以下のHPでご覧ください。
http://www.tbs.co.jp/houtoku/
情報サポーターの岸本です。
未受精卵から幹細胞が得られた、というニュースです。お猿さんの話で、これから動物での使用実験をするそうですが。理論的には、ヒトの場合でも言えることです。
今は、米国では政府が資金を出している機関での受精卵を使った幹細胞実験は、非常に制約されています。それは受精卵の倫理的な地位に関する議論が厳しい状況だからです。
未受精卵の場合はそれと競合しません。でも、こんなことを考えてしまいました。受精卵は単なるものではないから、倫理的な地位の論議は必要だ。しかし、卵子や精子は?すでに販売の対象になっているで、問題はないか?新しい発見、新しい科学的知見が、わたしたちの予想していない問題をもたらします。この記事の前に載せた、性選択のことも、です。だから、自然のままがいいのだ、と言えば、ある人たちの悩みに応えることを阻んでしまうし...。有事法制の「武力攻撃事態」と「武力攻撃予測事態」のことだけでなく、ここでもますます難しい事態が出て来ています。
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&cid=571&ncid=571&e=6&u=/nm/20030924/hl_nm/stemcells_eggs_dc_1
情報サポーターの岸本和世です。
イギリスとドイツで、産む子どもの性選択についての考え方が違うようです。
ドイツでは、あまりそういう選択をしないのに対して、イギリスでは選択をしたい人たちが多いというのです。後者は、自分の子どもたちをバランス良く持ちたいからだそうです。日本ではどうでしょうか?
でも、そうすると国全体でバランスが崩れる可能性があります。自然な状況でも、男の子の方が少しだけ多く生まれるというのに。
調査をしたドイツの学者は、そのような選択をしたいという人たちは、夫婦で取引をし、二人の子どもを持つことにし、『俺には男の子を、君には女の子を』とやっているようだ、と皮肉を言っています。
http://newsvote.bbc.co.uk/mpapps/pagetools/print/news.bbc.co.uk/1/hi/health/3136178.stm
http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml;jsessionid=BG1T0BBNYUIJUCRBAEOCFEY?type=healthNews&storyID=3505276
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クローン羊ドリーの誕生に携わったベンチャーPPL社ついに売却へ |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
6月27日に最相さんが、クローン羊ドリーの誕生に携わった英ベンチャー企業PPLセラピューティクス社の危機について報告されていますが、ついに昨日15日、最後の資産を売却して事業を閉鎖することを発表しました。
このような会社が成功するためには開発した先端技術を営利的に利用する手段が必要です。経済アナリストによると、PPLセラピューティクス社には、そのための「マネージメント」が欠落していたということです。
会社の資産にはスコットランドとニュージーランドの農場で飼っている約6500頭の羊も含まれています。そのほとんどの遺伝子が改造されており、処分されるだろうということです。
いろいろと考えさせられる出来事です。
ニューヨークタイムズ
http://www.nytimes.com/2003/09/16/business/worldbusiness/16shee.html?tntemail1
最相さんの6月27日のレポート。
https://lnet.unou.net/sunbbs1/index2.html?
LNET主宰の最相葉月です。
遺伝医学関連学会(日本遺伝カウンセリング学会、日本遺伝子診療学会、日本産科婦人科学会、日本小児遺伝学会、日本人類遺伝学会、日本先天異常学会、日本マススクリーニング学会、日本臨床検査医学会)および、家族性腫瘍研究会は、2003年9月3日、医療現場における染色体検査、遺伝生化学的検査、DNA検査などの遺伝学的検査を行う場合のガイドラインを発表しました。
遺伝学的検査は、個人の重要な遺伝学的情報が取り扱われるため、検査を行う際のインフォームドコンセント、遺伝学的情報の保護、検査に用いる生体検査の取り扱い、検査前後の遺伝カウンセリングなど検討課題があり、さらに、遺伝学的情報は血縁者すべてに一部共有されているため、その影響は多大なものとなることから、明確な規範の整備が求められていました。
以下、6つの遺伝学的検査に関する留意点が示されています。
<発症者を対象とする遺伝学的検査、保因者の判定を目的とする遺伝学的検査、発症予測を目的とする遺伝学的検査、薬物に対する反応性の個体差を判定することを目的にする遺伝学的検査、出生前検査と出生前診断、新生児マススクリーニング検査>
なお、このガイドラインの対象は学会員のみで、違反者にも罰則はない。このため遺伝医学関連学会はこのガイドラインを基礎に、法制化および、実効的な遺伝学的検査態勢の確立を望んでいます。詳しくは、以下のHPを参照してください。
日本人類遺伝学会HP ガイドラインを読むことができます
http://www6.plala.or.jp/jshg/
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田辺製薬、人間のES細胞をパーキンソン病モデル猿に移植する実験を申請 |
LNET主宰の最相葉月です。
田辺製薬は2003年9月8日、昨年の京都大学との血管再生についての共同研究に引き続き、人間のES細胞の使用計画を文部科学省に申請しました。プレスリリースによりますと、使用計画「ヒトES細胞を用いたパーキンソン病モデルサルにおける移植効果及び安全性評価」として、田辺製薬と自治医大内科学講座神経内科部門(中野今治教授)が共同で申請を行いました。ES細胞は、スウェーデンのヨーテボリ大学で樹立された「ヒトES細胞」をCell Therapeutics Scandinavia AB社から提供を受けます。
田辺製薬と自治医大はカニクイザルのES細胞を使用した同様の移植研究を既に進めています。
田辺製薬HP
http://www.tanabe.co.jp/
情報サポーターの岸本和世です。
米国フロリダ州で、レイプによって妊娠した23歳の出産に関連して、論議が起こっています。
この女性は、知能が就学前の子ども程度で、幼いときからグループ・ホームで生活していました。
レイプによる妊娠が分かったとき、ブッシュ知事(大統領の弟)は裁判所に、女性と胎児に後見人を指名するよう求めましたが、女性については認められましたが、胎児に後見人を付けることは州法に反すると
して却下されました。
プロ・ライフの人たちは、知事の請求の意図は、女性の権利である中絶を否定することにあるとして、非難しています。
女性は帝王切開によって女の子(S.と呼ばれています)を産みました。そこで裁判所は、警察がレイプ犯人を見つけるために、NAテストをするように、また生まれたSのための後見人として弁護士
を指名しました。
http://www.nytimes.com/2003/09/01/national/01BABY.html?pagewanted=print&position=
LNET主宰の最相葉月です。
2003年8月1日付神戸新聞によると、理化学研究所神戸研究所、発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹グループディレクターは、2003年7月31日までに5月に京都大学再生医科学研究所の中辻憲夫教授らが樹立したヒトES細胞を使用して神経細胞などをつくる研究計画を所内の研究倫理委員会に申請したことがわかりました。早ければ9月末に結論が出て文部科学省に申請されます。
研究は、ヒトES細胞で「神経細胞をつくる」「脂肪細胞などに成長する中胚葉系幹細胞をつくる」「ヒトES細胞を未分化のまま維持する技術を確立する」などの研究で、笹井氏ほか、西川伸一氏、丹羽仁史ら三名のグループリーダーが担当。笹井氏らはこれまでにマウスやサルで得られた研究成果をヒトES細胞で確認します。
なお、京大再生研が樹立したヒトES細胞を使用する研究は、8月中に京大医学研究科の中尾一和教授らがヒトES細胞を血管再生を目指した基礎研究を申請する予定で、これが認められれば国内初となります。
理化学研究所神戸研究所
http://www.cdb.riken.go.jp/japanese/index_j.html
情報サポーターの岸本です。
1962年の8月26日に、米国アリゾナの夫妻がスエーデンで中絶手術を受けて、中絶賛成・反対の激しい論議の嵐のなかを帰国しました。
この夫妻は、4人の子どもの両親でしたが、1958―61年の間に妊娠初期のつわりに効くとして売られたサリドマイド入りのトランキライザーを服用していたので、地域の医師に中絶手術を求めて拒否され、スエーデンに渡ったのでした。中絶された胎児には両足と片手がありませんでした。
当時、世界でサリドマイドを服用した結果、約8,000人の障がい児が生まれたとのことですが(日本での対応について、きちんと調べる余裕がないので省略しますが)、英国では、1968年に
裁判の結果が出て、政府・製薬会社などの責任が明らかにされました。
http://news.bbc.co.uk/onthisday/hi/dates/stories/august/26/newsid_3039000/3039322.stm
情報サポーターの岸本です。
イギリスでは近く、地域で異なるくじ引き(postcode lottery)のような方式で行われてきた体外受精サービス方式を改め、23歳から39歳までの不妊治療を必要とするすべての人に対して、回数の制限(6サイクルで約15,000ポンド)を付けた無料治療を始めることにしたようです。
初回の費用は7,000ポンドほど掛かるのですが、2000年度には8,000人〈全出産の1%)がIVFの治療を受けているので、そこから推定して年間の国の支出は1億ポンドに上ると推定されています。
IVFを自費で受けて2人の子どもをもうけたある人は、9回で36,000ポンドの費用を使ったとのことですが、これからは、誰でも希望者にこのサービスが提供されることになる模様です。
http://news.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2003/08/10/nivf10.xml
http://news.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2003/08/26/nivf26.xml
LNET主宰、最相葉月です。
1998年に世界で初めて人間のES細胞の樹立に成功したのはウィスコンシン州立大学の研究グループですが、この研究に資金提供していた米国ベンチャー企業Geron社は2003年8月20日、人間のES細胞由来の心筋細胞を健康なラットに移植したところ、体内で定着し、増殖したことを確認したと発表しました。
日経バイオテク2003年8月21日付によりますと、Geron社は移植先の臓器で成熟し増殖する能力をもつのは、ES細胞を用いた細胞治療の強みであるとの見解を発表しています。研究グループは、心臓疾患モデル動物を使用し、この実験を進める予定です。
なお、同じく日経バイオテク2002年9月9日号によりますと、人間のES細胞から分化させた細胞の治療応用はウィスコンシン州立大学の非営利機関WARFが「米国特許」を取得しています。Geron社は、人間のES細胞に由来する神経細胞、心筋細胞、膵島細胞を治療用・診断用製品の開発に用いる独占的権利をWARFから得ています。造血細胞、軟骨細胞、骨芽細胞については非独占的な権利を得ています。
Geron
http://www.geron.com/
情報サポーターの岸本和世です。
英国テレグラフ紙によると、13歳の少年が、5歳の頃から父親と似ていないことが気になっていましたが、最近になって両親が1988年に体外受精でこの少年を産んだときに、クリニックが間違えて他人の精子を使用していたことが判明したとのことです。
英国の医療監督機関は、1991年に“治療”についての規定を作ったのですが、最近(先日報じたように)白人の夫婦に肌の色の黒い子どもが生まれるというミスがあったことで、規定を下記のように厳しくし、二重チェックをすることを求めることにしたので、このようなミスの可能性は非常に低いはずだと言っていますが、人間のすることにはいつも誤りはつきものだと思います。
厳しくされた規定は以下のようです。クリニックは、以下の点での二重チェックをすること:
治療を受ける患者について。
受精時の精子と卵子について。
受精胚を着床させる時の胚と女性について。
Clinics are required to have procedures in place to double check the identification of:
The patients undergoing treatment
The sperm and eggs at the time of insemination on
The embryos and the patient at the time of embryo transfer
http://news.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2003/08/23/nivf23.xml&sSheet=/news/2003/08/23/ixhome.html
LNET主宰の最相葉月です。
2003/8/13に岸本さんが紹介してくださっている未受精卵の凍結保存ですが、日本ではすでにこれに成功しているクリニックもあり、LNETではこれに関連したアンケート調査を行っています。ご関心のある方はご協力ください。
アンケート調査
http://hpcgi2.nifty.com/jyuseiran/an/anketo2.cgi
情報サポーターの岸本です。
米国ボストンのバイオ技術会社で、受精以前の卵子を凍結保存する技術を開発にほぼ成功したと発表しました。この会社は、新生児のへその緒からの血液の凍結に成功したことで知られていますが、未受精卵の凍結が可能になれば、比較的高齢になってからの女性や癌などの治療を受ける必要のある女性が、後年に凍結保存した自分の卵子で妊娠することが可能となるわけです。
しかし、凍結が可能な精子とは異なり、卵子は他の細胞の5倍の大きさがあり、水分も多いので、凍結すると卵細胞を壊す可能性があるので、技術的な困難があることを指摘する専門家もいますが、この会社は糖を使うことでこの問題を解決していると言っています。
http://www.boston.com/news/nation/articles/2003/08/13/a_hope_to_freeze_bank_eggs_of_women?mode=PF
サポーターの堂囿です。
『ヴェルト』誌に、世界で初めての体外受精児(ルイーズ・ブラウン)を手がけたエドワーズ氏へのインタビュー記事が掲載されていました。以下、その要旨をまとめておきます。
ヴェルト誌:批判者はIVFという方法をすべり坂への最初の一歩と特徴づけていますが?
エドワーズ:IVFによって生まれた子どもはいまやフィンランドやイスラエルでは約4%にのぼるが、そうした国で、治療を受けた女性や子どもたちは特別な同情を寄せられている。つまり彼らはそこで幸せなのである。「IVFというのは、そうした批判者たちが人騒がせなものだということを知らしめる充分な根拠だ。」
ヴェルト誌:でもこの技術によって、いわゆるデザイナー・ベビーへの道も開かれましたよね?ジェイミー・ウィテーカーは、兄のチャーリーの病気を直すのに適した幹細胞提供者として出生前診断を経て生まれました。これについてはどうですか?
エドワーズ:素晴らしいと思う。いったいどこか間違いだというのだ?「倫理を持ち出す人間は、なによりもまず患者を、そして子どもを直視しなければならない。」
ヴェルト誌:x染色体・Y染色体にもとづく男女産み分けについてはどうですか?これによって子どもの運命は、受精よりもまえに決めることができるのですが…
エドワーズ:親にとってこのことは、家族を自分の願うように形づくる絶好の可能性だ。「彼ら[両親]が、男の子と女の子とがいることで自分たちは幸せになると信じており、彼らにはすでに二人の息子がいるとすれば、私は女の子を産むための精子を選ぶことに、何ら間違いはないと見る。」
ヴェルト誌:余剰胚については、どうするべきだと思いますか?
エドワーズ:なによりも提供カップルのために確実に保存されるべきだ。しかしそうした胚が忘れられたり──これはよく起きることだが──提供カップルがもはや保存を望まないのであれば、研究のために提供されるべきであろう。もしカップルが研究に使われるのがいやだというなら、破棄する。
ヴェルト誌:アンティノリ医師のようなクローン支持者のせいで生殖医療は不評をかっています。生まれたとされるクローン・ベビーについてはどう思いますか?
エドワーズ:ラエリアンはまったくばかばかしい。「これに対してアンティノリは責任感あふれる有能な医者だ。彼は怒りやすいために多くの人から拒絶されるが、その仕事によって、とくにICSI方法の基礎づけを行ったし、つねに自分の患者のために戦っているのである。ただし私の目からすれば、彼はそのクローン計画のために間違いをおかしている。しかし彼は私に言った。奇形が排除されてはじめて、その計画を続行するつもりだと。」
ヴェルト誌:生殖技術のために、わたしたちは人間の進化に干渉しているのでは?
エドワーズ:医療を利用し始めてたときから、わたしたちは自分たちの発展を変化させている。
ヴェルト誌:避妊ピルの開発者であるカール・ジェラッシは、生殖技術が人間の妊娠を性行為から解放すると予想していますが?
エドワーズ:すでに今日多くの人は性行為なしで産まれている。IVFによる出産はおそらく20%に達するだろう。しかしこれは自然妊娠の場合にも変わりはない。わたしたちはどちらかと言えば、繁殖力のきわめて低い種なのである。生殖技術はこの困難を克服する助けになる。
ヴェルト誌:ルイーズ・ブラウンは今年25才になります。彼女は婚約し、すぐに結婚するだろうと言われています。妊娠すらも噂されています。あなたは彼女の「医療上の父親」としてそれ以上のことを知っていますか?
エドワーズ:正確なことは分からない。近々IVFによって生まれた子供たちのパーティーが開かれる。そこで彼女に合うことになっている。
ヴェルト誌:あなたは初めての試験管ベビーとコンタクトをまったくとっていないのですか?
エドワーズ:私には5人の娘がいて、さらに11人の孫がいる。自分の患者と親しくなりたいとは思わない。私は家族の生活に巻き込まれたくない。私はそうした子供たちの父親ではない。私は人工生殖医として、不妊に悩むカップルの問題解決に手を貸しているだけのことだ。
http://www.welt.de/data/2003/07/25/140181.html
情報サポーターの岸本和世です。
ちょっと、旅行していたので、仕事がたまってしまいましたから、ここでは簡単に記しますが、わたしの「部屋」で詳しく述べようと思いますので、お許しください。
7月23日に参議院で「少子化社会対策基本法」が可決成立したことは、報道でご存知だと思います。
世界的には2050年には人口が90億にまで増えるというのに、日本では2006年をピークに減少し、「少子化・高齢化社会」どころか「少子・高齢社会」となるという“危機感”からこのような法律ができたのでしょうが、「産ませるための環境造り」でしかなく、わたしには第二次大戦中の「産めよ・増やせよ」の掛け声のように聞こえてしまいます。産まないことにしている人、産めない人などのことはどうなるのかな、と。
1978年にイギリスで、最初の“試験管ベビー”が生まれて25年目の7月24日、イギリスで専門家が集まって記念の集会をしたようです。その場で、いつか不妊はなくなるという話がなされたとか。子どもを産むということは、確かに生殖科学・医療の“技術的”な面と、“政策的”な面があるでしょうが、“思想・文化”の問題でもあると思いながら、これらの情報を考えています。
下記のURLは、それぞれ関連する情報です。
http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/print_report.cfm?DR_ID=18961&dr_cat=2
http://www.newscientist.com/news/news.jsp?id=ns99993980
http://www.latimes.com/la-sci-invitro24jul24,1,250338.story
情報サポーターの渡辺由佳里です。
オンライン版朝日新聞ニュース(asahi.com)によりますと、名古屋市立大学医学部の教授会は「受精卵診断」の実施を承認し、日本産婦人科学会へ申請する予定とのことです。
「受精卵診断」とは「着床前診断」とも呼ばれ、重い遺伝病の子どもの出産を避けるために行われる生殖補助医療です。
詳しい内容はasashi.comをご覧ください。
http://www.asahi.com/science/update/0723/001.html
LNET主宰の最相です。
2003年7月18日の各紙報道によりますと、文部科学省の助成を受けた広島県熊野町民へのがんの疫学研究について、事前に十分な情報伝達がないまま町民へ調査票が配布・回収されていること、また、その回収に罰則を伴う守秘義務のない地元町民があたっていることなどが問題であるとして、日本医師会が抗議、遺伝子試料の採取が少なくとも一年間延期されることになりました。
研究にあたっていたのは、愛知県がんセンター研究所疫学予防部の田島和雄部長を代表とする「がんの疫学研究領域グループ」。全国10か所、計10万人を対象とした全国規模の分子疫学コホート研究(2000-2004年度)の第一弾で、熊野町はその第一弾。40歳以上の約14000人(町民人口の約54%)を対象としていました。協力員が事前に住民へのインフォームドコンセントを行うことが義務づけられ、調査内容は、仕事や睡眠・運動時間、飲酒量、喫煙量、ストレスの対処法、薬・ビタミン剤・健康食品の種類、飲酒の回数など。血液の採取は8月から11月までに住民健診の際などに希望者を対象に行うことになっていました。
2003年5月20日中国新聞地域ニュースによりますと、調査票には本人や家族の病歴、月経、出産などを問う項目もあり、5月の時点ですでに住民から「個人情報が漏れるのでは」という不安が寄せられ、日本医師会へも投書が送られていました。疫学研究は医療の根幹を支える重要な研究ですが、遺伝子試料に限らず、こうした個人のプライバシーに大きく関わる情報が漏れたり、不正に利用されたりすることのないよう全面的な見直しが行われる予定です。
中国新聞2003年5月20日
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn03052001.html
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EUが人間のES細胞研究に研究費を拠出するための倫理指針を提案 |
LNET主宰の最相葉月です。
2003年7月10日付日経バイオテクオンラインニュースによりますと、EUの執行機関である欧州委員会は7月9日、人間のES細胞研究に研究費を拠出するための倫理指針を提案、2003年末までの策定を目指すことになりました。今回、提案された指針は、2002年に承認された研究概要計画(2003-2006)で実施される研究に限定され、各国の規制を尊重し、一カ国でも禁止している研究には助成しないこととなっています。また、使用される受精卵も、上記研究概要計画が採択された2002年6月27日以前に作られ、廃棄されることが決まっている余剰胚に限られます。
そのほか、倫理問題を話し合うEuropean Group on Ethics(EGE)の意見に沿ってさまざまな制限が指針に加えられています。
詳しくは、日経バイオテクへ。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/BIONEWS/
ロイター通信によると、女性の排卵周期が大体28日とされてきたけれども、必ずしもそうではなく、ひとによっては月に数回の排卵があることが、研究の結果明らかになったとのことです。
だから、今まで基礎体温測定による妊娠可能時期の推定や避妊の手掛かりとする方法は、必ずしも適切ではないということになるわけです。“思わぬ妊娠”ということが多いのも、それで説明がつくことになります。
http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=scienceNews&storyID=3056498&src=eDialog/GetContent
サイト見習いフジモトです
BBCの報道によると Center for Human Reproduction (CHR) で男児の細胞を女児の胚に入れたら、両性( Mixed-sex human )のヒト胚ができてしまった模様です。
元記事はBBC Mixed-sex human embryo created
日本人の議論はスラッシュドットあたりで見られます。
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RE:「ロウ対ウェイド」判決の原告、判決無効を訴える |
LNET主宰の最相葉月です。
「ロウ対ウェイド」判決の原告ロウことノーマ・マッコビーさんがそもそもなぜプロライフに転向したかについて、「中絶論争とアメリカ社会」(荻野美穂・岩波書店)に解説があります。
それによりますと、マッコビーさんは自分がロウであると名乗り出た1984年直後から中絶反対派による脅迫状や自宅や車への発砲事件があり、その後、赤ん坊救出を目指し過激な中絶阻止行動を行うことで知られるOperation Rescue(原理主義派クリスチャンのランドール・テリーが考案)がマッコビーさんの事務所の隣に支部をつくって彼女の説得を行った結果、原理主義者フィリップ・べナム伝道師の洗礼を受けて95年に中絶反対派へ転向しました。
今回の判決無効の申し立ての背景については共和党の支持基盤であるキリスト教右派とプロライフの政治的キャンペーンの一貫であるとの見方があります。
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「ロウ対ウェイド」判決の原告、判決無効を訴える |
LNET主宰の最相葉月です。
中絶を合法化したことで有名な米最高裁判決「ロウ対ウェイド判決」についてはすでに、情報掲示板2003.1.22-24にて説明していますが、2003年6月18日付各報道によりますと、この原告だったロウことノーマ・マッコビーさんが「中絶は女性を傷つけるとの新しい証拠を考慮して判決を覆してほしい」との申し立てをテキサス州ダラス市の連邦地裁に対して行ったことがわかりました。勝訴した原告が、その判決を覆そうとするのは異例のことです。
マッコビーさんは10年前、中絶は女性を傷つけるとして中絶支持から中絶反対の立場に転向していましたが、このたび「30年来で示された新しい証拠や中絶経験者の証言」などから「ロウ対ウェイド」の判決無効を申し立てたものです。なお、マッコビーさんの弁護士アレン・パーカー・ジュニア氏は中絶反対など保守派の主張を法廷闘争で代弁するジャスティス・ファンデーションに所属しています。
しかしながら、ダラス市連邦地裁のデビッド・ゴッド判事は20日付の裁定で、「最高裁の判断が正しいかどうかにかかわらず、この訴訟ではロウ判決が最終的なものとみなされるべき」とし、「30年後に再審を行うのは時期が遅すぎる」と述べ申し立てを却下しました。これに対して弁護士のパーカー氏は、「ロウ対ウェイド判決の決定要因は、望まない子供を育てる女性の負担だったが、その後、1999年にテキサス州で望まない子供に対して州が責任を負うという州法が成立するなど、状況が変化している」と主張しています。
なお、判決無効の申し立てを行った際の記者会見で、マッコビーさんは、申し立てによって「世界中から私が背負わされていた重荷が取り外された」と語ったとされています。
CNNニュース
http://www.cnn.com/2003/LAW/06/20/roe.v.wade.ap/
USAToday
http://www.usatoday.com/news/nation/2003-06-20-roe-vs-wade_x.htm
CBSニュース
http://www.cbsnews.com/stories/2003/06/17/national/main559102.shtml
World Net Daily
http://www.worldnetdaily.com/news/article.asp?ARTICLE_ID=33188
ロウ対ウェイド判決文(NYタイムズ)
http://caselaw.lp.findlaw.com/scripts/getcase.pl?court=US&vol=410&invol=113&friend=nytimes
情報掲示板2003.1.22-24へジャンプ
https://lnet.unou.net/sunbbs1/index2.html?
マッコビーさんのHP
http://www.roenomore.org/core.htm
(なお、このHP中のReal Storyによりますと、マッコビーさんはOperation Outcryというグループと関係が深いようです。このグループは、中絶反対を強固に唱えるグループOperation Rescueの傘下にあります)
*なお、なぜこのような申し立てが今行われたのかについては現在調査中です。情報をお持ちの方はお寄せください。
情報サポーターの岸本和世です。
スペインのマドリッドで開かれた欧州ヒト生殖・胎生学会(European Society for Human Reproduction and Embryology)で、スェーデンの学者が、マウスでの子宮の移植を行い、移植を受けた雌が健康な子どもを産んだ、という研究発表をし、3年以内に人間でも可能になると言っています。
ヒトの場合、拒絶反応を低く抑えるのに、子宮を提供するのは、移植の対象となる女性の母親か姉妹であることが望ましいそうです。と言うことは、母親からのである場合は、生まれてくる子どもは、産んだ女性と同じ子宮から生まれることになります。ただし、提供する女性は閉経前でなければならないそうです。
既に子宮移植は、昨年サウジ・アラビアでなされましたが、移植された女性は3ヵ月後に血栓症のため子宮を取り除きました。
いま移植は、さまざまな臓器についてなされていますが、学者は子宮移植は“最後の領域”と言っています。ただし、他の臓器移植は、生死にかかわるものであり、(今のところ)生涯拒絶反応抑制剤を摂り続けなければなりません。子宮移植がそのような対象としてふさわしいかどうか、検討が必要でしょう。
ついでに。子宮の移植は、理論的には、男性にも可能なのだそうです。
貼り付けたURLの右上には、この学会で発表されたものの記事のタイトルがあります。それには、「睾丸移植で精子が」「中絶された胎児から卵子を」などがあります。後者についての深刻な議論は、そのようにしてできた卵子が無事に受精・出生に至ったとして、その“卵子→子ども”をもたらした“母親”はこの世に生まれてこなかったわけですから、その子どものアイデンティティという観点からの倫理的な疑問が起こるでしょう。
30日付けの最相さんの情報にある産科婦人科学会の見解や厚生労働省の報告書で、こうした点が考慮されていたのかどうか、わたしには不明ですが、日進月歩(それ以上?)の科学の展開への生命倫理の対応は、拙速な結論が許されないと同時に、沈黙するわけにも行かず、非常に難しくなっていますね。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/3035628.stm
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第三者の受精卵提供による不妊治療 厚労省と学会で異なる見解 |
LNET主宰の最相葉月です。
2003年6月30日共同通信および各紙報道によりますと、日本産科婦人科学会は28日、第三者のカップルから提供を受けた受精卵や第三者から提供を受けた卵子と精子を体外受精させた受精卵による不妊治療や受精卵のあっせんを認めないとする見解を出しました。2004年の学会総会の承認を経て、会告(学会の指針)とする予定です。
受精卵提供については厚生労働省の生殖補助医療部会が審査を条件に認めるとの報告書をまとめていますので、厚生労働省と学会の見解が食い違ったことになります。しかし、野沢志朗会長(慶應義塾大教授)は28日の会見で、厚生労働省の見解でも審査に認められるのはごく一部のため、双方の見解は矛盾しないとの見方を示しています。
情報サポーターの渡辺由佳里です。
ペンシルバニア州で、夫が妊娠させた愛人を妻が襲い、腹を蹴るなどの暴力の結果、流産で胎児が死亡した事件がありましたが、この妻が殺人罪で有罪判決を受け、7年から14年の懲役が言い渡されました。
生まれていない胎児を故意に殺すことを「殺人罪」として扱うことは、生まれていない子供にも人権を認めることになるのか、また女性の中絶の権利を脅かすのではないか、など多くの論議を呼び、大変注目されていたケースでした。
被告の弁護士は、妊娠24週までの中絶の権利を認める州の法律に反すると主張していますが、判事は判決の際、妊婦には中絶を選ぶ権利があるが、自分の胎児の死をもたらす攻撃を選択することはできない、と説明しています。
(CNN)
http://www.cnn.com/2003/LAW/06/27/fetal.homicide.ap/index.html
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クローン羊ドリーの誕生に携わったベンチャーPPL社の危機 |
LNET主宰の最相葉月です。
Nature423,907(26June2003)によると、クローン羊ドリーの誕生に携わった英ベンチャー企業PPLセラピューティクス社(1989年設立)は6月18日、その最も中心的な事業である、遺伝子組換えクローン羊の乳中に医学的に重要なタンパク質を生産させる計画を中断していると発表しました。これによって、エジンバラに基盤を置く会社の従業員200人が職を失い、会社自体も倒産する可能性があると証言するアナリストもいるようです。
最近つまづいているのは、製薬会社バイエル社(米)と進めていた遺伝的な肺気腫や嚢胞性繊維種などの肺病を治療するためのタンパク質生産に関する事業です。PPL社は遺伝子組換え羊からα1アンチトリプシンを生産、バイエル社と大規模な人への臨床試験に入る準備をしていました。ところが、PPL社がミルクからタンパク質を不純物を取り除くための商業用プラントを建設する資金として必要な4200万ポンドの負債を引き受けないと決定してから、臨床試験は中断しているとバイエル社はいっています。
PPLに残されたただひとつの製品は「フィブリン」で、手術の際に針で縫う代わりに接着するのりのようなものです。ただし、遺伝子組換え技術は関係なく、競合相手の多い商品。PPL社の長期的な見通しはたたないままのようです。
PPL社は2002年末に幹細胞事業計画をクローズし、2003年4月には再生医療部門を新会社Regenecor社に売却するかたちでスピンアウトしたばかり。ここ数年、いくつかの遺伝子組換え技術に関わる計画を売り払うことを余儀なくされており、90年代なかばには4ポンド(6.68ドル)に達した株価は今では6ペンスに下落しています。PPL社のチーフ・エグゼクティブGeoff Cookは、社に残された財産を売ることが投資家への償いとしてベストな方法だろうといっています。
http://www.nature.com/
(ただし、登録が必要です)
LNET主宰の最相葉月です。
LNETの「質問の小部屋」でも質問がありましたが、再生医療分野のうち、血管をつくるものとなる幹細胞を移植して新しい血管をつくる再生医療が高度先進医療に指定されることになりました。
2003年6月25日付共同通信報道によりますと、厚生労働大臣の諮問機関・中央社会保険医療協議会は25日、関西医大病院、久留大病院、自治医大病院の3病院が実施する血管幹細胞の移植を行う再生医療に、高度先進医療を適用することを決めました。これによって、医療費のうちの投薬費や検査費が医療保険の対象となり、100数十万円の治療費のうち、個人負担額は30〜50万円に軽減されることになります。細胞や臓器をつくるもとになる幹細胞を患者に移植する再生医療での保険適用は初めてのことです。なお、これまでの治療費は病院側が研究費として肩代わりしていたそうです。
今回の治療は、閉塞性動脈硬化症などの患者から骨髄を採取して、血管幹細胞を含む成分を分離・濃縮、詰まった血管の周囲に注射で移植する方法です。3病院は2002年7月に共同で高度先進医療の適用を申請しており、その時点で、合計41例の実施例があったとのことです。
再生医療の医療費については、質問の小部屋Q21の久保康弘さんの回答が参考になりますので、合わせてご覧ください。
情報サポーターの岸本和世です。
18日に、パキスタンの79歳になる女性が妊娠しているとの報道がありました。(news.com.au.)
この女性は腹痛を訴えて病院に来ました。子宮の腫瘍を疑った医師が超音波撮影で調べたところ、原因は健康な胎児によることが分かったのです。
「幸せです。もうすぐInsha-Allah(アラーのご意思なら)もうすぐ赤ちゃんが与えられるのですから。でも、家に帰ったら、この歳で妊娠したことを孫や曾孫がどう思うか、複雑な気持ちです」とこの女性は語っています。
1950年に結婚したビビさんの夫アーメド・ディンさん85歳は、53年ぶりに子供が与えられることを喜び、「男の子であるように祈っている」とのことです。
http://www.news.com.au/common/printpage/0,6093,6614524,00.html
LNET主宰の最相葉月です。
疫学サポーターの坪野吉孝さんより、以下の情報をいただきましたので抜粋して添付します。
台湾のグループが米国医師会雑誌2003年6月11日号に報告した論文によりますと、PCBが混入した食用油を摂取した台湾の男性40人を20年後に調べたところ、対照群の28人と比べて、精子が少ない人の割合が高く、異常な形態の精子も多かったそうです。台湾では1978−79年にかけて、誤ってPCB(ポリ塩化ビフェニル)が混入した食用油を2000人以上が摂取する「油症」事件が起こっていました。同じような事件として、日本の「カネミ油症」が知られています。
詳しくは、坪野さん主宰のGlobal Risk Communications Newsletterへ
http://www.metamedica.com/
サイト管理見習いのフジモトです
5/4生まれのクローンラバ。このラバのクローニングの過程でカルシウムが受胎成功のカギであることが確認されたそうです。ガンの増殖過程においてもカルシウムが重要な役割を果たしていることからアイダホ大学のゴードン・ウッズ教授は...
詳しくは Hotwired Japan の記事をご覧ください。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030605306.html
情報サポーターの渡辺由佳里です。
フロリダ州マイアミで巡回裁判所の裁判官が知的障害のあるレイプ犠牲者の妊娠6ヶ月での中絶を認める判決を下し、6日後に手術が行われました。
犠牲者は3歳のときに罹患した髄膜炎の後遺症で難聴で、認知力は4歳児程度。現在はグループホームに住んでいます。犠牲者の母親は、妊娠の継続により生命に危険が及ぶ可能性があるという医師の証言を元に中絶の許可を求める訴えをおこしていました。裁判官が意見を求めたハイリスクの妊娠の専門医の診察によると、胎児は正常に成長していたとのことです。
オーランドのプロライフグループ(生命尊重派・中絶反対派)「ザ・リバティ・カウンセル」は、この訴えに当初から反対の立場を取り、判決後3日目にマイアミ裁判所に胎児の保護者になる動議を出しましたが、マイアミ裁判所、フロリダ州最高裁判所ともに却下しました。
「ザ・リバティ・カウンセル」の会長Mathew Staver(男性)は、「ベビー・ドゥ(匿名の意味)が堕胎されたのは、非常に不幸で悲しいことだ。我々の裁判制度の悲しい評釈だ」と述べていますが、レイプ犠牲者の母親の弁護士は、「(このグループは)スタンドプレーをしているだけであり、このケースについて(何かを述べる)立場にはまったくない」と反論しています。
オーランドでは、同じように知的障害がある22歳のレイプ犠牲者の中絶に関する裁判が行われています。
この犠牲者の場合、意志を代弁する身よりがないため、大統領の弟でフロリダ州知事ジェブ・ブッシュとFlorida Department of Children and Familiesが犠牲者とその胎児の保護者に任命する者を求めています。現在プロライフ組織には関係のない主婦が名乗りをあげているようです。
(CNN)
http://www.cnn.com/2003/LAW/05/30/florida.abortion/index.html
LNET図書室に参考書を掲示しています。
情報サポーターの渡辺由佳里です。
アイダホ大学でラバのクローン「アイダホ・ジェム」が誕生しました。
ラバは馬が母親でロバが父親です。性質が穏やかで粗食に耐え頑健であることから古代から労役に使われてきましたが、不妊なので次世代を産むことはできません(アメリカ ロバ・ラバ協会のPatton氏によると、完全不妊ではなく過去200年に50件の出産が記録されているそうです)。ロバが母親で馬が父親のヒニーは繁殖能力があるようですが、ラバのような優れた特性がなく実用性に欠けます。
アイダホ・ジェムは、競ラバのチャンピオン「タズ」の両親である雌馬と牡ロバを使い妊娠45日まで育った胎児の体細胞を採取し、核を取り除いた馬の卵子に移植して誕生したクローンです。従って、チャンピオンラバ「タズ」の兄弟になるわけです。アイダホ・ジェムと同じDNAを持つクローン兄弟も近いうちに誕生する予定です。
今回成長した「タズ」ではなく胎児をクローンに使用したのは、胎児の細胞のほうがクローンしやすいと考えられたからで、商業的なアピールがないため次回は「タズ」をクローンするとのことです。
このプロジェクトの資金40万ドル(約4千2百万円)を提供したのは、アイダホのビジネスマンDonald W. Jacklin氏で、彼はAmerican Mule Racing Association(アメリカ競ラバ協会)の会長でもあります。
今年のケンタッキー・ダービーの優勝馬ファニーサイドは1978年以来初めての三冠王ですが、去勢馬なので子孫を作ることができません。クローン技術を使えば、このような馬のコピーが可能になるわけです。
サラブレッド種の登録を管理している「ジョッキー・クラブ」は、クローンだけでなく人工授精などのいかなる生殖補助医療も認めてはいませんから、たとえファニーサイドのクローンに成功したとしてもメジャーの競馬に参加することはできません。しかし、オリンピックのようにこの種の制約のない競技には参加できます。
(ニューヨークタイムズ)
http://www.nytimes.com/2003/05/29/science/29WIRE-MULE.html?tntemail0
http://www.nytimes.com/2003/05/30/science/30MULE.html?tntemail0
LNET主宰、最相葉月です。
厚生労働省の研究機関である国立社会保障・人口問題研究所は、2003年5月28日、表記の調査結果を発表しました。この調査は5年ごとに実施されていますが、今回は、2002年全国50歳未満の既婚女性9021人を対象に実施、このうち初婚女性6949人の回答をまとめたものです。
10年前の1992年と比較すると、「結婚したら、子どもは持つべきだ」と回答した人は87.8%から73.26%に減少、そのうち強い同意を示す「まったく賛成」が46.9%から24.2%と半減しました。
また、今回の調査では初めて不妊に関する質問が行われましたが、夫婦4組のうち1組が不妊を心配した経験があることもわかりました。実際に医療機関で検査や治療を受けた夫婦は全体の約13%、子どものいない夫婦では25.5%にのぼりました。
同研究所の金子隆一総合企画部室長が産経新聞の取材に答えたところによりますと、男女雇用機会均等法以降に社会進出した1960年代生まれの女性が調査対象に入ってきたことが意識変化の背景にあるということです。
原文は以下のHPで入手できます。
http://www.ipss.go.jp/Japanese/doukou12/doukou12.html
LNET主宰の最相葉月です。
2003年5月28日、京都大学と共同でカニクイザルのES細胞凍結保存技術を開発した旭テクノグラスの株価が急伸しました。(フィスコ 5215 旭テクノ 217 +26)28日の国内初の人間のES細胞樹立の報道を受けた思惑人気とみられます。
旭テクノグラスは、公的研究機関に向けて霊長類ES細胞を販売しています。
http://www.atgc.co.jp/div/rika/
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日本初。日本人夫婦の凍結受精卵から初めてES細胞樹立 |
LNET主宰の最相葉月です。
京都大学再生医科学研究所の幹細胞医学研究センター中辻憲夫所長らのグループは、2003年5月27日、日本人夫婦から提供を受けた受精卵を利用したES細胞1株を初めて樹立できたことを発表しました。同グループは2003年1月から人の受精卵を材料にしたES細胞づくりに着手していましたが、約4か月後これに成功したものです。提供を受けた10個の凍結受精卵のうち胚盤胞まで育ったものが1個、そこからES細胞の培養樹立に至りました。今後は全国の研究者がこの国内初のES細胞を使用した研究計画を作り、文部科学省へ申請を始めます。2003年内にはES細胞の無償での分配が始まると考えられます。
ES細胞は受精卵が分割を始めて胚盤胞期という段階の内部細胞塊より取り出す細胞で、これを採り出して培養すれば、神経細胞や血管、心筋などの組織に育つ能力があるとみられています。中辻教授らのグループは京大の倫理委員会の審議を経た後に、文部科学省に樹立計画を申請、2002年3月末に文科省内の専門委員会より樹立計画の承認を受けていました。国内ではすでに海外からの輸入ES細胞を用いた研究が京都大学や信州大学などで始まっていますが、研究利用の権利関係やES細胞指針との整合性などの問題があることから、国内での樹立が望まれていました。
文部科学省が不妊治療に使用しないと決まった凍結受精卵をカップルに対する説明と同意を得て提供してもよいとした受精卵提供機関は、現在、京都大学病院、豊橋市民病院、慶応大学病院の3機関です。
▲京都大学HP トピックス欄をクリックしてください
http://www.kyoto-u.ac.jp/
▲京都大学再生医科学研究所ヒトES細胞プロジェクト情報公開ページ
http://www.shigen.nig.ac.jp/escell/human/
▲文部科学省生命倫理・安全部会
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/index.htm
京都新聞2003年5月27日オンラインニュース
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2003may/27/W20030527MWC2K000000070.html
情報サポーターの岸本和世です。
子宮外妊娠ということが母体にとって危険なものだということは知っていました。それが、卵管で起きるというくらいのことしか知りませんでした。ところがです、母親の肝臓で育った2.8キロの赤ちゃんが元気に生まれたという南アフリカの出来事です。
詳しい医学的なことは説明ができませんが、血液が集中する肝臓なので、非常に危険な手術で生まれたそうです。医師も手術直前までこのことを知らなかったというのです。こうした例は14例知られているけれども、成功は4例だけです。いのちのたくましさと言うか、“母親は強い”と言おうか。ただただびっくりしています。(そうなると、男も子どもを産めるのかな?)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/2932608.stm
情報サポーターの堂囿です。
先日お知らせしたドイツでのクローン国際会議について、『ヴェルト』誌に次のような記事が掲載されていました。(大会報告書のようなものがそのうち出ると思いますので、そのさいには包括的な情報提供ができればと思っています。)
「クローニングはすぐにルーティン[習慣的な行い]になるのか」Jutta Wagemann
イギリス人の生物学者ハリー・グリフィンは、肺に障害をもっていたために生後間もなく死んだ子羊の写真を掲げて、次のように主張した。目下のところ体細胞クローニングによって生まれる動物には奇形が絶えず、この問題はそう簡単には解決されえない。「現在の方法では、クローニングは、エジンバラのロスリン研究所が導入した宝くじである。」これに対してトゥービンゲンの哲学者オットフリード・ヘッフェは、体外受精の歴史をもちだして、クローニングは「必ずしも永遠にリスクをともなうriskantわけではない」と反論した。両者のあいだにこれ以上の倫理的議論は起きなかった。
しかし医学者たちはみな、人間まるごとのクローニングは追放されるべきだという点で一致している。パリの人類遺伝学者アクセル・カーンは、「人間の尊厳は、人間の唯一性と結びついている」(Menschenwuerde sei mit Einzigartigkeit des Menschen verbunden.)ことを強調した。またバーゼルの産婦人科医ヴォルフガング・ホルツグレーフェは、明確な禁止を望んだ。というのもさもないと、クローニングによって子をもとうとする圧力が高まるからだ。
他方で治療目的のクローニングの問題はどうであろうか。約300人の研究者がこの困難な問題に取り組んだ。連邦研究大臣エーデルガルト・ブルマンは、さまざまな議論を可能にするべく、さまざまな立場の人々を集めたのである。 連邦首相シュレーダーと同じく、彼女の態度もはっきりとはしていない。そのため連邦議会は、政府にヒトのクローニングを全般的に禁止することを要求する案を決議した。
http://www.welt.de/data/2003/05/16/95649.html?prx=1
LNET主宰の最相葉月です。
2003年5月20日毎日新聞ほか各紙報道によりますと、法務省法制審議会(法務大臣の諮問機関)生殖補助医療親子法制部会は2003年5月20日、生殖補助医療によって誕生した子どもと両親との関係性を明確にするため法律に明記する方針を確認しました。
生殖補助医療については、4月10日厚生労働省の厚生科学審議会生殖補助医療部会が、夫婦以外の精子、卵子、受精卵の提供による不妊治療を正式に認める報告書をまとめました。この医療が認められた場合、精子、卵子、受精卵の提供者と夫婦との間で子どもの認知や相続に関するトラブルが起こる可能性があることから、法的に親子関係を明確にする必要が出てきたためです。
今回の審議によりますと、出産した妻が母親、卵子、精子、受精卵提供に同意した夫が父親となり、提供者による子どもの認知は認めない規定や、代理出産も認めない方針です。代理出産の場合でも、出産した女性が母親となるため、出産を依頼した女性は実の母親とは認められないことになります。
7月に中間試案をまとめ、今秋に要綱案をふまえたうえで、厚生労働省が2004年の通常国会に提出予定の生殖補助医療関連法案に民法の特例として盛り込まれる予定です。
毎日新聞2003年5月20日解説記事
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030521k0000m040154000c.html
法務省〔法制審議会〕
生殖補助医療関連親子法制部会 (平成15年5月1日現在)
○野 村 豊 弘 学習院大学教授
石 井 美智子 東京都立大学教授
石 川 稔 上智大学教授
岩 志 和一郎 早稲田大学教授
柘 植 あづみ 明治学院大学助教授
中 田 裕 康 一橋大学教授
永 井 多恵子 世田谷文化生活情報センター館長
樋 口 範 雄 東京大学教授
福 武 公 子 弁護士(千葉県弁護士会所属)
房 村 精 一 法務省民事局長
松 尾 龍 彦 評論家
深 山 卓 也 法務省大臣官房審議官(心得)
矢 崎 義 雄 国立国際医療センター総長
山 崎 恒 最高裁判所事務総局家庭局長
吉 村 泰 典 慶應義塾大学教授
※ ○印は,部会長
情報サポーターの岸本和世です。
フランス政府は、2004年1月以降に生まれる子ども一人に対して895ドルを支給すると発表しました。フランスは女性一人平均1.8人の子どもを産んでおり、欧州の中では上位にあるのですが、近い将来労働人口より老齢人口が上回ることも理由のようです。
「なぜ子どもを産むのか?」は、わたしの「部屋」の現在のテーマです(すみません。ちょっと忙しくて、続きに手がつけられないでいます)が、政府主導の人口政策ということには“?”を感じています。いかがでしょうか?
http://bmj.com/cgi/content/full/326/7397/1002/c
情報サポーターの渡辺由佳里です。
アメリカ国立衛生研究所の所長 Elias Zerhouni氏が、「サイエンス」誌で現在研究用に使用可能なヒトのES細胞が著しく不足していることを報告しています。
ブッシュ大統領が政府の資金による研究で新たな受精卵からのES細胞の樹立を禁じた2001年8月9日時点では、The Health and Human Services Departmentは70のES細胞株が使用可能と報告書で推定していました。しかし、現時点ではそれを大きく下回る11株しかありません。
「サイエンス」誌の編集長Donald Kennedy氏は、現存のES細胞はマウスの細胞の成長因子を使って樹立したものなので、マウスのウィルスあるいはプロテインで汚染されている可能性があり、研究のためには新しい受精卵からの新たなES細胞株の樹立が必要だと語っています。
現在の技術ではES細胞を樹立するのにマウスの細胞は不用で、その技術は(ブッシュ大統領の)規制に影響を受けない企業と海外の研究者が開発したものです。
(ボストングローブ)
http://www.boston.com/dailyglobe2/129/nation/NIH_says_stem_cell_supply_is_low+.shtml
情報サポーターの渡辺由佳里です。
アメリカの不妊治療クリニックへの調査で、保存されている凍結受精卵の数が推定された数を遙に上回る約40万個であることが判明しました。 研究用が3%、破棄、不妊患者への寄付がそれぞれ2%、品質保証の研究が1%というのが、目的のはっきりしている数字で、残りは治療継続中か、あるいは破棄することも、研究用に寄付することも、不妊カップルに寄付することも決めかねてそのまま保存し続けているものです。
凍結保管には心理的倫理的問題以外にも現実的な経済的な問題がもあります。クリニックは解凍事故に備える保険に加入せねばならず、受精卵を凍結している患者は年間約15万円の保管料を払い続けなければなりません。
全国的な調査では、少なくとも1万1千個の受精卵の親が余剰受精卵の研究への利用を希望しているとのことですが、2001年のブッシュ大統領の政策により政府の資金を受けている科学者が新しい受精卵を研究に使用することは禁じられています。(従って、現在新たな受精卵を研究用に使えるのは企業などの私的な研究機関のみです。ですから研究への提供希望者は私的資金源の研究機関に受精卵を寄付することになります)
ハーバード大学で幹細胞研究に携わるダグラス・メルトン氏は、「これらの受精卵を数々の優れた研究目的に使用することができるのに」と、現行の規制に対しフラストレーションを露わにしています。
ミネソタ大学の倫理学センターの所長ジェフリー・カーン氏は、受精卵はすでにひとつの生命であると考える中絶反対主義者たちの「ES細胞研究者たちは人間の受精卵農場を作ろうとしている」という批判に対し、「受精卵が大量に生産されているのは生殖医療の場であり、企業の研究室でないことを示している。(彼らは)間違った木に向かって吠えている」と語っています。
(ワシントンポスト)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A27495-2003May7.html
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生まれるチャンスがあれば自分の子供になる筈の受精卵であることを考えると破棄する決意は困難です。また不妊に悩むカップルにチャンスを提供する「人助け」に興味を示す人は多いのですが、その子供がどんな親に育てられてどんな人生を送るかの責任を持てないことや、ある日見知らぬ子供が「私はあなたの子供です」と戸口に現れる不安などが、その決意を鈍らせているようです。(この話題に関してはNBC放送「TODAY SHOW」がドキュメントしています。多少重なりますが、LNET倫理委員会のほうで後日ご紹介するつもりです)
情報サポーターの岸本和世です。
2日付で、渡辺由佳里さんがマウスのES細胞から卵子の元になる卵母細胞の作成に成功したというニュースを報告しておられますが、今度は精子の番です。
三菱化成生命科学研究所のチームが、やはりマウスのES細胞から精子を作り出す道を開いた、と New Scientist の8日付の電子版が報じています。これはまだ緒に付いた段階ですから、まだまだクリアーしなければならないことが多いのですが、その実現の可能性は大きいようです。
このことは、今までの生殖の概念を革命的に変えるもので、それはとりもなおさず、医療倫理の考え方をも変えるでしょう。こういうことが可能になります。二人の男性のES細胞からそれぞれ卵子と精子を作り出せるので、代理母(将来的には人工子宮!?)によって“彼ら”の子どもを産むことができるわけです。その場合の男女の性別の可能性は男子2対女子1となります。女性は染色体がXXですから、男性の場合(XY)のように精子はできませんから、女性同士の子どもを作ることは、今のところできません。ただし、ヒトの卵子での“処女生殖”の初期段階は可能になっています。
下記のURLは「精子」に関してですが、「卵子」に関してと「処女生殖」に関しての記事も、クリックすれば読めるように、見出しが同じ画面に載っています。
http://www.newscientist.com/news/news.jsp?id=ns99993700
情報サポーターの岸本和世です。
7日付のロイター通信によると、英国で体外受精をする女性同士で卵子の提供が1990年半ばには400件ほどであったのが、2001年には2,000件、今年は3,000件が予想され、2005年には5,000件に達するだろうとのIVF専門家の予測を報じています。
卵子を受領する女性は提供者のIVF費用を負担するという条件のようですが、英国の公的機関は1998年には金銭的な授受を禁じる方向でした(日本の厚生省もその方針です)が、IVFを受けられない女性を助けられることとこのような治療法に起き得るリスクを避けることができるという反論があり、その方針を−もちろん、さまざまな条件の下ですが−やめたのです。
このような傾向は、IVFクリニックで卵子が“大量の無駄”を起こさないという利点もあり、今後5年ないし10年でIVFの主流になるだろうと専門家は言っています。
http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=healthNews&storyID=2699169&src=eDialog/GetContent
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ペンシルバニア大学の研究グループがES細胞から卵母細胞を作成 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
本日(5/2)発売の「サイエンス」誌で、ペンシルバニア大学のDr. Karin Hübner と Dr. Hans R. Schölerの研究グループがネズミのES細胞から卵母細胞を作成することに成功したという論文が掲載されています。
この研究が画期的なのは、この技術が人間に応用できれば卵子を大量に作成することができるので、不妊治療のとき女性の身体に大きな負担を与える卵子の採取を行わずに済むということです。
また、Dr. Hans R. Schölerによると、この卵母細胞は「spontaneous doubling」により精子の存在なしにEmbryo(胚)の状態に成長させることができるということで、この技術が人間に応用できれば生命誕生のコンセプトが大きく変化することになります。
Dr. Hans R. Schölerはドイツ国籍なので、人間のES細胞での研究がドイツで違法かどうかを問い合わせているとのことです。彼はたとえアメリカで合法であろうともドイツで違法なら研究は行わないと語っています。また、
NIH(アメリカ国立衛生研究所)の幹細胞タスクフォース議長のDr. James Batteyも、NIHが援助している研究者は倫理的な考察がなされるまでこの研究を進めるべきではないと語っています。
(ニューヨークタイムズ)
http://www.nytimes.com/2003/05/02/science/02STEM.html?tntemail1
サポーターの堂囿です。
昨年末からのクローン騒動を受けて、ドイツで今月の14日から16日まで、「生物医学的研究および生殖におけるクローニング」(Klonen in biomedizinischer Forschung und Reproduktion) という国際会議が開かれます。この場では、生殖を目的としたクローニングだけではなく、治療を目的としたクローニングも議論される予定です。ちなみに日本からは木村利人氏(早稲田大学)が参加されます。
詳細な情報については、以下のURLから知ることができます。(英文サイトです。)
http://www.drze.de/events/cloning?la=en
情報サポーターの渡辺由佳里です。
DNAの二重らせん構造の発見から50周年ですが、ノーベル賞を受賞したワトソンとクリック以外に、この発見の陰の貢献者と言われるユダヤ系イギリス人科学者ロザリンド・フランクリンという女性を紹介しておきたいと思います。
証言者によって程度や理由は異なるようですが、当時の英国キングス・カレッジはユダヤ系の女性科学者であるフランクリンにとっては非常に働きにくい環境だったようです。フランクリンは良好な人間関係を築けないまま単独X線回折でDNA構造の発見を試みていました。ところが、発見まであと一歩というところで、大学であまり良い人間関係になかったボスがその写真(Photo 51)を競争相手であったワトソンとクリックに渡し、2人はフランクリンの写真を元に二重らせん構造のモデルを作り、またそれを証拠としたのです。このいきさつはワトソン氏の自伝やフランクリン氏の友人たちの証言から事実として知られています。
ノーベル賞の受賞者に名前を連ねなかったことや、37歳という若さで癌で死去したためフェミニストたちにより過剰に神話化されているという意見もありますが、彼女の了解なしにワトソンとクリックが彼女の写真を入手して利用したことも、それがDNAの二重螺旋構造の発見に直接繋がったことも事実ですから、フランクリン氏の功績は、多くの人々に知っておいていただきたいと思います。
最相さんが紹介されたネイチャー誌にも紹介されていますが、アメリカPBS制作の「Secret of Photo 51(写真51番の秘密)」は、当事者や友人の証言など取材が充実したドキュメンタリーです。
http://www.pbs.org/wgbh/nova/photo51/elkin.html
また、同ページの「Anatomy of Photo 51」をクリックすれば、問題の写真「51番」とその解説を(英語ですが)読むことができます。
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ヒトゲノム完全解読とDNA二重らせん構造発見50年 |
LNET主宰の最相葉月です。
2003年4月14日、ヒトゲノム解読完了が報じられましたが、日経BPのBiotechnology Japanでは、ワトソンとクリックの二重らせん構造発見とその後半世紀のゲノム研究の意義について、専門家のインタビューを以下のサイトで無料公開しています。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/DNA50/
また、ネイチャー誌が二重らせん発見の論文を無料公開しています。
http://www.natureasia.com/campaign/2003-50dna/index.php
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文部科学省「個人の遺伝情報に応じた医療」プロジェクト始動 |
LNET主宰の最相葉月です。
2003年4月14日付日経バイオテク「バイオ・インテリジェンス」の報じたところによると、遺伝子多型の情報を医療に役立てるための文部科学省「個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト」の概要が明らかになりました。
プロジェクトの期間は5年間、予算規模は200億円。2002年度補正予算で83億円、2003年度予算で21億円を得ています。目的は、がんや生活習慣病(糖尿病、心筋梗塞、脳血管障害など)、自己免疫疾患(気管支喘息、花粉症、アトピーなど)などの病気に罹患した患者の腫瘍や血液組織を収集し、疾患関連遺伝子の個人差に関わる変異を見つけ、薬効との関係性を明らかにすること。このため、約30万人分の患者の試料とどのような薬剤の投与を受けたかなどの臨床データを収集。東京大学医科学研究所を試料の収集保存を行うバイオバンクとし、研究機関の要請に応じ、審査の結果、適切と認められれば試料と臨床データを提供することになるようです。
個人情報保護については、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」にのっとるほか、個人情報を匿名化処理し、遺伝子情報と臨床情報を分離して管理する方針。研究機関がバイオバンクから受け取るのは、ランダムな番号がついた遺伝情報と集団としての臨床データに限られる。臨床情報と遺伝情報が結びつくのはデータ管理センター(場所は未定)のみで、情報の漏洩を防止するためにデータ管理センターのコンピュータは外部と切り離されます。
4月中にプロジェクト推進委員会が開催される予定。
日経バイオテク(ただし、全文は購読者のみ)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/
「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」公式HP開設されました。2003/7/1
http://biobankjp.org
情報サポーターの渡辺由佳里です。
4月11日発売の「サイエンス」誌の、ピッツバーグ大学の研究グループの論文に、現存の技術では人間のクローニングはほぼ不可能であることが説明されています。
Calvin Simerly氏をリーダーとするピッツバーグ大学の研究グループは、アカゲザルの卵子に現存の体細胞核移植の技術でクローンを試みましたが、724の卵子から作成に成功した初期胚は33に過ぎず、子宮に移植しても妊娠に至ったものはありませんでした。
DNAと細胞の画像を調査した結果、細胞の有糸分裂(注:高等生物の核分裂はほとんどが有糸分裂)に重要な役割を果たす紡錘糸 (mitotic spindle)が破損していることがわかりました。
研究グループは、卵子から核を取り除くテクニックで紡錘糸の破損が起こり、その結果細胞分裂の際に染色体の配置が乱れ、異常や機能不全が起こるという結論に達しています。また、羊、ネズミ、牛のクローニングでは紡錘糸が作られるメカニズムが微妙に異なるためクローニングの過程で紡錘糸の破損は起こらないとのことです。
今週はじめに、ケンタッキーの不妊治療専門家(注:ザボス医師のことと思われますが、確認していません)がアメリカ人カップルのために人間のクローン胚の作成に成功したと発表し、遺伝子に異常がないことを確認したうえで母胎に移植するとのことです。
ピッツバーグ大学の研究グループのひとりGerald Shatten氏は「私が確信している範囲では、この技術で人間を生殖できる可能性はない」と述べていますが、彼の研究所ではクローニング技術と通常の体外受精のテクニックを組み合わせた方法を開発しており、その方法は有効であるようだと述べています。
サイエンス誌(会員以外は抄録を読むことはできません)
http://www.sciencemag.org/
ボストングローブ
http://www.boston.com/dailyglobe2/101/nation/Paper_casts_doubt_on_human_cloning+.shtml
ネイチャーオンライン
http://www.appliedbiosystems.co.jp/website/SilverStream/Pages/pg33A1.html?NTNEWSCONTENTSCD=70035
LNET主宰の最相葉月です。
生殖補助医療のあり方を検討してきた厚生労働省の厚生科学審議会生殖補助医療部会は、2003年4月10日に最終報告書をまとめ、凍結保存した受精卵のうち夫婦が使用しないと決めたものを精子と卵子のともに問題がある第三者の不妊の夫婦に提供することを認めるとしました。これで、第三者の精子、卵子、受精卵提供が認められることになりました。ただし、兄弟姉妹からの提供は複雑な家族関係が生ずるとの危惧があることから、今回は認められませんでした。
これと同時に子どもの「遺伝上の親を知る権利」など福祉が優先されることになり、提供者は匿名ですが、子どもが15歳以上になったときに希望する場合は、住所氏名が開示を求めることができます。また、出自に関する問い合わせに応じられるよう、80年間個人情報を管理する公的機関を新設し、児童相談所との連携で子どもと家族を支援できるようなシステムをつくります。
なお、代理出産、借腹出産や営利目的のあっせんについてはいずれも禁止されました。
同省は今後関係各省庁と法案作成を進め、来年の通常国会へ法案を提出する予定。
佐賀新聞2003年4月10日オンラインニュース
http://www.saga-s.co.jp/news.asp?ID=2003041001000506
なお、4月12日に日本産科婦人科学会が代理出産を正式に禁止しました。理由は、妊娠と出産で育まれる母子のきずなを無視することになり子の福祉に反する、また、社会全体が許容しているとは認められないなどが挙げられています。
情報サポーターの渡辺由佳里です。
4月8日のニューヨークタイムズ紙によりますと、先週アイオワ州の農場で、クローン技術(体細胞核移植)によりBanteng(バンテン、インドネシアの野牛)の子牛が二頭誕生したそうです。妊娠に使われたのは普通の牛でした。ただし、二頭のうち一頭は通常の2倍の体重(約36kg)で(体細胞核移植ではこのような巨大児の現象がおこりやすいと考えられています)、生存の可能性はほぼないために安楽死させられました。
もう一頭は、異常がなければ将来自然に生殖することを目指してサンディエゴ野生動物公園に移される予定です。
バンテンは過剰捕獲により数が激減し、今では主にジャワ島を中心に8000頭以下しか棲息していないと言われています。サンディエゴ動物園の「Center for Reproduction of Endangered Species(絶滅に瀕した種の生殖センター)」では、1977年からこのような動物の細胞を液体窒素で冷凍保存しており、今回マサチューセッツ州のアドバンスド・セル・テクノロジー(ACT)社に送られたバンテンの皮膚の細胞は、核を取り除かれた牛の卵子30個に移植されました。クローン胚は、次にアイオワ州にある別のバイオロジー会社「Trans Ova Genetics of Hull」で普通の雌牛の子宮に移植され、妊娠に至ったのが16、出産に至ったのは2頭でした。
今回の試みが特殊なのは、バンテンの核を牛という異種の卵子に移植した「cross-species」のクローニングだったことで、絶滅に瀕した動物をクローンするときに有望な手段と考えられています。この異種間の体細胞核移植は今回が初めてのことではなく、2年前に絶滅に瀕した野生のオックス「ノア」が普通の牛から生まれていますが、生後2日で死亡しています。
動物保護グループなどは、妊娠率の低さや生まれた動物の健康に問題が残るなどの理由から残酷だとして動物のクローニングに反対しています。
すでに絶滅したマンモスなどをクローン技術によって生き返らせることについては、細胞が高度技術によって保存されていないから不可能だと科学者は説明しています。
http://www.nytimes.com/aponline/science/AP-Cloning-Endangered-Animals.html(AP配信)
情報サポーターの岸本和世です。
イギリスの話ですが、4歳の子ども(ザイン・ハシュミ)がベーター地中海(性)貧血症で、治療の方法は誰かの骨髄細胞か、さい帯血(新生児のへその緒の血液)が、この子どもと遺伝的に適合している場合にだけ可能です。前者に適合する人は、彼の4人のきょうだいを含め、誰も見つかりませんでした。
そこで、両親はもうひとり子どもを産むことにしました。ただし、その子どもの血液型がザインと同じでなければならないので、受精卵の段階でそれを調べなければなりません。自然な形の妊娠では、適合の可能性が低いということで、体外受精の方法ですでに2回行なわれたのですが、合いませんでした。
この時点でプロ‐ライフ(人工的な方法の出産や中絶に反対する)グループ(Core)は、そのような行為は Human Fertilisation and Embryology Act という法律に違反しているとして、裁判所に訴えました。裁判所はその訴えを認めました。すなわち、この法律が、細胞組織に基づく胎児選別を禁じるものだったからです。(ここまでが、今年の1月初めの情報でした)
今日(4月9日)のイギリスからのニュースは、控訴院(と言うのでしょうか?)が、この裁判所の裁定をひっくり返して、ハシュミ夫妻がいわゆる「デザイナー・ベビー」を産み出すことを認めたと報じています。この裁定は、ザインと彼の両親にとってはすばらし
い朗報ですが、そこには大きな問題が隠れています。
こんにちの生殖医療は、受精卵の8分割の段階で、その一つを取り出して調べることで、その受精卵の遺伝的な情報を知ることができます。それによって、親が希望する条件−遺伝的な疾患を避けることを含めて−にふさわしい子どもを選別してもうけることが可能とされています。それを「デザイナー・ベビー」と呼ばれていますが、そこにはいわゆる「滑りやすい坂道論」(slippery slope theory)という倫理的な問題が含まれています。すなわち「親が希望する条件」とはどのようなものがあるかを考えると、医学の展開の中では、それを満たす可能性がいくらでも広がるわけで、それが「いのちの選別」に結び付くわけです。
この出来事で明らかなように、いのちに関わる技術はそれ自身として「良いか、悪いか」という分け方ができない事柄を含んでいることを受けとめる必要があるのです。
サポーターの堂囿(どうぞの)です。
Le Monde誌に次のような要旨の記事が掲載されていました。
ベルギーの国会は、4月3日、体外のヒト胚研究と治療目的のクローニングとを認める法案を、賛成80、反対26、棄権26で可決した。
この法律は、一定の条件のもと、現在のところ治療不可能な多くの病気を治療可能にするという目的で、14日以内の体外のヒト胚(治療目的のクローニングによる胚も含む)に対する研究を認める。同時に、ヒト胚研究を管理する連邦委員会も設けることになる。これに対して、生殖目的のクローニングは厳密に禁止されている。
フランスでは5月の終わりまで生命倫理法が検討されることになっているが、国会の社会問題委員会 (la commission des affaires sociales) は、治療目的のクローニングを合法化する改正案を否決した。
http://www.lemonde.fr/imprimer_article_ref/0,5987,3209--315496,00.html
情報サポーターの岸本和世です。
数日前NHKで「鹿児島の五つ子ちゃんたち」の6歳までの記録の再放映がありました。“涙が出るほど”よい映像記録の放映でした。
前に米国での六つ子誕生のことをちょっと書き込みましたが、その理由は、このHPで中心的に取り上げている“受精卵”は、単なる科学的な興味からの主題ではなく、“いのち”に関するものであるという以上、それとの連続的な事柄として受けとめるべきだと思ったからでした。そうやって行くと、取り上げる事柄が限りなく広がっていって、収拾がつかなくなる恐れはありますが、そうであっても、こうしたことは少なくとも頭の隅においていただきたいし、わたしの『部屋』ではそのこともいずれ考えていかなければならない、と思っています。
そういう意味で、今夜(7日)午後9時15分から11時まで「東京の五つ子ちゃん21歳になりました!子育て7880日の全記録」という放映がありますので、興味のある方にお薦めです。わたしは札幌なのでSTVですが、キー・ステーションは分かりません。新聞のテレビ欄から時間でチェックしてください。
LNET主宰の最相葉月です。
2003年4月3日NHKの報道によりますと、京都大学医学部附属病院探索医療センターの高橋政代助教授のグループが、カニクイザルのES細胞から目のレンズにあたる水晶体をつくることに成功したそうです。
カニクイザルの受精卵からつくったES細胞を動物の骨髄などに含まれるPA6と呼ばれる細胞と一緒に約一か月間培養した結果、水晶体ができたようです。PA6は動物の目がつくられる際に重要な役割を果たしているといわれ、研究グループでは、この細胞から水晶体の形成を促す物質が出ているのではないかとみているようです。高橋助教授は「非常に状態の良い水晶体ができたので白内障などの病気の研究に役立つと思う。今後、研究が進めば、人間の老眼などの治療にもつながるのではないか」と話しています。ES細胞から水晶体を作ったのは、霊長類では初めてのことです。
探索医療センターは、基礎研究を最終的に臨床現場で応用することを目的として病院内に設置されたトランスレーショナル・リサーチ・センターで、高橋助教授の研究はその「網膜再生プロジェクト」にあたります。
京都大学医学部附属病院探索医療センター
http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~trc/index.htm
ところで、目といえば、コンタクトレンズで有名なメニコンが、2000年夏に参入を発表していた培養皮膚の事業化を2003年4月1日に一部の契約事業を除き断念したとの記者発表がありました。ニュースリリースは以下。
http://www.menicon.co.jp/company/news/vol42.html
情報サポーターの岸本和世です。
昨年の11月6日に報告した上記のタイトルの本が、『こうして生まれる−受胎から誕生まで』という題で、ソニー・マガジンズ社から出版されました。
そのときに見た映像(まだ、見られるはずですので、さかのぼってチェックして見てください)に感動しましたが、本になったものも素晴らしいようです。23日付けの『朝日新聞』の読書欄で、東大教授の坂村健さんが絶賛していますので、その一部を引用します。
『すべての人が見るに価する本である。科学により失われる神秘より、新たに生まれる神秘の方がより豊かだと気が付かせてくれる。赤ちゃんが生まれるというのはこんなにも大変なこと。どんな人もこれだけのドラマをくぐって生まれてきたのだ。百の言葉でなく、見ることによる「命の尊さ」の実感がここにある。今、戦争で失われようとしているものの重さを知るためにもぜひ見てほしい本である』。3,800円という値段が高くはないようです。
情報サポーターの岸本和世です。
21日のAP通信によると、ピッツバーグの病院で六つ子が12週間早熟で生まれたとのことです。男女それぞれ3人づつですが、人工呼吸器を付けていますが、安定した状況です。両親は33歳で、3歳の息子がいます。この夫妻は不妊治療を受けた、と医師が語っています。
日本でも七つ子が生まれて話題になりましたし、米国でも1997年に七つ子が生まれて、「LIFE」誌や、
「TIME」でも特集記事を組んでいました。Life誌では、コミュニティが総出で協力しているという“美談”が載っていましたが、子の夫婦の場合は、夫29歳、妻27歳で、すでに2歳の娘がいます。子の子が生まれた後、何度か流産を繰り返したので、不妊治療を受けたようです。
この二つのケースでは、すでに子どもが与えられており、夫婦ともまだ年齢的に若いわけで、なぜこのような形の多産による危険の可能性のある治療を受けたのかの詳しいことは不明ですが、今日の不妊治療では三つ子でも勧められないという理由などから、多胎の減数手術をすることを勧める医師もある現状を考えてみると、これらの夫婦とそれを取り巻く人々の勇気と善意に感動しながら、生殖補助医療と言う現代的な技術にまつわる、さまざまな疑問や課題を提起しているように思います。
PENNSYLVANIA: SEXTUPLETS BORN Sextuplets born 12 weeks premature were listed in critical but stable condition in a hospital in Pittsburgh. Each infant breathed using ventilators. The three boys and three girls were delivered on Wednesday to Erin and Joe Perry, both 33. The couple used fertility drugs and worked with a fertility clinic, doctors said. Dr. Cynthia Sims, who performed the delivery at Magee-Womens Hospital of the University of Pittsburgh Medical Center, said she was optimistic about the newborns. The Perrys, who live outside Pittsburgh, also have a 3-year-old son. (AP)
最相葉月です。
CSディスカバリーチャンネルで3/17〜21五夜連続(午後9時・再放送あり)で「妊娠と出産のすべて」が放映されます。遺伝子治療や胎児手術についても採り上げられるようです。詳しくは、以下をご覧ください。
http://japan.discovery.com/series/serintro.php?id=157
LNET主宰の最相葉月です。
2003年3月下旬に当サイトは大幅リニューアルいたします。各サポーターのコラムやケーススタディ議論の場などの新企画、情報掲示板、資料庫もさらに充実させるべくスタッフは今年はじめより日夜作業中です。画面もフレームなし、検索しやすいシステムに変更いたします。しばらく更新作業が滞りますが、情報掲示板の書き込みは行なわれますので、よろしくお願いいたします。
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RE: アメリカ下院が人間のクローンの全面的禁止案を可決 |
当サイトスタッフ見習いのフジモトです。
下の渡辺由佳里さんの「アメリカ下院でのクローニング禁止」に関して、米国 zdnet の日本語訳記事「米下院、ヒトクローン全面禁止法案を可決 Kristen Philipkoski 」
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030303307.html
もリンクが豊富で参考になると思います。
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アメリカ下院が人間のクローンの全面的禁止案を可決 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
2月27日、アメリカ下院は賛成241、反対155でクローン人間だけでなく医療用・研究用に作成する人間のクローン胚作成まで含むすべての人間のクローニングを禁止する法案を可決しました。この法案が上院で可決されブッシュ大統領が署名すると、違反者には100万ドル(約1億2千万円)の罰金、10年以内の懲役が科せられることになり、この技術を使った治療法の輸入の障壁にもなります。
下院でのディベートで、議員たちは自分の論点を裏付けするために聖書や医学の論文を引用し、政治の討論というよりは大学の科学や倫理学の講義のようだったとニューヨークタイムズは報じています。また、議員自身や家族の疾病の告白のようになったときもあり、下院司法委員会委員長のJames Sensenbrenner Jr氏(ウィスコンシン)が憤って、自分の妻には脊髄損傷があるが夫の作成した人間クローン胚作成禁止法案を支持していると宣言した光景もあったようです。
現在の上院は、クローン人間の作成に関しては全面的に同意ができていますが、医療用・研究用のクローン胚作成については意見が分かれており、結果がどちらになるかの予想は立っていません。上院下院とも現在は与党である共和党が過半数をしめています。
(ニューヨークタイムズ)
http://www.nytimes.com/2003/02/28/politics/28CLON.html?tntemail1
情報サポーターの岸本和世です。21日付の『朝日新聞』「声」欄にした投書は、医療のあり方や関わり方についての問いかけとして意味があったかな、と考えています。このLNETの課題とは、直接にはつながらないものではありますが。
2月22日付の『英国医学雑誌』(BMJ on-Line)は、「1日に8杯ものコーヒーを飲む妊婦は、飲まない人の2倍流産の危険がある」というデンマークのオーフス大学病院の研究結果を報じています。これは1989年から96年までの18,000人を対象にしたものです。コーヒーに含まれているカフェインが問題のようですが、日本の場合、1日に8杯も飲む人がいるのか、またそれでカフェインの量はどれくらいなのか(喫茶店で出されるようなものなど、8杯も飲む人はそんなにいないでしょう)、など、細かい点は分かりませんが、いろいろな報道機関がこの報告を取り上げていますし、特にコーヒー業者側から、1日数杯のコーヒー(300ミリグラムのカフェイン量)を飲んでも問題はない、というようなコメントが出されているところを見ると、コーヒーと妊娠の因果関係については、注意を要するとしたほうが安全だと思います。
この問題をめぐっての論議を読んでいて興味深かったのは、研究結果についてなされている学者の論争の仕方です。例えば、こんなことが言われていました。一般的に、妊娠では“つわり”から匂いに敏感になるので、コーヒーなどを避けるだろう。1日にそんなにたくさんのコーヒーを飲む人は、心身状態に問題があるとも推測できる。コーヒーとの因果関係ではなく、そちらの方が流産と関係があるのではないか。コーヒーをたくさん飲む人が流産しやすくなるのではなく、流産の可能性(危険)をもつような母体の状態にある人が、コーヒーなど“有害なもの”を手にし勝ちなのではないか」というようなものです。
問題点の取り上げ方の違いで、結論の出し方が変わりうる例のような気がしています。毎日入ってくる医療に関する情報も、時時刻刻新しいものや違ったものがあるので、わたしたち専門知識のない者が、それに振り回されないように注意することと同時に、専門家たちが十分に情報を咀嚼しながら、適切な治療に当たって欲しいと思います。(ちょっと、お説教じみましたか?)
http://bmj.com/cgi/content/abstract/326/7386/420?ijkey=QXgwmGD2NNS7g
http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_index.cfm?DR_ID=16172
情報サポーターの渡辺由佳里です。
このサイトでも最相葉月さんが紹介されている有名なクローン羊のドリーが本日(14日午後)6歳で死去しました。羊は通常11歳か12歳まで生きることができるそうです。
ドリーの生みの親であるイアン・ウィルムット博士は、ドリーの治療を担当していた獣医たちが肺の感染が進行しこのまま治療を続けるのはドリーの苦しみを長引かせるためだという結論に達し、安楽死させたと取材に答えたそうです。
近い未来、解剖の結果が続報として伝えられると思われます。
(ニューヨーク・タイムズ)
http://www.nytimes.com/2003/02/14/science/life/14CND-DOLL.html?tntemail1
情報サポーターの岸本です。
50年前の今月、ワトソンとクリックがDNAのらせん構造を発見したことを受けて、いろいろな行事が行なわれていますが、『タイム』誌US版は特集記事を組んでいます。
わたしは1977年まで、このDNAという言葉すら知りませんし、見たこともありませんでしたが、その年の8月のタイム誌のある記事のなかに、この文字を見たのが、生命倫理に関わるようになったので、特に感慨深いものがあります。
記事の中に、イギリスで2シリングの記念コインが発行されたとあったので、イギリスの友人にメールで手に入れてくれるように頼んだところです。
なお、この記事の中に、これから100年のうちに、病気が無くなると思うか、というアンケートがありますが、それを見ると、62.3%の人が、無くなると思っているようです。わたしはNO(そうは思わない)の方に投票しましたが。
http://www.time.com/time/covers/1101030217/story.html
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RE:「ウィスコンシン大学チーム、ヒトのES細胞の遺伝子組換えに成功」 |
最相葉月です。
11日に渡辺由佳里さんがアップしてくださった情報への追加情報です。
今回の論文筆頭筆者Thomas P.Zwaka氏はウィスコンシン大学のJames A. Thomsonの研究室の研究者ですが、Thomson氏は1998年11月に世界で初めて人間の受精卵からES細胞を樹立、培養に成功した研究者です。人間のES細胞で遺伝子組換えを行うことは、遺伝子の機能解析研究や細胞レベルでの疾患モデルの再現、また、幹細胞移植医療や遺伝子治療を行うために当初から必須であるとされてきました。
このたび遺伝子のノックアウトに成功したLesch-Nyhan病は核酸代謝酵素が欠損して痛風に似た症状と自傷行為が見られる遺伝病です。マウスではこの病因遺伝子をノックアウトしても人間のような重い症状が見られなかったため、人間の細胞で成功したことは今後の医科学研究に大きな意味をもちます。
ウィスコンシン大学発ニュースリリース
http://www.news.wisc.edu/releases/view.html?id=8243
Zwaka氏のインタビュー記事(ウィスコンシン大学HP)
http://www.news.wisc.edu/view.html?id=8243
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「Nature Biotechnology」の抄録 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
さきほど書き忘れました。
Nature Biotechnologyの抄録です。
http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nbt/journal/vaop/ncurrent/abs/nbt788.html
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「ウィスコンシン大学の研究チーム、ヒトのES細胞の遺伝子組み換えに成功」 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
ウィスコンシン大学のジェィムズ・トンプソン氏と同僚のトーマズ・ズワンカ氏は、2月10日発売の科学専門誌「Nature Biotechnology」で、世界で初めてヒトのES細胞の特定の遺伝子組み換えに成功したことを発表した。
この研究は、約10年前マウスで特定の遺伝子を人為的に破壊して働かなくした(ノックアウト)研究に似ているとのことである。ある実験では、Lesch-Nyhan症候群というまれで致命的な遺伝性疾患の遺伝子をノックアウトすることに成功したとのこと。
この方法であれば、反対の多い「体細胞核移植(俗に呼ばれるクローン技術)」を使用しなくても、多数の人々に免疫拒絶を起こさない臓器開発の希望が生まれるが、ジョンズ・ホプキンズ大学でES細胞の研究に取り組むジョン・ギアハート氏は、いまだにすべてのマウスに適合するES細胞ラインができていないことを指摘し、疾病の治療法の開発にはコントラバーシャルであってもクローン技術は重要であり続けると述べた。
(ワシントン・ポスト)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A49339-2003Feb9.html
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「元大統領夫人ナンシー・レーガン、治療目的のクローン技術への支持を公式表明」 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
ナンシー・レーガンは、 アルツハイマー病に侵されている夫のロナルド・レーガン元大統領の92歳の誕生日に、人を創造する目的でのクローンを禁じて治療用の「体細胞核移植技術」を認可する法案への支持を表明した。
ナンシー・レーガンは、ユタ州選出上院議員ハッチ氏にあてた1月29日付けの手紙の中で「(私の)体験から、私は他の家族たちをこの苦痛から救うためにできるかぎりのことをする決意です」とハッチ氏の法案を支持する意向を述べている。
ブッシュ政権は生殖補助医療と治療目的を含め全般的なクローン技術(体細胞核移植技術)を違法にする強い意志を明らかにしているが、これまで表だった言動を避けてきたナンシー・レーガンの公式な表明は他者のロビー活動にはずみをつけると思われる。
ワシントン・ポスト
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A38403-2003Feb6.html
情報提供者の岸本和世です。
2月3日のイギリスの新聞インデペンデント紙によると、著名な生殖医療医のリーバーマン氏は、提供される精子、卵子、はいが不足していることから、提供者を匿名とする現在の規則を変えて、提供を必要としている女性が自分で提供者を見つけ、双方に必要な費用を受益者が負担するものにしようという提案をしています。
卵子提供者が不足しているのは、健康な卵子を提供可能な女性に対して、クリニックが提供を強要しがちだからではないかという議論が、しばらく前から続けられていたのです。
今まで規制に基づく提供のあり方に強力に反対して来たリーバーマン氏は、自身の提案を「倫理的な卵子の分かち合い」(ethical egg sharing)と名付けています。この方法を採るならば、完全な匿名でも公開でもない、しかも関係者にとっては責任ある対応が求められるということでしょうか。
このLNETでも意見提供が勧められていた、厚生労働省の「生殖補助医療技術の関する報告書」には、精子・卵子・はいの提供は匿名性を保持するとあり、特例として兄弟姉妹などからの提供を認めるか否かで、複数の案が示されていますが、この報告にはいくつもの疑問点が指摘できると思います。
最相葉月です。
2003年2月5日付共同通信の報道です。
1968年に福岡や長崎など西日本一帯で発生した食品公害「カネミ油症」の被害を受けた女性のうち、半数に子宮や卵巣などの生殖器官に障害があり、流産死産も急増していることが「カネミ油症被害者支援センター」のアンケート調査で判明しました。カネミ油症の原因ダイオキシンの影響だとみられています。
国の診断基準はPCBであり、ダイオキシンは含まれていません。全国で14000人が被害を訴えているものも、認定患者は約1900人です。厚生労働省は診断基準にダイオキシンを含めるよう見直しを進めています。
2003年2月5日佐賀新聞データベースより
http://www.saga-s.co.jp/pubt2002/ShinDB/Data/2003/02/06/131_07.html
参考文献
明石昇二郎『黒い赤ちゃん カネミ油症34年の空白』(講談社)
情報サポーターの岸本です。
27日に、英国で精子提供者の名前を明らかにする方向が決まりそうである、と伝えました。その続報です。
担当大臣はその決定をしばらく延期すると言っています。どのような理由かは明らかではありませんが、提供者が減る可能性を心配する向きがあることは確かなようです。
現在の法律では、1990年以降に生まれた子どもは、18歳に達したら情報を請求できることになっていますが、それは提供者を特定できるものではないようです。
この延期の決定に関連して、説明によると、生物学的な父親を明らかにすることに必要性は大きいので、volutary contact register(名前を明かすことを認める提供者が、それを自発的に意思表示できるようにすることか?)の方向を考えているようです。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/2701499.stm
情報サポーターの岸本です。
英国BBCニュースによると、英国では近いうちに、提供された精子で生まれる子どもたち(年に約1100人)のために、提供者の名前を明らかにする方向が決まりそうです。理由としては、子どもにとって自分の実際の父親を知ることができないことから来る心理的な苦痛は、提供者のプライバシーに優先すること、提供の段階ではわからない遺伝的な病気がその子どもに起こった時の心理的なダメージを考慮すること、が挙げられています。
このことが決まると、英国では提供者が減少するだろうと考えられています。既にそのことが決められているスウェデンでは提供者を明らかにすることになってから、カップルがお隣りのデンマーク−この国では匿名を保証している−に行くようになったそうです。
日本では、“パブリック・コメント”で見られるように、専門委員会で壁にぶつかっているようですが、わたしは、英国などの方向は当然なことだと考えています。“現在”より“将来”を大切にすべきだと思うからです。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/2695265.stm
情報サポーターの岸本和世です。
クロネイドによるクローン・ベビー誕生の報告については、この欄でも述べられ、また新聞報道などでも状況を知ることができます。わたし自身はこのグループならやりかねないと、半信半疑ながら思っていましたが、どうも贋物くさく見えて来ました。
今日本屋に寄ったら、響堂新という方の『クローン人間』(新潮選書、¥1,000)という題の本がありました。実に、タイムリーな出版です。手にしたばかりなので、内容を詳細に検討するところまで行きませんが、“本の目利き”を自認しているわたしとしては、お勧めできるものです。
「終章 クローン人間のゆくえ」の最初のところには次のように書かれています。「クローン人間に嫌悪感を覚え、反対する人は多いと思う。私自身もそうだ。しかし、周辺技術をすべて容認したうえでクローン人間だけを禁止する論拠を見出すのはかなり難しい。クローン人間を完全に禁止しようとすれば、周辺技術を含めて規制しなければ実効性がないだろう。これが、わたしの実感だ。ただしこれは、言うのはたやすいが、実行するのは大変難しい。わたしたちが現在手にしている権利(法的なものだけに限らず、利便性や選択権も含む)の一部を放棄しなければならないからだ」と。そして、最後には「時代が変わっても、クローン人間に生理的な嫌悪感を抱く人は大勢いるに違いない。倫理的な抵抗も決してなくなりはしない。それでも、最後の手段としてクローン人間という選択肢を選ぶ人が必ず現れるだろう。クローン人間は決して怪物ではない。楽しければ声を上げて笑うし、悲しければ涙を流す。あなたや私と同じ、ごく普通の人間だ。自ら名乗り出ない限り、見ただけでは絶対にわからない。知らないうちにクローン人間と暮らしていたなどというのは、もはやSFの中だけの話ではない。私たちが生きていくのはそういう時代なのだ」と言っています。
これは、極めて示唆に富む言葉だと思います。今からちょうど50年前に遺伝子の二重らせん構造の発見がなされてからの、生命科学・技術のめくるめくような展開が生み出した、人間の“いのち”への介入は、‘良くも悪くも’わたしたちの日常的な営みに不可分なものとなっています。この本は、そういう状況に生きるわたしたちにしっかりと語りかけてくる内容を持っていると思います。ぜひお読みください。
この点に関連して、米国の大統領生命倫理諮問委員会の委員長であるレオン・キャス氏が、24日付のニューヨーク・タイムズに投書をしています。この人は生命倫理学者ですが、とても保守的な立場を取っており、上記の響堂さんの指摘で言うと、「クローンを規制するのはもちろん、周辺技術を含めて規制すべきだ」という、いわゆる倫理におけるslippery road(滑りやすい坂道)論を主張する人です。この投書は、そういう立場から、クローン・ベビー報道騒動を手掛かりに、ES細胞研究禁止の世論を盛り上げようという論旨です。
http://www.nytimes.com/2003/01/24/opinion/24KASS.html?pagewanted=print&position=top
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日本の中絶問題・生命倫理問題と向かい合う参考書 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
「ロウ対ウェイド訴訟」の情報が提供されていますが、よい機会なので日本の現状を理解できる書物「母体保護法とわたしたち−中絶・多胎減数・不妊手術をめぐる制度と社会」(齋藤有紀子編著 明石書店 2002年9月発行)をご紹介したいと思います。
この書の優れたところは、倫理学者や法学者が現法とその問題をわかりやすく解説しているだけでなく、助産師、産婦人科医、小児科医、生殖補助医療専門の産科医、精神障害者アドボケイト、フェミニスト、精神科医、など異なる立場からの中絶問題と生命倫理問題を知ることができ、広い視野を持てることです。また、当事者として日常的にこの問題と関わっている方が多いので、読みやすくわかりやすいと思いました。
情報サポーターの岸本です。
最相さんがコメントを付けて下さったので十分かと思いますが、ニューヨーク・タイムズから、その判決文を見ることができたので、参考までにつけておきます。
http://caselaw.lp.findlaw.com/scripts/getcase.pl?court=US&vol=410&invol=113&friend=nytimes
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RE:『1月21日は“ Roe v. Wade” 30周年記念の日』 |
LNET主宰の最相葉月です。
情報サポーターの岸本さんからご提供いただいたアメリカの「ロウ対ウェイド訴訟」についての補足です。
これは、1857年以来母体の生命を救済すること以外の中絶を禁じてきたテキサス州法の違憲性を女性のプライバシー権を根拠に問うた裁判で、1973年1月21日、連邦最高裁は7対2の大差でこれを認めました。アメリカで女性の妊娠中絶権の合憲性を正面から問うたものとして歴史的な判決です。これにより中絶は合法化されましたが、中絶反対派と擁護派の激しい対立が始まり、法的、政治的、宗教的、ジェンダーなど様々な分野で複雑な議論を巻き起こし今に至っています。
アメリカ社会において中絶論争とは何であったのかについてさらに詳しくお知りになりたい方には、参考文献として荻野美穂『中絶論争とアメリカ社会』(岩波書店)をお勧めいたします。
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『1月21日は“ Roe v. Wade” 30周年記念の日』 |
情報サポーターの岸本和世です。
1月21日は、米国で Pro-Choice 運動にとって、画期的な判決が出されてから30年目の記念すべき日です。英語のサイトですが、関心のある方のために、URLをお知らせします。
http://www.prochoiceamerica.org/
なお、必要がないと思いますが、わたしがこのグループの立場を採っているからと言うことではなく、この掲示板では、できるかぎり、あくまで「情報提供者」としての役割に止まっていたいと思っています。前回の『「科学と宗教」論争?』でも、そういう形でお知らせしたつもりです。時々、自分でも、その範囲を越えているのかな、と思うことはありますが、その際は、お見逃しください。念の為に。
情報サポーターの岸本和世です。
クロネイドが、クローンベビー誕生という、現在のところ確認できない情報を名がし続けています。日本でも、ということまで発表していますが、そのことに触発されて、英国ではカトリックのグラスゴーのコンティ大司教が、“いのち”へのこうした深刻な問題状況をもたらしたのは、1978年にIVF技術によって世界最初の体外受精児ルイーズの誕生を認めたことに始まる、として政府を批判しました。
これに対して、生殖医療の権威のひとりであるロバート・ウインストン卿が、そのような批判は科学に対する誤った理解をもたらすとして、反論をしています。科学の新たな展開は、人々に“真実な世界”(real world)への理解をもたらすものであって、大司教はその倫理的な判断を変えてもらわねばならない、と言うのです。
コンティ大司教は、科学の学会として世界でも古い歴史を持つ Royal Society of Edinburgh の Fellow という、非常な影響力を持つ人であるだけに、この論争は注目するに値すると言えるでしょう。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/scotland/2673523.stm
LNET主宰の最相葉月です。
オランダ在住のサポーターからの情報をお知らせします。
先日、オランダで2例目のクローン児が誕生したという未確認報道があったため、オランダのtelegraaf、Archief、NRC HANDELSBLAD3紙のクローン関連記事とCNNニュース、そして日本の関連記事を突き合わましたところ、どのオランダの新聞でも、クローンエイドのクローン児誕生の記事の内容は通信社電と同じ内容で、「疑わしい」と懐疑的でした。
オランダで2例目が誕生したらしいという記事は、第1例のクローン児が検証作業もできないことの記事の中での取り扱いで(1月8日付)、両親や病院を特定するなど独自取材で集めた事実は現在までのところありません。
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ニュージャージー州、研究目的のES細胞の樹立を認める方向 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
ニュージャージー州の州議会はES細胞研究を公式に認可する予定である。これは主として象徴にすぎないが、連邦資金の制限に対する力強い声明になると思われる。(ブッシュ大統領は、クリントン前大統領の方針を撤回し、既存のES細胞のみに対して連邦資金を支給する方針を発表した。受精卵より新たにES細胞を樹立する研究へは連邦資金が支給されない)
ニュージャージー州の法律はカリフォルニア州に続くもので、IVF(体外受精)を行うカップルの同意のうえで研究目的での受精卵の寄付を認めるものである。また、医療目的でのクローニングも認める。
州の上院はこの法案を25対0で可決し、じきに州の下院(立法議会)にかけられる予定であが、マッグリーベイ知事の支持も得ており、問題なく可決されると見られている。
ニュージャージー州は製薬会社が多いことで有名であるが、連邦資金が支給されないことと、既存のES細胞株しか入手できないために、多くの企業や研究者が新しいES細胞の樹立を認めているイギリスやイスラエルに移動している。11月の州議会の衛生委員会には俳優のクリストファー・リーブ氏がアドボケイトとして発言した。
(ニューヨーク・タイムズ)
http://www.nytimes.com/2003/01/11/health/11STEM.html?tntemail0
LNET主宰の最相葉月です。
最近のクローンベビー報道に関係し、宗教と科学に関するご質問が「質問の小部屋」に多く寄せられています。クローン技術の人間への応用やES細胞については「質問の小部屋」の回答の中にいくつかご参考になるものがあると思われますので、ぜひそちらをお読みになってから質問してください。また、ラエリアン・ムーブメントなど宗教と科学の関係については、島薗進先生のコラムや「質問の小部屋」Q3で島薗進先生がわかりやすい解説を寄せてくださっています。こちらもぜひご参照ください。
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マイケル・ギレン博士、クローン人間誕生への疑念を表明 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
クロネイド社からクローン人間誕生を証明する役割を引き受けていたフリーランスのジャーナリスト、マイケル・ギレン博士は、現時点までクローンベビーとその家族に接触できず従って証明もできないていないことと、クロネイド社の声明がラエリアン・ムーブメントの宣伝目的のでっちあげの可能性があることを、本日6日書面にて発表した。ギレン博士は、状況が変化すれば必要なDNA検査を行うことは可能だと述べている。(CNN)
http://www.cnn.com/2003/HEALTH/01/06/cloning.scientist/index.html
情報サポーターの渡辺由佳里です。
クロネイド社のブリジット・ブアセリエ博士は、昨日フランスのテレビ番組のインタビューで、「イブ」の両親が躊躇しているためにクローン人間証明のための血液検査が行われていないことを明らかにした。
ブアセリエ博士によると、両親の心変わりは、マイアミの弁護士バーナード・F・シーゲル氏がフロリダの裁判所に対して新生児の健康に危険がある場合親から州への引き渡しを求める申し立てをしているからである。ブアセリエ博士は、親と新生児の居場所を明らかにはしていないが、インタビューが行われたのがフロリダ州ハリウッドであったためにフロリダ州に司法権がある可能性がある。
マイケル・ギレン(前述ギランを訂正)博士は、この件に関してインタビューに応じていない。
ニューヨーク・タイムズ
http://www.nytimes.com/2003/01/03/science/03CND_CLON.html?tntemail1
情報サポーターの岸本和世です。今年もよろしく。
クローン・ベビーに関していろいろなニュースが入っていますが、その追跡は“同僚”の渡辺由佳里さんにお任せするとして、今朝入手したものが今のところの状況をカバーしていると思いますので、そのURLだけを入れておきます。
http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/print_report.cfm?DR_ID=15277&dr_cat=2
情報サポーターの渡辺由佳里です。
クロネイド社のブリジット・ボアセリエ博士は、記者会見でクローン人間誕生を証明する客観的証拠は何ひとつ提供せず、代わりに、クローンを証明するDNAテストを遂行する者として元アメリカABCニュースの科学部編集者マイケル・ギラン博士を紹介した。
マイケル・ギラン博士は、コーネル大学で物理学、数学、天文学の博士号を取得し、ハーバード大学大学院で物理学を教えた経験があり、ABCネットワークに就職してから今年10月に退職するまでの14年間科学ジャーナリストとして活躍した。しかし、ギラン博士のABCでの業績に占星学、EAPといった疑似科学への傾倒がみられるため、レポーターとしての資質に疑念を抱くものもいる。超常現象などの疑似科学を科学的な根拠から批判する非営利団体のジェイムズ・ランディ基金のランディ氏とメリランド大学物理学教授ロバート・パーク博士は、ギラン博士がクロネイド社の話を安易に受け容れる素因があると非難している。
ギラン博士は、ジャーナリストとして過去5年にわたりクロネイド社を取材しており、今回ボアセリエ博士からの依頼に「2つの条件付きで承諾した」と答えている。2つの条件とは、「付帯条件がまったくないこと」と「世界のトップレベルの、独立した専門家の集団がテストをすること」である。しかし、ギラン博士は専門家とテストを行う機関は公表しなかった。
(ニューヨーク・タイムズ) http://www.nytimes.com/2002/12/30/national/30REPO.html
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アメリカ食品薬品局は、クローン人間誕生の報道に対し29日に発表を行った。
食品薬品局は昨年ウエスト・バージニアにあるクロネイド社の研究所を視察し、人間のクローニングの実験をアメリカ合衆国内で試みないという契約書に署名させている。状況によっては民法と刑法による処罰の対象となる可能性もある。
以前アメリカの下院を通過した人間のクローニングの禁制は、医療目的のクローン技術も禁じるべきだとする上院議員の反対にあい採決されなかった。多数党(現在は共和党)の院内総務ビル・フリストはクローン技術の全般的な禁止を支持している。
(ニューヨーク・タイムズ)
http://www.nytimes.com/2002/12/30/national/30CLON.html
情報サポーターの渡辺由佳里です。
クロネイド社は、昨日(12/26)木曜日に人類初のクローン人間が誕生したことを本日(12/27)フロリダで公式発表する予定である。DNAのドナーは30歳のアメリカ人女性とのことだが、出産の場所は不明。また、独立機関にドナーと新生児のDNAが一致することを確認させるとのことだが、現時点ではクローンの事実を確認する客観的なデータはない。
シカゴを本拠とするCenter for Bioethics and Human Dignity(生命倫理と人間の尊厳センター)は、哺乳類のクローニングが危険である事実にもかかわらず人類のクローニングに取り組んでいる科学者たちが非倫理的であると非難し、アメリカのみならず全世界的で速やかにクローニングを禁制するべきだと語った。
New York Times(ロイター配信)
http://www.nytimes.com/reuters/news/news-health-cloning-baby.html
情報サポーターの渡辺由佳里です。
米俳優のクリストファー・リーブが、落馬事故から7年後になって手や足の指先を少し動かせるようになり、感覚も少し回復したニュースは今年9月に発表されましたが、(http://www.sankei.co.jp/mov/db/09_2002/reeve.html)
本日のボストン・グローブに脊髄損傷治療法の研究状況が記載されていましたので報告します。
http://www.boston.com/dailyglobe2/352/nation/Spinal_cord_researchers_seeing_progress_on_paralysis+.shtml
脊髄損傷の治療法として進んでいる研究のいくつかは、事故直後に細胞の破壊が進むのをくいとめる療法、神経の再生に焦点を当てているもの、中枢神経系の細胞を移植して移植細胞を架橋材(Cellular bridge)にする治療法などである。
今年の夏、エール大学のDr. Stephen Strittmatterは、神経細胞の再生を妨げるタンパク質「Nogo」の受容体をブロックすることに成功した。Dr. Strittmatterは、「ひとつの治療法だけではなく複数の療法を組み合わせたほうが効果的だ」と述べている。彼は Nogo-Aを発見したチューリッヒ大学の研究グループ(http://www.christopherreeve.org/rconsortium/rconsortium.cfm?ID=189&c=41)のDr. Martin SchwabとともにBiogen社(http://www.biogen.com/site/content/index.asp)と共同でNogoブロッカーの開発に向けて協力している。
傷ついたミエリン鞘の再生にES細胞を利用する研究も進んでいるが、再生を助ける薬剤「Fampridine(Acordaから創られている)」は既に臨床治験されており、対象の何人かは感覚、排尿コントロール、性機能のいくらかを回復している。「Fampridine」が販売されるのは早くて2005年とのことである。
現在、大量の資金が脊髄損傷の研究に注ぎ込まれている。このような状況で、脊髄損傷患者からの「いつ歩けるようになるのか?」という質問は避けられない。National Institute of Neurological Disorders and Stroke のDr. Naomi Kleitmanは、神経の再生が我々の望む結果ではなく止められない痛みなどの悪い結果をもたらす可能性を警告し、「妨害者にはなりたくないが、無責任なフランケンシュタイン博士にもなりたくない」と研究において正しいバランスを取ることの重要性を語っている。
情報サポーターの岸本和世です。
米国国立健康統計センターの発表によると、初産平均年齢を1970年と2000年で比較すると、1970年に21.4歳だったのが、2000年には24.9歳と、3.5ポイント上がった。これにはさまざまな要因が挙げられるが、女性の就労数が30年間で40%上昇していることに顕著に見られよう。地域的な差も顕著で、南部の諸州では22歳、東部では27歳である。人種別でも差があるが、一番高いのが日系人で30歳(ちなみに日本では28歳と出ている)。
http://www.cdc.gov/nchs/data/nvsr/nvsr51/nvsr51_01.pdf
情報サポーターの岸本です。
英国日刊紙『テレグラフ』12月11日号は、「政府機関は、体外受精(IVF)による双子やそれ以上の出産が、未熟児であったり、出産時に母子にもたらされる危険が大きいことから、一度の治療で母体に戻す受精卵の数を、今まで以上に規制する方向で検討している」と報じています。英国では、医療費は国が負担するので、特別こうした事柄に対して厳しいとも言えますが、それだけではないでしょう。
よく知られているように、IVFはその女性にとって、排卵誘発剤の使用や卵の採取などによる身体への負担や高額の費用を避けるため、また成功率の点などから、一度に複数の受精卵を戻すことが普通のこととされていますが、それがもたらす複数の子どもの出産による危険が、ひとりの子どもを産む場合に比べて、各段に多いのです。これは英国での統計ですが、2,000年でみると、24,000回のIVF出産のうち、双子が1,600組、三つ子が109組で、双子以上の場合は1,000人に59.6人が未熟児で生まれたり(この場合には、さまざまな障がいを持っている可能性が高い)早期に死亡したりしているのですが、一人の場合は1,000人に9.9人です。
日本での(外国の場合は不明)問題は、こうした多胎妊娠の場合には、「減数手術」という道を選択する例があること(根津医師は、2,000年までに400件を実施!)は、よく知られた事実です。
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「インフォームド・コンセントに“生命についての規定”は必要か」 |
サポーターの岸本和世です。
12月9日の『アメリカン・メディカル・ニュース』に、次のような記事がありました。
「いつ生命は始まるのか」という、長年合意に至っていない問いが、ニュー・ジャージー州の裁判で問われている。米国30の州では中絶についての(あるいは、中絶への)インフォームド・コンセントが禁じられている(と読めるのですが、あるいは中絶禁止かもしれません)けれども、NJ州ではそれがない。
1996年4月6日、29歳で二人の子どもの母親であるローザ・アクナさんが腹痛を訴えて、婦人科の医師の所へ行った。その結果、彼女は妊娠と診断された。医師と相談した上で、二日後彼女は中絶を医師に告げたという。
数年後に、彼女は医師を訴えた。理由は、医師が彼女に、胎児は間違いなく“生きている人間”であるのに、そのことを告げなかったから、というのである。彼女が“赤ん坊がおなかにいるのか”と訊いたのに対して、医師は“それは単なる血液に過ぎない”と言ったという。
医師は、“彼女が質問したかどうかは定かではないが、もし訊かれたら、妊娠7週目では、生きた人間ではない”と答えたであろう、という点は認めている。
彼女と弁護士は、中絶とは生きた人間の命を絶つことである、と説明すべき義務が医師にはある、と言っている。医師の側では、“彼女が(中絶によって)妊娠は終わることを理解していた”と主張している」という。
他の州との比較、その他については省略しますが、わたしたちの国では、“中絶”前にインフォームド・コンセントはなされるのでしょうか。その場合には、どのような説明がなされるのでしょうか。
そしてまた、「中絶は女性の決定権に属する」「胎児は人間であって、中絶は許されない」という主張の攻めぎ合いの中で、医師たちはどのような(インフォームド・コンセントを得るための)説明をするのでしょうか。
情報サポーターの渡辺由佳里です。
最相葉月さんが資料庫の「再生医療」の中で何度か紹介されている米ベンチャー企業アドバンスト・セル・テクノロジー社(マサチューセッツ州、ウースター)が、12月5日にES細胞を使った医療技術開発の最新情報を発表しました。
ACT社のロバート・ランザ氏は、Eメールでのインタビューに「我々は治療的なクローン技術を用いて年老いた牛に新しい免疫細胞を与えた」と答えた。
人間なら70歳に相当する老いた牛のES細胞から創られた免疫細胞は、注入後170日後も牛の血管内で増殖しているとのことである。
この技術を人間に応用できれば、癌や免疫不全疾患の治療だけではなく、多発性硬化症などの自己免疫疾患に対して免疫システムをリブートし直すことができる。
(ボストングローブ)
http://www.boston.com/dailyglobe2/340/nation/Creation_of_cloned_stem_cells_in_cattle_called_promising+.shtml
ACT社は定期的にこのような記者発表を行っています。
クローン胚、ES細胞という倫理的に問題の多い同社の研究開発に対して、国民の同情と理解を求め、ひいては政府が研究と治療目的のクローン技術とES細胞使用を禁止するのを牽制するPRという見方もあるようです。(渡辺)
情報サポーターの渡辺由佳里です。
人間のクローニングへの積極的な意志を公言しているのは、現在3つのグループです。
ふたつはすでに情報掲示板に名前があげられているセベリノ・アンティノリ医師と宗教団体ラエリアンムーブメントが設立したクロネイド社ですが、もうひとり、アンティノリ医師と親密な協力関係にありながら決別したケンタッキー州の生殖補助医療専門医のパノス・ザボス医師も、2003年1月上旬に7組の不妊カップルでクローンベビーの妊娠を計画していることを発表しました。
(1)今回のザボス医師の発表内容(サンデー・ヘラルド)
・アンティノリ医師が1月に誕生すると予告したクローンベビーについて、ザボス医師は、証拠を公表していないことから信ぴょう性がないと非難した。彼のグループは、妊娠初期から胎児のDNAサンプルを採取し、ひとりの人間の完璧なクローンであることを証明してみせる、と約束した。
・すでに男女をまじえた7人から体細胞を採取し、(中近東と推察される)秘密の場所で液体窒素で保存されている。
・クローンに使われる卵は、移植が施行される場所周辺(発達途上国)に住むドナーから提供され、ドナーは成功率を高めるために若い女性が選ばれている。
・7人の対象につき、それぞれ40の卵に体細胞核移植が行われ、そのうち10の成功を期待している。そして、核移植に成功した胚のうちもっとも健康なものを選び子宮腔内に移植させる予定。
http://www.sundayherald.com/29681
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(2)宗教団体ラエリアンムーブメントについて
・現在妊娠を継続しているのは5人だが、元々クローン胚を着床させたのは10人である。
・12月中、もしかするとクリスマス前に出産予定の女児が誕生したのちには、独立した機関に母と子の遺伝子が一致するかどうか調査させる、と約束した。
(デイリー・テレグラフ)
http://www.dailytelegraph.news.com.au/common/story_page/0,5936,5590631%255E703,00.html
・約5万人いる信者のうちから代理母50人の調達が可能である。そのうちのひとりはクロネイド社のブリジッド・ブアセリエ博士の22才(2001年当時)の娘マリア・ココリオスである。
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=%2Fnews%2F2001%2F01%2F03%2Fwclon03.xml
(記事を読むためには登録が必要。登録無料)
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クローンベビーの発表をとりまく噂と推察 その2 |
最相葉月です。
情報サポーターの渡辺由佳里さんの書き込みに引き続き、2002/11/28韓国の東亜日報に掲載されたクローンベビー誕生に関する記事の概要をお知らせします。
記事によりますと、イタリアの人工受精専門医のセベリノ・アンティノリ医師の発表の翌日に、宗教団体ラエリアンムーブメントが設立したクロネイド社のブリジッド・ブアセリエ博士は「米国人2人、アジア人2人、ヨーロッパ人1人の合わせて5人の女性がクローン人間を妊娠しており、このうち米国人が最初に女の赤ちゃんを出産する」と述べたとのことです。クロネイド社は2002年7月に3人の韓国人女性がクローン人間プロジェクトに参加したと発表しましたが、今回の妊娠に韓国人が含まれているかは明らかにされていません。なお、ドリーの生みの親であるイアン・ウィルマット博士は、なんら科学的根拠のないこととして、情報の真偽に疑問を呈しています。
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=060000&biid=2002112920548
情報サポーターの渡辺由佳里です。
前回の補足です。
11月27日のイタリア人医師セヴェリノ・アンティノリ(Dr. Severino Antinori)氏の発表後、報道、科学雑誌のサイトで状況を調べましたが、どれも噂や推察の粋を出ないようです。
それらの記事の中から、いくつかの重要と思われる情報を箇条書きします。
・発表時点、クローンベビーを妊娠しているのは3人。一番妊娠期間の長い女性が妊娠33週で、一月上旬に出産予定。超音波診断による推定体重は2.5 から 2.7 kg. で完全に健康体の男児。(CBS)
・4月のアンティノリ医師の最初の発表では、3人の女性は妊娠9週、7週、6週だったので、それが事実だったとすると、現在妊娠9週だった女性はすでに出産寸前になっている筈である。その妊娠がどのような結果に終わったのか、アンティノリ医師は明らかにしていない。 (CBS)
・4月にイタリアの新聞「Il Tempo」は、 これらの胎児は、アラビア人富豪の体細胞から(体細胞核移植)であり、ひとりの妊婦はアラブのある国に住み、あとのふたりの女性は旧ソビエト人であると書いている。(The Courier Mail)
・「Gulf News」のジャーナリストKavitha Danielは、アラブ首長国連合で行われたカンファレンスの後でアンティノリ医師に取材し、「クローニングのプログラムが中国とロシアで行われている」と聞き出している。人間のクローニングは、英国、米国を始め多くの国で違法である。従って、アンティノリ医師のプログラムは、そのような法が規定されていない国で行われると考えられている。(The Nature.com)
・11月の発表時点で、以前(クローンベビーの技術開発とガイドライン設置に関して)連携を取っていたアメリカ人生殖補助医療専門家ザボス医師(Panos Zavos)とは現在ほとんど連絡を取っていないと話している。 (The Courier Mail)
・11月の発表では、アンティノリ医師は、妊婦の国籍と住んでいる国については黙秘している。また、妊娠に至る過程への直接の関与を否定し、ただ「科学的、文化的な貢献」をしただけ、とだけコメントしている。(BBC)
・体細胞の提供者と妊娠している女性の関係(夫婦なのか、複数の卵子ドナーと代理母なのか)についての情報は不明(渡辺)
http://www.nature.com/nsu/020408/020408-2.html
http://www.lifesite.net/ldn/2002/nov/02112708.html
http://www.couriermail.news.com.au/common/story_page/0,5936,5573238%255E954,00.html
http://www.cbsnews.com/stories/2002/11/27/earlyshow/health/health_news/main531023.shtml
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イタリア人医師、人類初クローンベビーの出産予定発表 |
情報サポーターの渡辺由佳里です。
本日のボストンのローカルニュースWHDH-TVで、イタリア人医師セヴェリノ・アンティノリ(Dr. Severino Antinori)氏が人類初のクローンベビーが1月に出産予定であることを発表しました。
http://www.whdh.com/features/articles/healthcast/H1216/
アンティノリ医師によると胎児は健康とのことだが、生殖補助医療専門家のスージー・レザー氏はそれに対して「(クローンには)、倫理の問題はもちろん、重大な安全性の問題がある。たとえ分娩まで無事に漕ぎつけても(安全の問題はそこまでだけではない)。羊のドリーは、premature aging(年齢よりも老化が激しいこと)を示している。こういうことを知りながら基本的には人を使った(動物)実験に参加することを承諾した女性の動機を想像するのは困難だ」といった意味のコメントをしている。
アンティノリ医師は、過去に60歳の女性を妊娠させたことでも有名。
今のところ簡単なニュースですが、また詳しいことが判明しましたら、お知らせします。
情報サポーターの岸本和世です。
11月25日のBBCニュースには、イギリスの二人の大学生が、米国・カリフォルニアの Egg Donation Inc に、6000−8000ドルで売ったと報じています。これは米国ではだいぶん前から行われているもので、日本人も利用しているし、日本にも斡旋する組織があることは、NHKのプログラムなどで知られていますが、英国では禁止されている行為です。
このニュースで注意を惹いたことは、そこにつけられていた投書のほとんどが、賛成意見であること、高額な学資をまかなうことが、その行為を正当化するというような意見です。その一つは「英国政府が鉄道で巨大な利益を得ているのに、自分の出産能力(卵子)を売ることで収入(利益と言っていますが)を得るのが、どうしていけないのか」というものです。他の学生は、卒業時には100万円以上の借金ができるので、とも言っています。他方で(これは新聞でも報じていたと、記憶していますが?)、米国では、6年前に50歳のジュディという女性が体外受精技術で、25歳のひとから提供された卵子を夫の精子で受精・着床させ、妊娠に成功し、今その女児は6歳で元気に育っているという、Connection というサイトの番組(ボストン大学のもの)でのディスカッションを流していました。なぜその年齢で?危険はないのか?親子の年齢の開きが大きいことは、問題がないのか?養子縁組は考えなかったのか?等々…。もちろん、卵子売買も言及されています。
“受精卵は……?”以外にも、論議の必要なテーマがありますね。
新米サポーターの渡辺由佳里です。
ボストングローブ紙11/12/2002のヘルス・サイエンス欄の記事(By Carey Goldberg, Globe Staff, )です。
http://www.boston.com/dailyglobe2/316/science/Studies_offer_hope_on_spinal_injuries+.shtml
先週フロリダで神経科学学会の総会が開催された。
この世界最大級の神経科学カンファレンスで、脊髄損傷のラットにヒトの細胞を移植することによりある程度の歩行能力を回復したという発表があった。これまで不可能とみなされていた脊髄損傷の治癒に希望を与える実験結果である。
ひとつは、カリフォルニア大学アーヴァインのDr. Hans Kierstead(ハンス・キールステッド医師)他のチームの研究結果である。他の脳細胞と異なり、成人になっても再生可能な特徴を持つヒトのolfactory ensheathing cells(鼻の内部にある細胞)をラットの脊髄損傷部に移植した。
もうひとつは、ボストンのチルドレンズ・ホスピタルのDr. Evan Snyder(エバン・スナイダー医師)たちのチーム。ヒトの胎芽の幹細胞をラットの脊髄損傷部に移植し、こちらもある程度の歩行能力の回復を示した。その原因のひとつは移植した幹細胞が運動ニューロンに変異したからである。
(筆者注:運動ニューロンとは、中枢神経系を離れて効果器(筋または腺)組織との機能的結合をつくる神経細胞)
両医師ともに、この研究が人間の脊髄損傷の治療に応用されるまでには何年もかかるであろうと答えている。
(記事の内容はここまで)
特にボストンチームの成果は、脊髄損傷やパーキンソンなどの治療に受精卵由来の幹細胞を使用することへの理解を求めている俳優のクリストファー・リーブやマイケル・J・フォックスなどにとっては朗報であろうと思われます。
the Society for Neuroscience(神経科学学会)の2002年度総会の抄録などは下記で検索できます。
http://sfn.scholarone.com/itin2002/index.html
10日に書き込んだこの情報は、キンスリー教授へのインタビューに基づくものでしたし、表面的な取り上げかたをしてしまったように思います。そこで、この発表の元になる資料を直接教授に求めたところ、前の週に神経学会で発表したばかりで、それを今纏めている所だがと言って、長文の説明を送ってくれました。それを短く纏めるのは素人のわたしにはちょっと難しいと思いますが、わたしなりにやって見ます。
これは、ラットの母親が出産後に育児に向けるさまざまな行動を、交尾未経験のラットと比較した研究です。出産経験のあるラットでは脳神経などに発達が見られること、同時に、生まれた子どもの行動も母親の行動に影響を与えるので、母親の記憶と学習が改善・促進され、また不安やストレスへの反応に関わるニューロン(神経単位=細胞)や行動の指数が大幅に減少することなどが挙げられています。母−子の相互作用以上のものがあるというのです。
母親が子どもの育児にかけている時間が長いと、NG(新しいニューロンの生産)も活発になるようです。母親となると、ニューロンが出産を経験することで発達すると言っているわけです。出産後のさまざまな生活経験の困難や薬物などは、NGの発達を妨げるのです。また、交尾未経験のラットと比較すると、母親は敵の匂いをかぎつけると、その悪臭をカバーする積極的な戦略を使うけれども、前者にはそういう行動はない、などの違いがあるとも指摘しています。もっと具体的で対象群の比較に基づく詳しい説明がなされていますが、この程度でも納得していただけるのではないかと思いますが…。
こうした出産経験に関連する影響・結果は、長期間あるいは永続的なものなので、そのことから、前回紹介した「痴呆にかかり難い」説が述べられたのです。もちろん、この知見は多くの要因の絡み合いとして捉えられているので、その一部分だけを過度の強調することはできないけれども、結論的には、出産経験は今まで考えられていた以上に、長期間にわたって脳と行動の大きな改変をもたらすということです。
そこで、わたしが前に書いた疑問についてですが、「興味のある、いい質問!」と言って、交尾未経験のメスも幼児に接触すると出産経験者と同じ変化がある程度見られるので、男性の場合にも(そして養子縁組の親にもでしょうね)、同じことが言えるでしょう。「あなたの脳も、同じようによりフレッシュで強くなるよ」と(この老人を)“励まして”くれました。
また、幼児虐待に関しては、「現在、女性の脳の新しいニューロンが生み出すものの研究に取り組んでいる。そのことのある側面が、母性行動の異同の基礎になっていると考えている。ある女性がより良い母親であるのは、妊娠におけるホルモン(複数)が脳に応答する仕方によるだろう。fosBと呼ばれる遺伝子が母性行動の現れを制御している。多分、虐待する傾向の女性はこの遺伝子の働きが少ないと思われる」とのことでした。
キンスリー博士は、いろいろな人と情報や意見の交換をすることが好きなので、と言っておられます。彼はリッチモンド大学の心理学部門の長をしている神経科学の教授です。昨日の朝から、わたしの2通のメールに即座に回答してくれ、それも長文のものを打ち込んでくださいました。感謝して、付記します。岸本和世
また、岸本です。9日付の英国BBC NEWS は、“より多くの子どもを産んだ女性は痴呆などが起こりにくい”と報じています。これは米国バージニア州のリッチモンド大学のキンスリー教授の研究発表ですが、数年にわたるラットによる研究の結果であるけれども、その結論は同じ哺乳類であるヒトにも適用できるはずだと言います。
発表の詳細をここで伝えることは専門家でないわたしはいたしませんが、アルツハイマーを引き起こすとされるアミロイド前駆物質と呼ばれるたんぱく質が、複数回の妊娠をしたラットの場合には低い数値であることをつきとめたということです。
教授はその結果にコメントを付けて、「自然(Nature)は、母親に子孫を長期間にわたって養育するための後押しを提供しているようだ」と言っていますが、英国のある学者は、ヒトの母親の場合については、さらに長期間の研究が必要だが、その研究は今のところ限られた少数のものでしかない、と言っています。
男性であるわたしは、このニュースを読みながら、男性の場合はどうなのかな、と考えてしまいました。女性の場合に対応する、それなりのたんぱく質が別にあるのでしょうか?もう一つの疑問は、子どもを産んでも虐待するような連中の場合はどういうことなのでしょうか?「“自然(Nature)”か“養育・教育(Nurture)”か」論争をここでもしなければならないのでしょうか?不妊のために養子をむかえるという場合ではどうなのでしょうか?
今日、科学者の新しい研究の発表が、毎日ラッシュ・アワーのように引きも切らずなされていますが、聞く側がそれに対する慎重な評価や疑問点などを出し考えていかないといけないのではないかと思っています。生命倫理とは学問である前に、こうしたわたしたちの日常的な営みそのものであることを忘れないようにしたいものです。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/2419965.stm
岸本です。一昨日紹介した“映像”はいかがでしたか?メカに弱いので、機器によってはご覧になるのに不都合があったようですが、そういう連絡のお陰でわたしは何度も開いて見ていて、そのたびにいのちの素晴らしさに感嘆していました。全米の報道機関から絶賛されています。ただし、名誉のために触れておきますが、1992年に小学館から出版された『レナルト・ニルソンの世界 誕生の神秘』は、紹介した映像に基づく本(『From Conception To Birth』, これはAMAZON Japanから入手できます。5600円ほど)より12年前に作成されたものですが、同じような美しい映像をみごとにプリントした本です。図書館にはあると思います。
さて、11月6日付のシカゴ・トリビューン紙は「リップスティク・チューブ。チャンキー・ビーズ・ネックレス。パンティ・ライナー(カタカナでごめんなさい。引退老人男性のわたしは、日本語でどう言うものか分からないのです)。ジャスミンの香りのロウソク。スポーティなデジタル時計。典型的なチャキチャキの若い女性のお部屋のありふれた小物? 違うってば。…」に始まる長文の記事を載せています。
さてさて、ここに並べられたものは、排卵をチェックする新商品なのだそうです。ご存知のように、排卵チェックはおもに避妊のために基礎体温の記録などの煩瑣で日常的に継続する努力も必要なわけですが、これらの新製品は避妊(contraception)ではなく“迎妊”(proception、これは訳語も辞書にない新造語。特許を取ろうかな?)のためのものです。しかも、とても手軽で便利だという宣伝文句。
こういう製品ができた背景には、女性もフルタイムの仕事を持って生活が多忙になり、子どもを産むのを遅らせる道を選ぶ傾向がある一方で、妊娠適齢期の限界が35歳からではなく20歳後半からだという、英国の医療専門誌での報告や現今の有職女性が子どもを持つことについて取り上げた書籍や雑誌の記事などが火をつけたようです。多忙な生活の中で、手軽にしかも当面の妊娠可能な時を知りたいという要望に応えることができるようになった、というわけです。この記事には、それぞれの製品に関する情報が入手できるようなURLが記されていますが、そのうちの一つだけ(挙げられているものの中で、いちばん安価なもの) www.cyclebeads.com.
実は、わたしがこの記事を紹介したのは、こうした製品を推奨したいからという意味ではありません。そうではなくて、こうした新しい製品が若年層の性のあり方に関連する倫理的な諸問題を誘発する可能性が予測されるからです。コンドームに関してもそれが言えるので、いまさらということなのかもしれませんが、そのことに関わる性倫理についてどれだけの論議が交わされて来ているでしょうか。わたしは生命倫理に関わっている者として、こうした事柄について雑駁な意味での良し悪しを述べるのではなく、人間の生活の根本に関わる性倫理についてのきちんとした論議の必要性を訴えたいのです。目先のじぶんのや事情や利害に囚われてしまわないで、時と場についての広い視座の中で、「いのちにとってあるべき生き方」を多くの人と模索したいと思っています。
科学技術が日進月歩で産出する有用なものが、破壊的な力をも有しているのです。生活の中での手軽さや便利さが、わたしたちの生活様式を劇的に変えて行くだけでなく、自然を含むあらゆる状況を壊滅的にして行く役割すら秘めているのですから。
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ゲノム医科学:研究から診療へ、その問題点を考える |
丹生谷です。関西の方へ。
◆ 開催日時: 平成14年 11月29日(金) 13:00−16:50
◆ 開催場所: 新大阪イベントホール 「レルミエール」
〒532-0011 大阪市淀川区西中島5-5-15
住友生命新大阪ビル
(JR新大阪駅より 徒歩4分)
◆プログラムの概略
13:00-13:10 開会挨拶 三輪史朗
13:10-13:50 基調講演 松田一郎
13:50-14:15 高血圧 三木哲郎(愛媛大学)
「研究面から:高血圧症の解析と倫理的諸問題」
14:15-14:40 糖尿病 岩崎直子(東京女子医科大学)
「研究面から:糖尿病の解析」
14:40-15:05 遺伝子診療 小杉眞司(京都大学)
「遺伝子診療の立場からの倫理的諸問題」
15:05-15:30 生命倫理 玉井真理子(信州大学)
「信州大学遺伝子診療部における患者および家族への心のケア」
15:30-15:40 休憩
15:40-16:40 パネルディスカッション
司会:福嶋義光、新川詔夫
16:40-16:50 閉会挨拶 菅野純夫
※本シンポジウムの対象は一般市民、特に大学生・高校生などです。
参加費は無料です。(要・参加申し込み)
尚、第一回の本シンポジウムは今春に東京で開催され、今回は同じテーマで以上の要領で大阪市で開催するものです。
●参加申し込み方法:@参加者氏名 A郵便番号・住所(勤務先/自宅明記) B電
話番号 C職業をご記入のうえ、E-mail かFAX、ハガキにて事務局までお申し込み下
さい。先着順に参加申し込みを受け付けます。(定員になりましたら締め切らせていただきます。お早めにお申し込み下さい。)
●申し込み及びシンポジウム問い合わせ先
「ゲノム医科学:研究から診療へ、その問題点を考える」事務局
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋4-6-5 NKS飯田橋ビル4F
(株)クバプロ内
TEL:03-3238-1689 FAX:03-3238-1837
http://tokutei.genome.ad.jp/
当サイト見習いのフジモトです。
岸本さんにご紹介いただいたサイトですが、お使いのブラウザにフラッシュ・プラグインが適切にインストールされていないと見られない可能性があります。見られない場合は、最新版のブラウザをダウンロードして試してみてください。
先ほど紹介したサイトをもう一度開いてみました。“受精卵は人か否か”という難問と取り組むこととは別に、あらためて、一つのいのちの誕生に到るまでの神秘に感動させられました。子どもたちと一緒にご覧になることや、学校などの授業で教材としても用いることをお勧めします。岸本和世
11月11日号の米国誌「TIME」が、『妊娠から誕生まで』という本の紹介をしていますが、その内容の映像を下記のURLをクリックすれば見ることができます。(英語に弱い方も、下の文字を-辞書で確認した上で-クリックしながら試みてください)。わたしのような高速のものでないPCであっても、少し待てばいいのですから、映像が出てくるまでちょっとだけ我慢していてくだされば、きれいな映像が見られます。岸本和世
http://www.anatomicaltravel.com/Conception_to_birth2.htm
最相葉月です。人体実験に関する以下のワークショップのお知らせをいただきましたので転載いたします。
皆様
「科学技術社会論研究会」では、来る2002年12月7日(土)に、以下のワークショップを行います。ご関心をお持ちの方にご案内いたします。
準備の都合上、参加の方はお手数でも、事前に下記事務局までその旨ご連絡願います。会の1週間前には、発表梗概などの資料をお送りします。また、終了後、同会場で簡単な懇親会(会費約1000円)があります。
研究交流を深められたらと思います。参加の方はこの点も1週間前までにお知らせください。
この案内は、転送自由ですので、ご関心の向きにお知らせください。
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第31回「科学技術社会論研究会」
ワークショップ「人体実験の政治学」
2002年12月7日(土) 9:45-17:30
東京大学先端科学技術研究センター13号館 215号室
1.ワークショップの目的
このワークショップでは、かつて歴史的に存在した人体実験の具体事例をいくつか正確に回顧することを通して、そこに錯綜した形で混在する科学性、政治性、倫理性の問題を、糾弾的で告発的なスタンスをあえて避けながら分析することを目指す。
というのも、人体実験は通常の医療に不即不離に結びついたものであり、それを単に外在的に弾劾するだけではとうていその複雑な問題の肌理を見極めることは不可能だからである。
アメリカで隆盛を誇るいわゆるバイオエシックスの成立にあたり、史上存在した「非人道的な」人体実験への注目とそれへの反省という契機が重要な役割を果たしたことを考えるなら、また90年代初頭にアメリカで行われた放射能人体実験の暴露事件以降、人体実験論に再び注目が集まっているという現状を考えるなら、今日再び人体実験の射程を深く考察することはきわめて重要なものだと考えることが許される。
本ワークショップはこのテーマに統一して、問題の徹底的な掘り下げを目指すものである。
2. ワークショップの時間割
9:45-10:00 ワークショップ趣旨説明
10:00-11:15 話題提供1 (討議25分を含む・以下同)
市野川容孝 「十九世紀の人体実験と医療倫理」
ペッテンコーファーのコレラ菌(コンマ菌)自飲実験は、プレ細菌学パラダイムと細菌学パラダイムの衝突という点のみならず、人体実験に関する医療倫理の衝突という点でも、きわめて象徴的な出来事であるように思われる。ペッテンコーファーは、「たとえその結果がいかに科学にとって有益であろうと、すなわち他人の健康のために有益であろうと、その人にとっては害にのみなるような実験を、人間において決して実行しない」(C・ベルナール『実験医学序説』、この原則を超えて認められるのは医学研究者の自己実験のみである、という19世紀的な医療倫理に忠実であった。ペッテンコーファーは、その医学理論のみならず、医療
倫理においても、コッホと細菌学に「敗北」していくのであり、以後、「科学にとって有益」ではあるが「その人[=被験者]にとっては害にのみなるような実験」は繰り返され、事実、あまり注目されないが、少なからぬ医学研究者が刑事上の有罪判決を下される。本報告では、細菌学以前の19世紀的な、人体実験に関する医療倫理がどのようなものであったかを不十分ながらも明らかにし、その後の変容との比較につなげたいと思う。
11:15-12:30 話題提供2
小俣和一郎 「731部隊とナチスの医学」
そもそも医学は、人体実験なしに発展することはなく、新しい治療法のほとんどは人体実験としてはじまる。われわれは、まずこの基本的な事実からスタートすべきだ。
人体実験を、単なる「悪」として批判してしまうのでは、医学そのものを否定することになる。しかしながら、これまでの医学倫理(medical ethics, Medizinische Ethik)は、この基本的な現実原則をどこかでおろそかにしたまま、「倫理」というものを、あたかも医師個人の道徳的問題であるかのように論じ、「人間性」とか「人道主義」(いわゆる生命の尊さ)などの一般的モラルのレベルへと平板化してきたかのようにみえる。
だが、このような大問題を、単なる一般道徳の問題としてのみ捉えていてよいのか、−もしそうであるのなら、20世紀の現代医学が経験した日本の731部隊による人体実験や、ナチ強制収容所において行われた人体実験も、単なる道徳の欠如や人間性の
喪失としてしか批判することはできない。731部隊で日々、人体実験にあたっていた日本の軍医も、強制収容所で人体実験に手を染めたナチの医師たちも、単に一般道徳が欠落していたというだけのことでしかないのか。
もし歴史に対して謙虚であろうとするなら、われわれはもう一度、過去の歴史のなかで何が行われたのか、731部隊・ナチ医学の実態とは何だったのかを、再検証することから出発すべきであろう。その際、とくに重要な視点は、731医学もナチ医学
も、その本質においては何の隔たりもなかったというスタンスである。この両者を別個のものとして捉え、一方は細菌戦争(生物戦)のためのもの、他方は人種主義に由来するものと区別することは(それ自体は歴史的に正しいとしても)、この歴史事実から多くのことを導き出す妨げとなってしまうだろう。たしかに、それらは「戦争医学犯罪」として一括して語られ、戦後はもっぱら「悪の象徴」「悪魔のしわざ」「反倫理の典型」としてのみ批判されてきた。
また、そこで行われた事実を単なる好奇の目で覗き込むかのような「怖いもの見たさ」の心理で誇張して叙述する書き物すら現われた。
だが、これらを単なる戦争に付随する医学犯罪としてのみ捉えることも、また単なる例外的な「悪魔の仕業」として片づけることも間違っている。そうした単純化からは、これまでの医学倫理を見直そうとする一切の試みも、新たな医療技術の暴走を止めるための一切の有意味な提言も生れないであろう。
たしかに731部隊・ナチ医学の人体実験に対する覗き見趣味的な倒錯的反応は別としても、それを「倫理・道徳に反するもの」として例外扱いする従来からの批判パラダイムを不十分なものとする反論は、すでにいくつか現われている。ナチズムを「悪の極致」と決めつけることに批判的な目をむけた米本昌平*や、731部隊の人体実験成果が戦後の医学に一定の学問的寄与をなしたとする常石敬一*らの議論がそれである。だが、これらの議論は、過去のナチズムや日本の医学を逆に称揚して、それらに対する根本的な批判を骨抜きにする危険性を伴っていないか。それが行き過ぎることによって、たとえば米本のように、現在の優生学への批判軸からナチズム批判を取り去ってしまおうとする危険な論議に変容することはないのか。また、常石のいうように、本当にこれらの人体実験は、戦後の医学の発展に貢献したと断言できるのか。―
本報告は、そもそも医学と人間の基本的な関係を出発点として、医学の必要性はどこにあるのか、今後の先端医療技術の進歩とともにどんな「新しい倫理」が要求されるのか、などの基本的な問題に対する解答を模索しようとする一つのささやかな試みである。そのためには、なによりもまず、これまでの過去の歴史を検証することからはじめなければならない。1980年代から90年代にかけてのドイツでは、すでにこうした歴史検証がはじめられ、21世紀に入った現在では、その作業も終りに近づいているといってよいだろう。日本は、このドイツの動きに遅れはしたが、今、その検証作業を再開すべき時にあるのではないか。そう
した仕事を通じて、はじめてわれわれは新しい医学倫理の確立に向かって、一歩を踏み出すことができる。
昼食
13:30-14:45 話題提供3
金森 修 「タスキーギ研究の科学と文化」
1932年から40年にもわたって続いた一種の人体実験をめぐる報告。1930年代初頭の系統的梅毒罹患調査によって、アメリカ南部、アラバマ州タスキーギ近辺に住む黒人零細小作人たちがきわめて高い罹患率を示しているということがわかる。
本来ならその調査直後に治療を始めるところだったが、経済的理由により治療実施を断念せざるをえなかった医師たちは、そこで彼ら黒人零細農を純粋な感染集団と捉え、治療を放棄して経過観察をすることを決意する。ほんのわずかの期間で終わるはずだったその経過観察は、実際には72年にマスコミに暴露されるまで
40年も続く。本報告は、この未曾有の人体実験の委細顛末に素描を与え、その評価を、擁護論と反駁論を戦わせる形で、その倫理的意味を探る。
休憩
15:00-15:30 レスポンス1 小松美彦
15:30-16:00 レスポンス2 香川知晶
休憩
16:15-17:30 総合討議 司会 金森 修
17:30-18:30 懇親会
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科学技術社会論研究会・事務局
国士舘大学・木原英逸 kihara@pem.kokushikan.ac.jp
以上。
最相葉月です。医療社会学サポーター武藤香織先生より以下のお知らせをいただきましたので転載いたします。武藤先生もパネリストとして参加されます。
第10回トリオ・ジャパン・セミナーのお知らせ
第10回トリオ・ジャパンセミナー「臓器提供−現状と課題(3) 生体肝移植」を開催致します。
2002年夏、日本での生体肝移植の実施数が2000例を超えました。
移植のなかなか進展しない日本で発展を遂げた生体肝移植を改めて見つめ直すことで、日本における移植医療の将来について考えることができるのではないでしょうか。
今年度は実際に生体肝移植を経験されたご家族の声、そして
日米で実際に肝移植に携わっておられる医師の声、そして社会学の立場から様々な形で医療に関わって来られた研究者の声に耳を傾けてみたいと思います。
日時・場所:2002年11月17日(日)13:00〜17:00 キャピトル東急ホテル「竹の間」
プログラム
<講演>
1.世界の最先端の移植事情−マイアミから見た日本
マイアミ大学移植外科 加藤 友朗
2. 社会学の視点から−倫理委員会と家族
信州大学医学部保健学科 武藤 香織
3. 生体肝移植を経験して(子から親へ)
衆議院議員 河野 太郎
4. 生体肝移植を経験して(親から子へ)
鈴木 清子
<パネル・ディスカッション>
「これからの日本の移植医療のありかた」
パネリスト 河野 太郎
鈴木 清子
武藤 香織
加藤 友朗
コーディネーター 若林 正(トリオ・ジャパン)
どなたでも無料で参加できますので、ふるってご参加ください。
参加を希望される方は、トリオ・ジャパンの事務局まで
メール(trio-adm@umin.ac.jp)などでご連絡ください。
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最相追記
参考資料として後藤正治著『生体肝移植』(岩波新書)をご紹介いたします。生体肝移植の中心的医療施設である京大病院のグループを定点観測しながら、患者と患者の家族の苦悩と決断の重みを描いた素晴らしいノンフィクションです。ピッツバーグ大学のスターツルのインタビューもはじめ、移植医療に携わる要となる人々の取材も行っておられます。生体肝移植がなぜ行われるようになったのか、その歴史と経緯についてもわかります。20年来、移植医療を取材してこられた後藤正治氏の集大成ともいえるものです。
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読書紹介『赤ん坊をつくる:子どもを持つのは権利か?』 |
この『MAKING BABIES Is there a right to have children?』の著者メアリー・ワーノック(Mary Warnock)は、1984年に発表された「ワーノック勧告」(“人為的な手段による出産の分野における最近の・また潜在的展開についての社会的、倫理的、法的意味を検討する調査委員会〈1982年にイギリス政府によって設立された〉の報告書”)の委員長で、イギリスの著名な哲学者である。この勧告は、その後のイギリスにおける当該分野の方向を決定づける重要な文書となった。
本書は、120頁の小著であるが、展開されている論旨はち密で強い説得力を持っている。彼女は、題名にあるように「子どもを持つこと」の“権利(right)”を中心に据えた論議を展開する。法的に認められたカップルに、子どもを持つことが権利として認められる以上(時には強制される現実があるが)、シングルの女性(そして男性でも将来可能になるならば、クローン技術によって)、レズビアンやゲイのカップル、閉経後の人やキャリアに専念するために受胎時期を遅らせたいと考えるカップルなどの権利も認められるのでなければならない、と論じる。ただし、その権利が“必要性あるいは強制(need, demand)”や“欲求(desire, want)”と混同して主張されている現実を、注意深く分析している。
今日の受胎補助技術とその状況や事情は、このように多岐にわたっており、特に社会的伝統、道徳的通念や常識に基づく批判・非難が絡まって、多くの混乱した問題点が現れている。そこでワーノックは、その技術を含む状況は途上にあるもので、早急な結論を出すことについて慎重であることを求める。
結論として、子どもを持つ権利ということが、“持たねばならない”“持ちたい”“持てないことは恥ずかしい、悔しい”というような思いに取り付かれること(obsession)で、子どもの誕生によって与えられる本来の感動(驚き)と感謝の念が忘れられてはならない、と言う。(そうであるなら、子どもを持ちながら、その子を虐待するということなど起きないはずだ)。
本書は「感謝の念とは、あなたが得ているものすべては誰か(何か)に強制的に負わされていると感じるのでないあるもののことである」という古典的とも思える言葉で結ばれているところに、本書の深い思想性を感じることができよう。岸本和世
『英国医療雑誌』11月2日号によると、スコットランドで他の幼児が使用したマットレスを繰り返し使用したことによる“乳幼児突然死症候群(SIDS)”の疑いが強くなったと報じています。ただし、これは有意の統計が示すものであって、確定した結論ではありませんが、注目しておきたいことです。岸本和世
○生殖補助医療
はじめて登場いたします。引退牧師の岸本和世です。よろしく。できるだけ仕事を“情報提供”に限定して、評価は読者や他の方にお任せしたいと思っていますが、一応、生命倫理と取り組んでいる者ですので、取り上げる情報もわたし自身の視点からのものとなるでしょうし、時には自分の意見も書かせていただきたいと思います。
今日の情報は、決して障がいをもって生まれて来る子どもたちへの差別的な意識で取り上げたのではありません。あくまで、研究者からの情報です。
『米国のダラス・ニュース社の10月28日の記事として「最近の研究によると、(体外受精の場合には)障がいのある赤ちゃんがより多い。しかし、その理由ははっきりしないし、研究者の間でも一致していない」と報じている。これは、1978年にルイーズ・ブラウンが体外受精で生まれてから25年間で、米国で20万人以上の“体外受精児”が生まれているが、最近のオーストラリアのある研究によると、IVFなどによって生まれた子どもの場合、自然な受胎の場合より障がいは2倍の危険度がある、という。』
詳細については、以下のURLでごらんください。(こういうURLを指定した情報の送り方は、あまりしたことがないので、間違ってしまうかもしれません。後で違っていたら、訂正いたします)
http://www.kaisernetwork.org:8765/query.html?col=drhr&charset=iso-8859-1&ht=0&qp=&qt=%22birth+defects%22&qs=&qc=&pw=100%25&ws=0&la=en&qm=1&st=1&nh=25&lk=1&rf=1&oq=%22in+vitro+fertilization%22&rq=1&fs=&si=0
最相葉月です。遺伝子診断フォーラムのお知らせです。
「第3回遺伝子診断フォーラム」
─ 患者・家族の目から見た遺伝子診断の現状と今後の課題 ─
期日:平成14年11月16日(土)14:00-18:00(受付開始13:30)
会場:日本海運倶楽部2階ホール
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-6-4 海運ビル
TEL:03-3264-1825
交通:営団地下鉄 有楽町線・半蔵門線・南北線 永田町駅5番出口より徒歩3分。
丸の内線・銀座線 赤坂見附駅より徒歩10分。
第一部:講演
司会 国立精神神経センター精神保健研究所 社会精神保健部 白井 泰子 先生
大阪市立大大学院文学研究科 土屋 貴志 先生
14:00-14:15 基調講演
国立精神神経センター精神保健研究所 社会精神保健部 白井 泰子 先生
14:15-14:40 講演1「担当医としての立場から」
栃木県立がんセンター 菅野 康吉 先生
14:40-15:05 講演2「看護の立場から」
岩手県立大学 看護学部 安藤 広子 先生
15:05-15:30 講演3「患者家族会の立場から」
あせび会 佐藤 エミ子 先生
15:30-15:55 講演4「研究者としての立場から」
千葉大学 医学部公衆衛生学講座 羽田 明 先生
16:00-16:20 コーヒーブレイク
第二部:パネルディスカッション
司会 国立精神神経センター精神保健研究所 社会精神保健部 白井 泰子 先生
大阪市立大大学院文学研究科 土屋 貴志 先生
講師による発言についての論点・問題点の整理 土屋 貴志 先生
指定発言 信州大学医療短期大学部 武藤 香織 先生
____________________________
主催:株式会社エスアールエル
【お申込み】参加ご希望の方は、ご芳名・ご所属機関・電話番号・FAX番号を明記の上、FAXでお申込下さい。定員になり次第締め切らせていただきます。
※参加費無料。定員300名。
【フォーラム参加申込先】
「第3回遺伝子診断フォーラム登録受付係」
株式会社コンベンション リンケージ
〒107-0052 東京都港区赤坂9-5-27 乃木坂ミツワビル4階
TEL:03-5770-5792 FAX:048-718-1151
【お問い合せ先】
第3回遺伝子診断フォーラム事務局
株式会社エスアールエル学術企画部内
TEL:042-526-7132
FAX:042-526-7181
最相葉月です。
先月まで半年間大阪で、現在は広島で開催されている「新・人体の不思議展」に関し、10月8日発売の「サンデー毎日」の「星ふるふるさと」という連載ページで感想を書かせていただきました。
この欄は、星新一の作品を通して現代の科学技術を語るエッセイですので、スキャンダリスティックなものではありませんが、取材を通じて判明した意外な事実・問題点についてふれておりますので、ごらんいただければ幸いです。
なお、新・人体の不思議展の公式ホームページは以下のとおりです。
http://www7.ocn.ne.jp/~karada/
信大の玉井です。先に投稿した研究会案内に関して、場所が決まりましたので、お知らせします。
*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*
中絶胎児の研究利用問題研究会・続編
*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*
■日時:
2002年11月9日(土)14:00から18:00
■場所:
八重洲倶楽部 第2会議室
東京都中央区八重洲2-1
(東京駅八重洲地下街)
電話03-3275-0801
信大の玉井です。
*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*
中絶胎児の研究利用問題研究会・続編
*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*
8月17日に、「中絶胎児の研究利用問題」をテーマに
単発の研究会を行いましたが、ぜひもう一度という声
があり、続編を開催することにしました。まだ、会場を
決めていませんので、10月10日までにお申し込みいただ
いた方の人数で会場を選びたいと思います。なるべく
都心部にするつもりです。参加を希望される方は
★10月10日★までに事務局までお申し込みください。
前回の資料をお持ちでない方は、お送りしますので、
事務局までご連絡ください。
日時:2002年11月9日(土)14:00から18:00
場所:未定(東京都内)
話題提供:
ぬで島次郎さん
「中絶胎児の研究利用に関する各国の政策」
*話題提供者は増える可能性があります。
-----
事務局メールアドレス
psycho@health.shinshu-u.ac.jp
信州大学医療短大玉井研究室
tel/fax 0263-37-2396
| ■
日本学術会議・社会技術研究システム共同シンポジウム |
信州大学の玉井真理子です。
以下のシンポの案内をいただきました。
==========================
日本学術会議・社会技術研究システム共同シンポジウム
「生命関連技術と社会:
再生医療技術、テーラーメイド医療技術をめぐって」
==========================
http://www.ristex.jp
のNEWSに詳細が載っています。
■日時
平成14年10月23日(水)10時15分から16時45分
■スケジュールおよび講演者
10:15−10:20
開会 吉川弘之(日本学術会議会長)
10:20−10:30
趣旨説明 小林信一(社会技術研究フォーラム議長補佐)
10:30−11:10
基調講演(1)
「先端医療と社会」西川伸一(京都大学大学院医学研究科教授)
11:10−11:50
基調講演(2)
「先端医療の倫理的課題」加藤尚武(鳥取環境大学学長)
11:50−12:30
基調講演(3)
「先端医学・医療と法システム・管見」宇津木伸(東海大学法学部教授)
12:30−13:40 休憩
13:40−15:15
パネル討論 司会 黒川清(日本学術会議副会長)
パネリスト:
宇津木伸(東海大学法学部教授)
加藤尚武(鳥取環境大学学長)
辻篤子(朝日新聞社企画報道室次長)
中辻憲夫(京都大学再生医科学研究所教授)
村上陽一郎(国際基督教大学教授)
広井良典(千葉大学法経学部助教授)
15:15−15:30 休憩
15:30−16:30 総合討論
16:30−16:40 まとめ
16:40−16:45 閉会
■申し込み締め切り
平成14年10月3日(木)
*定員となり次第、締切
■申し込み先
社会技術研究システム 社会技術研究フォーラム
〒105-6218 東京都港区愛宕2-5-1
愛宕グリーンヒルズMORIタワー18F
FAX: 03-3592-2717
E-mail: ristex@popsvr.tokai.jaeri.go.jp
http://www.ristex.jp
下の案内のURLを訂正します。
http://hiroba.genome.ad.jp/
丹生谷です。イベントの案内を転記します。
文部科学省科学研究費特定領域研究ゲノム4領域は市民との交流イベント「ゲノムひろば」を東京・福岡・京都で開催します。
「ゲノムひろば」は、各会場100名規模の研究班員(研究者)による30ブース以上の実物つきポスターセッション「ゲノム研究勢ぞろい」を中心に、展示・トーク・セミナーなどで構成。ゲノムおよびゲノム研究の実際をわかりやすく紹介し、来場の皆様と研究者との豊かなコミュニケーションの場をめざします。
特定領域「ゲノム」では「社会との接点」をとりわけ重要に捉え、研究の健全な発展のためには科学の意義を広く理解して戴くことが必須と考えています。また、ゲノム研究に対して一般の方々がどんな見方をしているか、どんな期待や不安を持っているかを把握し、積極的に説明を行い、必要に応じて研究の方向を修正していくことも、研究者の責務と考えます。したがって「ゲノムひろば」は研究者と一般市民の双方向の発信・理解の場であり、研究活動の一環として行います。
どうぞ皆様、研究者たちに会いに来てください。私たちが何にときめき、何を思い、何を探ろうとしているのかを知って下さい。疑問や質問を様々に投げかけて下さい。そして、ゲノム研究の醍醐味を分かち合って戴ければ幸いです。
開催日/場所:
11月9日(土)10日(日) 東京 日本科学未来館(お台場)
11月16日(土)17日(日) 福岡 エルガーラ(天神)
11月22日(金)23日(祝) 京都 ぱるるプラザ京都(JR京都駅前)
時 間: 第一日12:00〜17:30 第二日10:00〜17:30
http://hiroba.genome.ad.jp/
| ■
人のクローンと遺伝子改変に関する国際条約をめぐる論議 |
○クローン技術
LNETサポーター岸本和世氏より情報をいただきましたので、ご紹介します。
『ヒトクローン無法地帯』『人体市場―商品化される臓器・細胞・DNA』などの著者・共著者である法学者イリノイ工科大学科学法律技術研究所所長Lori B. Andrewsらの「クローンと遺伝子改変を禁ずる国際条約へ向けて」と題する論文が掲載されています。過去五年間にわたる人間のクローンや遺伝子改変に関する国際条約への賛否と行動計画について読むことができます。全文購読は登録が必要です。
George J. Annas, Lori B. Andrews, and Rosario M. Isasi, "Protecting the Endangered Human: Toward an International Treaty Prohibiting Cloning and Inheritable Alterations"
American Journal of Law & Medicine, 28, no. 2&3(2002): pp. 151-178
http://www.aslme.org/pub_ajlm/28.2_3b.php
○クローン技術
最相葉月です。ニュースのリンクをお知らせします。
02.9.11付hotwiredニュースは、米ボストンにあるホワイトヘッド研究所のゲノム研究センターの研究者らが、米国科学アカデミー会報にクローン技術によって新たな個体を作り出すことは、ほぼ確実に異常な生物を作り出すことになると発表したことを報じました。
すでに、日本でも内臓奇形や過大児などさまざまな異常が発表されているクローン個体ですが、今この時点でこのような研究報告を発表した背景には、アメリカが医療目的のクローン技術と、個体をつくるクローン技術を明確に区別し、医療目的に有用であるクローン技術を社会的にアピールすることも一因のようです。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/Technology/story/20020911304.html
最相葉月です。
いよいよLNETサポーター情報提供掲示板が公開されました。イベントや書籍、サイトの紹介、ニュースのリンクなどをご紹介いただくコーナーです。まずは、第一報です。
早稲田大学国際バイオエシックスシンポジウム2002
シリーズ「日米のヘルスケアにおける意思決定」
第3回 遺伝革命と看護−患者のアドヴォカシー(患者擁護)−
日時:2002年9月30日(月)
会場:早稲田大学国際会議場 井深記念ホール(早稲田大学北門前)
http://www.waseda.ac.jp/koho/guide/nisiw.html
一般公開・入場無料・申し込み不要・同時通訳つき
「ヘルス・ケアにおける意思決定」の問題は、国際的にも21世紀の最重要課題の一つとなりつつあります。
この早稲田大学国 際バイオエシックス・シンポジウム・シリーズでは、主として日米を含む世界の第一 線で活躍しているバイオエシックス研究者たちと共に、バイオエシックス共同研究 と学問的対話、討議と展望などを一般参加者ともに協同して行う予定です。
これらの共同作業を通し、医療・保健の主体としての個々人が、今後どのよう意思決定をなすに至るかの価値判断の基準を共に探求することができればと願っています。
これまで行われてきた2回のシンポジウム (第1回シンポジウム「私たちが主役の医療と福祉」、第2回「バイオエシックスと患者の権利」)はおかげさまで盛会のうちに終わることが出来ました。さらに今後、9月、12月と通して開催されるそれぞれのシンポジウムでは、具体的なテーマと内容に即してのバイオエシックス公共政策的の選択肢をめぐ る対話と開かれた討議を広く行い、その成果をともに分かち合っていきたいと願ってい ます。
13:00 開 会
木村 利人 (早稲田大学人間科学部)
13:10〜13:50 「遺伝革命と看護 ─ 患者のアドボカシー (患者擁護) 」
キャロル・テイラー所長 (ジョージタウン大学臨床バイオエシックス研究所)
13:55〜14:25 「ヘルスケアにおける患者のアドボカシー (患者擁護) 再考」
同研究所・バーネット研究員
14:30〜15:10 「日米におけるターミナルケア」
荒川 唱子 (福島県立医科大学看護学部教授)
15:10〜15:20 コーヒー・ブレイク
15:20〜16:30 総合討論
16:30 閉 会
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上記につき今後若干の変更などもございますのであらかじめご了承下さい。本ホームページは今後も随時更新いたします。
http://www.bioethics.jp/waseda2002/index-j.html
主催:早稲田大学 国際バイオエシックス・バイオ法研究所
後援:国際交流基金・日米センター
(The Japan Foundataion Center for Global Partnership)
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