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最相葉月の「なんでやねん日記」
最終更新日 2004.06.25

2004年6月25日(金)――その71
いずれ私たちは

なぜに私はこれほど生命倫理専門調査会にこだわるかを疑問に思っておられる方々がおられるようなので、おこたえします。

審議会システムの問題はさんざん指摘されていることは承知の上、それでも、今のところここが、科学技術に関わる生命倫理の問題に判断を下す日本の最高機関である限り、そこにどんな人間がいて、だれが何をどのように語り、どう決めていくかを見ることは最低限必要なのです。そして、そこにとてもこの重責をまかせられないと思われる人物がいたならば、それを徹底して指摘し、批判しなければなりません。残念ながら、生命倫理専門調査会は、そのような委員が多すぎました。意見の賛否ではなく、科学的であるか否かでもなく、そもそもこの議論に取り組むにおいて、その姿勢が、あまりに不真面目、不誠実、不勉強、幼稚なのです。

ですから、想像力を働かせ未来に起こりうる問題点をさまざまに指摘する一部の人々の警告を受け止めることができず、たんなる反対論としか感じられない。患者を見殺しにするつもりであるかのように批判する人もいましたが、患者が治らなくていいと思う人がいったいどこにいるのでしょうか。すべての患者に治って欲しい、しかし、そこに踏み込めばこれだけの問題を生ずる可能性がある。それらの警告をひとつずつ検証し、調査し、双方の疑問点を解消していくことこそこの調査会に求められた態度であったにもかかわらず、それは一切行われない。議論を運ぶのは、司会進行役である会長のつとめだったのでしょうが、残念ながら、前任者も後任者にもその能力がまったく欠如していました。

アメリカのヒト胚に関する議論も混乱をきわめていますが、賛成であれ反対であれ、それぞれの意見を戦わせるにおいていずれも誠実です。推進派で知られるグレゴリー・ストック、慎重派のフランシス・フクヤマのそれぞれの著書を読めばよくわかります。

科学技術は、人と人の関係性や、生き方、価値観、想像力、創造性とさまざまに影響を与えていきます。インターネットや携帯電話がコミュニケーション能力を破壊し、変貌させていることに似て、今回のような決定も、知らないうちに私たちの生命観を変容させ、ボディブロウのようじわじわと心身を蝕んでいくものと思われます。いや、すでに浸食は始まっていますが、気づいておられるのはごく一握りの方々でしょう。

2004.06.25 最相葉月(プロフィール)



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