私はクローンマンモス計画に反対です。
近畿大学の入谷明教授とロシアの研究者らの共同研究が本格化し、2005年の愛知万博では発掘されたマンモスが展示されるという報道が最近ありました。発掘調査とDNA断片の遺伝子解析研究には科学的な意味もあると思います。しかし、なぜクローン化したいのでしょうか。
マンモス復活計画を子供たちの夢のように描いた絵本も出版されていますが、これはおかしなことです。マンモスを通じて子供たちに伝えるべきことは、復活の夢ではなく、死、滅びの意味。彼らを絶滅に追い詰めた人間の欲望ではないでしょうか。
彼らは、核移植したマンモスのクローン胚を代理母のアジアゾウの子宮に移植するといいます。現在のクローンの成功率の低さを考えれば、代理母として必要なゾウは数十頭以上です。でも、アジアゾウも絶滅危惧種。これでは、結局、マンモスの絶滅から何も学んでいないことになります。しかも、これがまったく無批判に新聞報道されています。ちょっとだけ視点を引いてみれば気づきそうな簡単なことだと思うのですが。
クローン研究の中には、どの動物はクローンになったけど、この動物はまだ無理のようだ、と次々クローンをつくってみせている研究者が「いまだに」います。つい数日前も、そんな話を大真面目にしている人がいたので驚きました。で、次は何をクローンにしたいのですか? で、そのクローンで何をしたいのですか?
97年に日本全国で次々とクローン牛が誕生したころ、日本はクローン天国ですね、と海外の研究者からよくいわれました。技術的なことよりも、動物研究に対してなんの配慮もされていないこと、一部の研究をのぞき、科学的意味が不明であることなどのニュアンスがこめられていました。あのとき、なぜ私がそんな思いをしなくてはならないのかと感じながら、恥ずかしかったのを覚えています。いまだにこうしたニュースに接すると、世界に誇るロマンだというなら、なんか、もっとかっこいい研究をしてくださいよ、といいたい気分です。
近畿大学のマンモス研究が本格化
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030717-00000075-kyodo-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030729-00000772-jij-soci
アジアゾウも絶滅危惧種(拙著『あのころの未来』でも言及しています)
http://eco.goo.ne.jp/wnn-z/files/data/eurasia/asia_zo.html