サントリーとオーストラリアのフロリジン社の共同研究グループがついに、青いバラの開発に成功しました。
拙著『青いバラ』にも登場する基礎研究所の田中良和さんのチームです。私はまだ写真でしか見ていませんが、想像していたようなグロテスクさはなく、青というより薄紫といった色合いです。数年前に青色カーネーションとして発表されたムーンダストよりは青に近く、この先、これを交配親として世代を重ねることで花弁にデルフィニジンという青色色素を蓄積させていくようですので、もっと青味(ひょっとしてムーンダストと同じように紫が濃くなるのでしょうか?)をおびてくるのではないでしょうか。
サントリーのニュースリリースより2004/6/30
http://www.suntory.co.jp/news/2004/8826.html
フロリジン社公式HP
http://www.florigene.com/index.html
こちらが、青色カーネーション「ムーンダスト」
青というより、青紫
http://www.suntoryflowers.co.jp/goods/moondust/
遺伝子組換え植物には国の指針がありまして、この先、国内での販売までには「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づいた手続きがあり、商品化は2007年頃、売り上げは世界400億円を目指しているようです。
サントリーが花事業に着手したのは、1980年代のなかば頃。田中さんが青いバラ研究に着任したのが、1991年。その8月に、デルフィニジンをつくるF3'5'水酸化酵素の遺伝子をペチュニアからとりだすことに成功したことがイギリスの科学誌ネイチャーに発表されました。青いバラも近いと騒がれたのがこの頃です。
しかし、遺伝子を導入したからといってすぐに花弁が青くなるわけではありませんでした。今回は、パンジーの遺伝子を組み込んだようですが、方法論としては拙著で言及したことと同じです。もし、ご関心のある方は開発過程はくわしく書いていますので、是非お読みいただければ幸いです。(新潮文庫で出たばかり。トップの広告を参照してください)
サントリーの花事業が始まってから約20年弱、遺伝子が発見されてから13年。この間にはさまざまな紆余曲折がありました。ギリシア神話やアラブの伝説から数えれば2000年の年月です。感慨深いです。
最後に、スペインのバラ育種家ペドロ・ドットの言葉を紹介します。
「人がバラを征服したのではない。科学がバラをつくるのでもない。バラが人の愛情に応えてわれわれに近寄ってきたのだ」
アサヒコム2004/7/14 ニュースの本棚
http://book.asahi.com/news/