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最相葉月の「なんでやねん日記」
最終更新日 2003.06.27

2003年6月27日(金)――その39
PPL社の危機

情報掲示板にも書いたとおり、PPLセラピューティクス社が現在、倒産の危機に瀕しています。噂は耳にしていましたし、ベンチャーの世界に統廃合は珍しくないので驚くことではないのかもしれませんが、クローン羊ドリーをロスリン研究所と共同で誕生させ、クローン技術と遺伝子組換え動物工場の医学的有効性を証明しようとした最初の企業であり、ドリーの死とともに感慨深く、バイオテクノロジーの未来への暗示と思えてなりません。

先日イギリスで会った研究者によると、英国のベンチャー企業は3年以内になんらかの結果を出さないといけないという投資家への制約があり、もともとベンチャー企業が育ちにくい風土だそうです。そういえば、1999年6月にPPLがダイアナとキューピットという二頭の子羊の遺伝子ターゲティングに成功したと発表したとき、管理部長のロン・ジェームスも研究部長のアラン・コールマンもその詳細(どうやって遺伝子を入れたか。どんな遺伝子を入れたのか。染色体のどこに入れたのか)は一切発表しませんでした。とにかく株主に対するアピールが優先されるのです。その、アラン・コールマンはその後シンガポールのベンチャー企業に迎えられましたし、スピンアウトした再生医療部門のRegenecor社はアメリカでピッツバーグ大学医療センターが投資ファンド会社の支援を受けて設立されたものですから、今後、PPLのタンパク質事業は切り捨て、再生医療部門はそこで生き残ることになるのでしょう。結局、ネイチャーにもあったように、そこで働いていた従業員だけが職を失い路頭に迷うわけです。

再生医療にしても、それほどの未来はあるのか。基礎研究を否定するわけではないですが、ここらあたりでどれほど私たちの税金を投資する価値があるものか、冷静に分析する必要がありそうです。

2003.06.27 最相葉月(プロフィール)



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