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最相葉月の「なんでやねん日記」
最終更新日 2004.07.02

2004年7月2日(金)――その73
そして、あの人もやってきた

たぶん、半年ぶり以上、いやもっとか? のお目見えでしょう。

強行採決の報道直後に行われた30日の生命倫理専門調査会には、曾野綾子委員の姿がありました。どの委員も、あれ、お久しぶりですという表情。新潮45やサピオのイラク関係記事には共感するところもあったのですが、同じだけのエネルギーをこの調査会でも注ぎ込んでほしかったものです。

「あのう、この一の細胞ってなんでしょうか」

あの場所にいた、すべての委員と傍聴者が唖然としたでしょう。この調査会が3年あまり行ってきた前提であるクローン法の記述を理解していない、いや、お忘れになっていたからでした。「一の細胞」とは一個の細胞をさす法律用語です。まったく理解に苦しむ表現ではありますが、クローン法の付則に記された議論を3年以内に行うべし、という前提で始まったこの会合の専門委員であれば自明のこと。まあ、こういう方も委員にはおられるということでこの調査会の雰囲気を知っていただければと思います。さらに、

「侵襲っていう言葉も変えてください。よくわかりません」

女性のからだを傷つけることを医学でそう呼んでいるから使用した言葉です。しかし、それをわかりやすい言葉に変えるのは、委員である「あなた」ですよ、先生。

ところで、この日は、島薗委員が薬師寺会長へ提出した質問状に、会長が答えるところから始まりました。会長案と採決を事前に知らされていた委員と知らされていない委員がいたことをどう説明するか、というもの。みんな知りたかったことです。

科学哲学を専攻していたという薬師寺会長は、自分の恩師・大森荘蔵の名前を出し、大森先生の「科学は説明がどれほどできるかが大事だ」という教えのもとにこの調査会に臨んだこと、しかし、悩んだ結果「社会選択」を行わねばならないと考え、受け入れられるか心配で事前に相談した委員もいること、欠席していた委員のうちで採決するので出席してほしいと伝えていた委員もいたと回答しました。(大森荘蔵もここで名前が出るとは思ってなかったろう)

「まったく納得できません」と島薗委員。

挙手による採決という一見明快な方法をとりながら、事前に不公平な根回しが行われていたことを「大森先生」の名前を出してわかってくれといわれても、だれが首を縦にふるのでしょうか。

釈然としないまま、最終報告書案の検討に入ります。そこで、またもや、生殖補助医療で行われている受精研究の問題が噴出します。毎回どうしても、ここでひっかかるのですよ。いい加減、すっきりしちゃえばいいじゃないですか。全国の研究の詳細をこの際、一気に調査してください。どんな研究があるかのリストは提出されていますが、それがどのようなインフォームドコンセントが行われ、倫理委員会でどう検討され、なんてことは一切わからないのですから。どうかどうか、何が行われるかわからないまま、卵子を研究に提供することを安易に考えないでくださいね。治療と研究はきっぱり別ですよ。(これについては、情報を入手しましたので、後日報告します)

ひとり、産婦人科医の藤本委員は聖域に火の粉がふりかからぬよう右往左往。女性の卵子と、その夫ではない男性の精子を使った受精研究が行われているという疑いをもたれてもしかたがない、そんな状態では産婦人科界の信用にもかかわることではないかと勝木委員が問いつめますが、そこはあいまいに産婦人科学会の会告では、受精研究を認めているから、と答えます。会告は認めても、それはこの調査会が認めたということではありません。

さらに、この日は、高久委員の持論である「ボランティアの女性から卵子をもらおう」「家族からもらおう」説も飛び出しました。西川委員も「一度議論したほうがいい」と賛成。

え? 研究利用を目的とした採卵はしないと決定しているのではなかったでしょうか?

臨床段階のことはここではまだ話し合われていないのです。あくまでも、基礎研究です。それとも、基礎研究もボランティアってことでしょうか? 研究目的の採卵はしないという合意をくつがえすのでしょうか。

最終報告書は7月13日に決定するそうです。やれやれ。

2004.07.02 最相葉月(プロフィール)



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