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最相葉月の「なんでやねん日記」
最終更新日 2003.10.14

2003年10月14日(木)――その48
不足を解消?

 今日の読売新聞夕刊の科学コラムに、気になる表現がありました。「臓器が不足」「臓器不足を解消するために」云々、という言葉遣いです。

 私自身もどこかで同じような表現をしたかもしれないので自戒を込めていうのですが、やっぱりこれはおかしい。臓器はそもそも「余って」いたり、「足りなかったり」するものではありません。

 書き手はアメリカで特派員をしていた記者なので、感覚が麻痺してしまったのかもしれません。移植医療を前提とした文章ですから、誰が書いたとしてもやむをえない面もあるでしょう。じゃあ、いったいどう書けばいいのか、と聞かれてもすぐには思い浮かびません。脳死後に臓器を提供することを承諾している人がまだまだ少ないので、臓器移植を受けられる人はまれである、などと、人間を主体にした書き方があると思いますが、まどろっこしいのは否めません。

 これまで気にならなかった私が今回ひどくひっかかりを覚えたのは、最近、科学を語る際の言葉づかいに敏感になっているからかもしれません。論文や科学専門書を読むことが多いと、いかんせん、その文章に引きずられます。はじめのうちあった違和感も次第に消えて、麻痺していきます。今回のような表現をしてしまうことで、失われてしまう情感があることに鈍感になります。論文にも美しい論文があるといわれますので、すべてがそうだとはいいませんが、科学者ではない、科学をやさしく伝える人までがまるで科学者のような言葉遣いで語り始めたら、きっと読者はそこに抜け落ちているものが何であるのかを想像するのは困難でしょう。それは、書かれている内容がむずかしい、ということとは違います。

 もう一度いいます。自戒をこめて、です。

追伸
もともとのネーミングでいえば、「代理出産」や「借り腹」もよくもまあこんな日本語をあてたものよと思います。出産は本来、代理できるものではないですし、おなかも借りたり貸したりするものではない。
それにしても、「借り腹」ってえげつない言葉ですね。逆に、えげつなさ、拒否反応を感じさせることが、安易にその道を選ばないようにするための狙いだったりするのかもしれませんが。

2003.10.14 最相葉月(プロフィール)



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